日付スタンプのある件名にご注意!
所持してもいないアメリカンエキスプレスカードから利用確認を促すような
けったいなメールが届きました。
本文に書いてあるのは、例によってテンプレート。
第三者不正利用の疑いがあるとのことでリンクから利用確認をしろと言うものです。
では、このメールを解体し詳しく見ていきましょう!
まずはプロパティーから見ていきましょう。
件名は
「[spam] 【American Express】カードの不正使用防止ご本人確認のお知らせ2022/08/02」
ご承知の通り件名欄は、差出人が書き込むものですからいくらでも適当に記入できます。
この件名には”[spam]”とスタンプが付けられているので迷惑メールの類です。
このスタンプはスパムスタンプと呼ばれるサーバーからの注意喚起で、これが付いている
ものは全て迷惑メールと判断されたもの。
うちのサーバーの場合注意喚起だけですが、例えばGoogleのGmailサーバーの場合だと
否応なしに「迷惑メール」フォルダーに勝手に保存されるような仕組みもあります。
差出人は
「"American Express" <4lij9t6w@n5dy5ke.info>」
皆さんはご存じでしょうか?
この差出人欄は完全に自己申告制で、誰でもウソが書けるフィールド。
ですから、ここは信用できない部分です。
「アメリカンエキスプレス」さんには、”americanexpress.com”って正規ドメインをお持ちです。
正規ドメインが有るのにそれ以外のこのようなでたらめなドメインを使ったメールアドレスで
ユーザーさんにメールを送るなんて信用問題に関わる大きな問題です。
それ以前にこのメールアドレスさえ差出人のものかどうか…
その辺を含め次の項で見ていきましょう!
偽装メールアドレス
では、このメールがフィッシング詐欺メールであることを立証していきましょうか!
まず、このメールのヘッダーソースを確認し調査してみます。
私が愛用のThunderbirdの場合、「表示(V)」⇒「メッセージのソース(O)」と進むと見られますよ。
ソースから抜き出した「フィールド御三家」がこちらです。
Return-Path: 「4lij9t6w@n5dy5ke.info」
”Return-Path”は、このメールが何らかの障害で不達に終わった際に返信される
メールアドレスです。
一般的には、差出人と同じメールアドレスが記載されますが、ここは誰でも簡単に
偽装可能なフィールドなのであてにできません。
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Message-ID:「3E0FD96806AFEBDEA232424567C71721@tazk」
”Message-ID”は、そのメールに与えられた固有の識別因子。
このIDは世の中に1つしかありません。
”@”以降は、メールアドレスと同じドメインか若しくはデバイス名が入ります。
ここも偽装可能で鵜呑みにはできません。
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Received:「from tazk (v118-27-74-18.eqwx.static.cnode.io [118.27.74.18])」
”Received”は、このメールが通過してきた各受送信サーバーが自身で刻む
自局のホスト情報です。
ここに掲げた”Received”はこのメールが最初に通過したサーバーのもの。
すなわち、差出人が使った送信サーバーの自局情報。
記載されている末尾の数字は、そのサーバーのIPアドレスになります。
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先に書いた通り”Received”に記載のIPアドレスは差出人が利用したメールサーバーのもの。
このIPアドレスが差出人のメールアドレスのドメインに割当てられているものと一致すれば
メールアドレスの偽装は無かったことが証明されますが、そうでない場合、特定電子メール法
違反となり処罰の対象とされます。
※特定電子メール法違反
・個人の場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金
・法人の場合、行為者を罰する
では、メールアドレスにあったドメイン”n5dy5ke.info”について調べてみます。
”160.251.14.84”がこのドメインを割当てているIPアドレス。
本来同じでなけれならない”Received”のIPアドレスが”118.27.74.18”ですから全く異なります。
これでアドレス偽装は確定。
この方にはしっかり罪を償っていただかなければなりませんね!
「フィールド御三家」の中で一番重要なのは”Received”
これを紐解けば差出人の素性が見えてきます。
”Received”のIPアドレス”118.27.74.18”は、差出人が利用しているメールサーバーのもの。
このIPアドレスを逆引きしてみます。
これによるとこのIPアドレスには”eqwx.static.cnode.io”と言うドメインが割当てられているようです。
そしてこのドメインは「お名前.com」さんで取得したことも分かります。
続いてこのIPアドレスの割り当て地。
IPアドレスを元にしているので、かなりアバウトな位置であることをご承知いただいた上でご覧ください。
ピンが立てられたのは、「東京都千代田区内神田」付近です。
このメールは、この付近に設置されたメールサーバーを介して私に届けられたようです。
クソ長いドメインの詐欺サイト
では引き続き本文。
このたび、ご本人様のご利用かどうかを確認させていただきたいお取引がありましたので。
誠に勝手ながら、カードのご利用を一部制限させていただき、ご連絡させていただきました。
つきましては、以下へアクセスの上、カードのご利用確認にご協力をお願い致します。
お客様にはご迷惑、ご心配をお掛けし、誠に申し訳ございません。
何卒ご理解いただきたくお願い申しあげます。ご回答をいただけない場合、
カードのご利用制限が継続されることもございますので、予めご了承下さい。
ログインに心当たりが無い場合、第三者によるログインの可能性がございます。
念のため、パスワードの変更をおすすめいたします。
「Webでの本人確認」へログイン |
このメールは、フィッシング詐欺メールなので詐欺サイトへのリンクが付けられています。
そのリンクは「「Webでの本人確認」へログイン」って書かれたところに張られていて、
リンク先のURLがこちらです。
このサイトの危険性をトレンドマイクロの「サイトセーフティーセンター」で確認してみます。
おっと、まだ「未評価」のようです。
このようなフィッシング詐欺サイトがこの評価ではあまりにも危険すぎます。
評価を変更していただけるよう早速申請しておきます。
このURLで使われているドメインは、サブドメインを含め”account.ny16to6utnxev12b3i79r0jxyijokx8d.info”
このドメインにまつわる情報を取得してみます。
あらら、しっかりと記載されていますね…
申請者は、鹿児島県鹿児島市にお住まいの方でした。(汗)
このドメインを割当てているIPアドレスは”153.122.198.106”
このIPアドレスを元にその割り当て地を確認してみます。
今回は国内勢ですね、ピンが立てられのは「東京都渋谷区桜丘町」付近。
この辺りに設置されたウェブサーバーに、リンク先の詐欺サイトは構築されているようです。
安全な方法でリンク先の詐欺サイトに調査目的で訪れてみました。
開いたのはアメリカンエキスプレスユーザー専用のサイトへのログインページ。
もちろん偽サイトですから絶対にログインしないでください。
まとめ
持っていないカード会社からのメールに私はどうすれば良いのでしょうか?(笑)
ま、差出人は誰それ構わず無差別に知っているメールアドレスに機械的に送っているのでしょうね。
恐ろしいことに、今、こうしている間にも大量のフィッシング詐欺メールが発信されたくさんの
フィッシング詐欺サイトが作られ消滅していきます。
次から次に新種のメールが届くので常に意識して被害に遭わないようご注意ください。
いつものことながら、誤字・脱字・意味不明がありましたらお許しください(^-^; |