楽天銀行なのに楽天カードのメールアドレスとは?
ほんと今年の夏はと言うか梅雨はおかしいです。
遠の昔に梅雨明けは宣言されているのにダラダラと毎日のように雨ばかり。
来週には子供たち待望の夏休みになるのにどうなっているのでしょうかね??
さて、今回解体するのはこちらのメールです。
楽天銀行を装ったフィッシング詐欺メールで、本文はいつもの第三者不正利用を疑うテンプレが
利用されています。
では、このメールもプロパティーから見ていきましょう。
件名は
「[spam] <緊急!楽天銀行 重要なお知らせ> [メールコード R4611025620]」
ご承知の通り件名欄は、差出人が書き込むものですからいくらでも適当に記入できます。
末尾のメールコードは、このメールに信憑性を持たせるために付けられた適当な連番。
この件名には”[spam]”とスタンプが付けられているので迷惑メールの類です。
このスタンプはスパムスタンプと呼ばれるサーバーからの注意喚起で、これが付いている
ものは全て迷惑メールと判断されたもの。
うちのサーバーの場合注意喚起だけですが、例えばGoogleのGmailサーバーの場合だと
否応なしに「迷惑メール」フォルダーに勝手に保存されるような仕組みもあります。
差出人は
「"楽天銀行" <info@rakuten-card.co.jp>」
皆さんはご存じでしょうか?
この差出人欄は完全に自己申告制で、誰でもウソが書けるフィールド。
ですから、ここは信用できない部分です。
上手く化けているつもりでしょうけど…
”rakuten-card.co.jp”は残念ながら「楽天銀行」さんのドメイではなくて「楽天カード」さんのドメイン。
良く調べて使わないと一瞬でバレてしまいますよ!(笑)
それ以前に件名に”[spam]”とあるのでこのメールは詐欺メール。
その辺りを含め、次の項で見ていくことにしましょう。
発信元は詐欺メールのメッカ「天安門広場東側」付近
では、このメールがフィッシング詐欺メールであることを立証していきましょうか!
まず、このメールのヘッダーソースを確認し調査してみます。
私が愛用のThunderbirdの場合、「表示(V)」⇒「メッセージのソース(O)」と進むと見られますよ。
ソースから抜き出した「フィールド御三家」がこちらです。
Return-Path: 「mgrl@rakuten-card.co.jp」
”Return-Path”は、このメールが何らかの障害で不達に終わった際に返信される
メールアドレスです。
一般的には、差出人と同じメールアドレスが記載されますが、ここは誰でも簡単に
偽装可能なフィールドなのであてにできません。
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Message-ID:「04B1EB77EB3B933E84E9FD06CD9C8AF9@rakuten-card.co.jp」
”Message-ID”は、そのメールに与えられた固有の識別因子。
このIDは世の中に1つしかありません。
”@”以降は、メールアドレスと同じドメインか若しくはデバイス名が入ります。
ここも偽装可能で鵜呑みにはできません。
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Received:「from rakuten-card.co.jp (unknown [120.48.122.171])」
”Received”は、このメールが通過してきた各受送信サーバーが自身で刻む
自局のホスト情報です。
ここに掲げた”Received”はこのメールが最初に通過したサーバーのもの。
すなわち、差出人が使った送信サーバーの自局情報。
記載されている末尾の数字は、そのサーバーのIPアドレスになります。
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この差出人は、間違ってるにも関わらずあくまで自身は”rakuten-card.co.jp”だと言い張るようなので
その鼻っ柱をへし折ってやりましょう!
まずは、”rakuten-card.co.jp”について情報を取得してみます。
このドメインを割当てているIPアドレスが”Received”に記載されているものと同じなら
差出人のメールアドレスだと認めますが、そうでない場合、特定電子メール法違反となり
処罰の対象とされます。
※特定電子メール法違反
・個人の場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金
・法人の場合、行為者を罰するほか、法人に対して3000万円以下の罰金
さて、どう出るのでしょうか?
ね、「楽天カード株式会社」さんの持ち物で「楽天銀行」さんのものではありませんよね。
そして”210.252.23.76”がこのドメインを割当てているIPアドレス。
本来同じでなけれならない”Received”のIPアドレスが”120.48.122.171”ですから全く異なります。
これでアドレス偽装は確定。
この方にはしっかり罪を償っていただかなければなりませんね!
「フィールド御三家」の中で一番重要なのは”Received”
これを紐解けば差出人の素性が見えてきます。
”Received”のIPアドレス”120.48.122.171”は、差出人が利用しているメールサーバーのもの。
このIPアドレスを元にその割り当て地を確認してみます。
IPアドレスを元にしているので、かなりアバウトな位置であることをご承知いただいた上でご覧ください。
ピンが立てられたのは、フィッシング詐欺メールの一大生産地の北京にある「天安門広場東側」付近です。
このメールは、この付近に設置されたメールサーバーを介して私に届けられたようです。
「楽天銀行」なのに「三菱UFJニコス」ってオチ
では引き続き本文。
【楽天カード 】利用いただき、ありがとうございます。
このたび、ご本人様のご利用かどうかを確認させていただきたいお取引がありましたので、
誠に勝手ながら、カードのご利用を一部制限させていただき、ご連絡させていただきました。
つきましては、以下へアクセスの上、カードのご利用確認にご協力をお願い致します。
お客様にはご迷惑、ご心配をお掛けし、誠に申し訳ございません。
何卒ご理解いただきたくお願い申しあげます。
ご回答をいただけない場合、カードのご利用制限が継続されることもございますので、
予めご了承下さい。
■ ご利用確認はこちら
ご不便とご心配をおかけしまして誠に申し訳ございませんが、
何とぞご理解賜りたくお願い申しあげます。 |
もう見飽きて反吐が出そうなテンプレ利用の本文です。(;^_^A。
このメールは、フィッシング詐欺メールなので詐欺サイトへのリンクが付けられています。
そのリンクは「■ ご利用確認はこちら」って書かれたところに張られていて、リンク先の
URLがこちらです。
このサイトの危険性をトレンドマイクロの「サイトセーフティーセンター」で確認してみます。
このように既に危険サイトと認識されており、ブラックリストに登録済み。
そのカテゴリは「フィッシング」と書かれています。
このURLで使われているドメインは、サブドメインを含め”www.masceanrd.macosaserd.6887453.xyz”
このドメインにまつわる情報を取得してみます。
申請者は、中国のIT企業「アリババ」を通して行われています。
このドメインを割当てているIPアドレスは”192.3.239.23”
このIPアドレスを元にその割り当て地を確認してみます。
ピンが立てられのは、ニューヨークのバッファロー付近。
この辺りに設置されたウェブサーバーに、リンク先の詐欺サイトは構築されているようです。
危険と言われると見に行きたくなるのが人情と言うもの。
安全な方法でリンク先の詐欺サイトに調査目的で訪れてみました。
おっと!Google Safe Browsingに遮断されてしまいました。
こちらでもブラックリストに登録されてて相当危険なサイトのようです。
危険を承知で先に進んでみると…
またパターンか…
見てください、最下段のフッター部にある著作権表示の所。
「Copyright(C) Mitsubishi UFJ NICOS Co.,Ltd.All Rights Reserved. 」
メールは「楽天銀行」なのに「三菱UFJニコス」ってオチかい!(;’∀’)
まとめ
もうこのメールでラリって正常心を失ったらまあ著作権表なんて見ないわね普通は。
詐欺師もいろんなサイトをコピーしなくて済むし。(汗)
今回は、差出人のメールアドレスは偽装されててとても危険なメールでした。
恐ろしいことに、今、こうしている間にも大量のフィッシング詐欺メールが発信されたくさんの
フィッシング詐欺サイトが作られ消滅していきます。
次から次に新種のメールが届くので常に意識して被害に遭わないようご注意ください。
いつものことながら、誤字・脱字・意味不明がありましたらお許しください(^-^; |