「不正アクセスにより、あなたの個人情報が流出しています」「アカウントに関するお支払いについて」は詐欺!自社ドメインなりすましセクストーション2通を徹底比較

同じ日の朝方に、よく似た性的脅迫メールが2通続けて届きました。今回はこの2通を比較しながら、自社ドメインを騙る「セクストーション」詐欺の手口を解析します。
■ メールヘッダー比較(送信者情報)
| 項目 | 1通目 | 2通目 |
| 件名 | 不正アクセスにより、あなたの個人情報が流出しています | アカウントに関するお支払いについて |
| 送信者・宛先 | 自社ドメインの受信者自身のメールアドレスを詐称(自己宛送信を装う典型的な手口) | |
| X-Mailer | Pegasus Mail for Windows (4.41) | Microsoft Outlook Express 6.00 |
| SPF判定 | Softfail(domain owner discourages use of this host) | |
| 受信日時 | 2026年8月10日 05:04 | 2026年8月10日 03:12 |
※メールヘッダー詳細は個人情報保護のため非掲載
2通とも自社ドメインを装った真っ赤な偽物です。盗撮動画は存在しません。被害を未然に防ぐため、この解析結果を家族のLINEグループに転送して注意喚起してください。

実際に届いた1通目のメール画面

実際に届いた2通目のメール画面。1通目とほぼ同一の本文構成
※以下の内容は届いた詐欺メールを技術検証のために忠実に再現したものです。受信者のメールアドレス部分は伏せ字にしています。ワードサラダ等の混入はなく、純粋なテキストメールでした。
こんにちは! 残念ながら、とても悲しいお知らせがあり、ご連絡を差し上げております。 数カ月前に、普段からネット閲覧にご利用のデバイス全てへの、完全なアクセス権を私は手に入れました。 その後、ネット上でのあなたの全ての活動を監視、追跡を始めました。 どのようにして起きたのか、経緯をご説明します。 少し前に、複数のメールアカウントへのアクセス権をハッカーから購入しました。 (最近では、オンラインで結構簡単に購入可能です。) なので、あなたのメールアカウント(自社ドメインの受信者自身のメールアドレス)にログインするのも、そう難しいことではありませんでした。 それから1週間の内に、ご利用中の全デバイスのオペレーションシステムにトロイの木馬を無理なくインストールできたため、あなたのメールアカウントへのアクセスも可能となりました。 (中略:脅迫の詳細部分) この難しい状況を平和的に解決できる方法が1つだけあります。 それは、私のアカウントに$1450 USDを送金することです。 送金が完了し次第、永久的にサーバーからエッチなコンテンツを全て削除します。 私のビットコインウォレットは次の通りです:(1通目・2通目で異なるアドレス) 重要事項:スペースの有無もビットコインウォレットの鍵には含まれます。 入金までの猶予は48時間(ちょうど2日間)。カウントダウンは、このメールを開封した瞬間からタイマーが開始します。

メールソフト上では通常の日本語として表示されるが、ソースをそのまま確認すると大量の文字コードがそのまま並んでいる
■ 本文ソースに見られる文字コードの羅列について
2通目のメールをテキストエディタでソース表示すると、日本語の一文字ずつが「ロ」のようなHTML数値文字参照(文字コードそのもの)で書かれている箇所が大量に見つかりました。メールソフト側で自動的に日本語へ変換して表示してくれるため、普段は気づきませんが、こうした冗長な文字コード表現は、スパムフィルタや解析ツールによる自動検知を逃れる目的で使われることがある手口の一つです。
2通の本文はごく一部の言い回しの違いを除き、ほぼ一字一句同一のテンプレートでした。使い回されている定型文である以上、実際にあなたのデバイスを監視しているという主張自体が根拠のないものであることが分かります。
■ 送信ルート及び偽装判定
送信者の正体:送信者アドレスは受信者自身のメールアドレス(自社ドメイン)を詐称したものです。「自分自身のアカウントから送られてきた=ハッキングされた証拠」と思わせる典型的な心理的仕掛けですが、実際にはメールの送信者欄は誰でも自由に書き換えられます。
| 項目 | 1通目 | 2通目 |
| 実際の送信元IP | 222.251.177.145 | 41.143.156.129 |
| 回線情報 | SK Broadband Co Ltd(韓国・ソウル特別市) | ADSL Maroc telecom(モロッコ・ケニトラ州) |
| ip-sc.net脅威レベル | 高(サイバーアタックの攻撃元、攻撃対象:メール) | 低 |
| ビットコインウォレット | 15rxhNUp CdSSE3AY qHjEMxdA ZcActp Eq9W | 174ELCXhs FSaNaWYApm 5kcpTBfy XyzTaVt |
2通とも一般消費者向けの家庭用回線(consumer)から送信されており、乗っ取られたパソコンやルーターが踏み台にされている可能性があります。特に1通目の送信元は、ip-sc.netのデータベースで既にメール攻撃の実績がある回線として「脅威レベル:高」に登録されていました。
■ 用語解説:SPF「Softfail」とは
SPF(送信元のメールサーバーが正規のものかを確認する仕組み)の判定結果が「Softfail」の場合、ドメインの持ち主が「この送信元は自分のドメインの正規サーバーではないはずだが、誤判定の可能性も考慮して完全には拒否しない」という設定をしていることを意味します。「Fail(拒否)」ほど強い判定ではありませんが、このホストからの送信は推奨されていない、という重要な手がかりになります。今回の2通は、いずれもこのSoftfail判定によって、送信元アドレスが詐称されたものであることが裏付けられています。
■ 注意点と対処法
- ビットコインは絶対に送金しない:盗撮動画は存在しません。送金しても攻撃はやみません。
- メールに返信・連絡しない:反応することで「生きているアドレス」と認識され、さらなる標的にされます。
- 「自分のアドレスから届いた」に動揺しない:送信者欄は誰でも自由に書き換えられます。SPF Softfailの判定がその証拠です。
- 同様の手口に注意:この自社ドメインなりすまし型セクストーションは過去記事でも紹介した通り、テンプレートを変えながら繰り返し届く手口です。
- 公式注意喚起の参照:IPA(情報処理推進機構)公式「メールの見かけ上の送信元情報を安易に信じないで」
本レポートの結論
同じテンプレートを使い回しながら、送信元だけを変えて波状的に送りつけてくる——セクストーション詐欺の典型的な運用実態が2通の比較から見えてきました。盗撮動画は存在しません。身近な人が動揺して送金してしまわないよう、この記事のURLをコピーして、家族のLINEグループで「これ気をつけて!」と共有してあげてください。
Data Provided by Heartland-Lab Security Research Unit
※本記事に記載のIPアドレス・脅威レベル情報は調査時点(2026年8月)のものであり、日々変化する可能性があります。
根拠データ参照元:ip-sc.net














