【期限間近】未確認ポイントのステータス確認および新システムへの移行のお願いはSAISON CARD詐欺——送信者名は逆読み文字で偽装、本文にはWebポップアップ文言のコピペミスも

お盆休み明けで銀行やカード会社からの通知メールが一気に溜まっている方も多いのではないでしょうか。そんなタイミングを狙うかのように、また少し手の込んだ詐欺メールが届きましたのでご紹介します。
📋 調査レポート:概要
| 対象ブランド | SAISON CARD(クレディセゾン)を騙るなりすましメール |
| 件名 | [spam]【期限間近】未確認ポイントのステータス確認および新システムへの移行のお願い |
| 受信日時 | 2026年8月13日 10時20分 |
| 危険度評価 | ★★★★☆(送信者名の偽装が巧妙で気づきにくいが、リンクを踏まなければ実害はありません) |
| 送信元 | Microsoft Azure(AS8075) |
| 誘導先 | longyimodel.com(調査時点で既にアクセス不能) |
⚠️ このメールはSAISON CARD(クレディセゾン)とは一切関係のないなりすましメールです
本文中のリンクは絶対にクリックしないでください。
📧 実際に届いた詐欺メール
実際に届いたメールがこちらです。「CREDIT SAISON & SAISON BANK」の公式ロゴ風デザインを模した、一見すると本物らしい体裁になっています。
▲ 2026年8月13日に届いた詐欺メール。「未確認ポイント 6,897ポイント」「失効予定日 2026年8月20日」と、具体的な数字で不安を煽る内容になっている
※メールヘッダー詳細は個人情報保護のため非掲載です。
🎭 送信者名に仕込まれた「逆読み」の偽装
今回、もっとも注意していただきたいのが送信者名の表示です。メールソフトの受信一覧では「SAISON CARD」と表示されていましたが、実際のヘッダー情報を見ると、送信者名の元データはこうなっていました。
From: ●DRAC NOSIAS <admingeggh7@mhxtx.longyimodel.com>
「DRAC NOSIAS」という一見意味不明な文字列、実はこれを後ろから1文字ずつ読むと「SAISON CARD」になります。文字の並び順を逆転させる特殊な制御文字を使うことで、メールソフトの画面上では「SAISON CARD」と正しい向きで表示されるよう仕組まれているのです。当サイトで以前解析した「SAISON CARDの正体はUnicode逆読み偽装だった」という記事でご紹介した手口と、根っこの部分がまったく同じです。(関連記事:「SAISON CARD」の正体はUnicode逆読み偽装だった)
💡 ここで!「逆読み偽装」ってどういうこと?
文字の並び方向を変えるための特殊な文字(見えない制御文字)をこっそり紛れ込ませることで、コンピューター上のデータでは「DRAC NOSIAS」なのに、画面に表示される見た目だけを「SAISON CARD」のように正しく読める形にすり替えるという手口です。人間の目で見える部分と、実際にコンピューターが処理しているデータが食い違うため、送信者名の表示だけを見て信じてしまうのは危険です。心配な場合は、送信者の「メールアドレス」の部分(@より後ろ)を確認するようにしてください。
🔍 本文に仕込まれたゼロ幅文字
メールをテキストエディタに貼り付けたり、メールソフトで「テキスト形式で表示」に切り替えたりすると、目には見えない文字が挟まっていることが分かる場合があります。今回のメールも、本文の一部をテキストとして取り出すと、次のような不自然な状態になっていました(■部分に見えない文字が挟まっています)。
…事前のステータス確■認および新システムへの引き継ぎ手■続きが必要となります。
「確認」の間、「手続き」の間に、それぞれ見えない文字(ゼロ幅文字と呼ばれる、画面上には何も表示されない特殊な文字)が挿入されています。これは、迷惑メールフィルターが単語をそのまま検出できないようにする、いわば目くらましの手口です。今回はこの部分だけでなく、件名や他の箇所にも同様の細工がされている可能性があります。
😅 攻撃者のコピペミスも発見
このメールを技術的に解析していく中で、思わず笑ってしまうミスも見つかりました。メールには通常、画像を表示できない環境向けの「テキスト版」が同封されているのですが、今回のテキスト版を取り出してみると、メール本文とはまったく違う、次のような文章が入っていました。
▲ 偽サイト側で実際に表示されるポップアップ画面。この文言が、なぜかメールのテキスト版にそのまま紛れ込んでいた
攻撃者は、偽サイト側のポップアップ用の文章を、うっかりメールのテキスト版にそのままコピー&ペーストしてしまったとみられます。急いで大量生産している様子がうかがえる、微笑ましいとも言えるミスです。
🌐 誘導先の状況
メール内のボタンをクリックすると、まずGoogle Chromeのセーフブラウジング機能により「危険なサイト」という警告が表示されました。
▲ Google Chromeが「危険なサイト」として自動的にブロック
その後、当サイトで改めて誘導先ドメインlongyimodel.comを確認したところ、既にサイトへアクセスできない状態になっていました。
▲ 「DNS_PROBE_FINISHED_NXDOMAIN」と表示され、ドメイン自体が名前解決できない状態
ドメインの登録情報を確認したところ、このドメイン自体は2020年に取得された古いものでしたが、更新日がメール送信の直前(2026年8月13日)になっており、登録状態には「clientHold(レジストラによる保留)」という表示もありました。恐らく、もともと別の目的で使われていたドメインが今回の詐欺のために乗っ取られるか売買され、レジストラ側の対応によって既に停止されたものと考えられます。
⚠️ 注意点と対処法
- 「永久不滅ポイント」等の有効期限やステータスは、メール内のリンクからではなく、セゾンカード公式サイトまたは公式アプリに、ご自身でブックマークや検索から直接アクセスしてご確認ください。
- 送信者名の表示だけで安心せず、少しでも不審に感じたら、送信者のメールアドレス(@より後ろの部分)を確認する習慣をつけてください。
- 「〇〇ポイントが失効します」といった、具体的な数字を挙げて焦らせる文面には特に注意が必要です。本物のお知らせであっても、まずは公式アプリで確認する方が安全です。
- 万が一リンク先で会員番号やパスワードを入力してしまった場合は、速やかにセゾンカードのお客様相談窓口に連絡し、パスワードの変更を行ってください。
📝 まとめ
今回のメールは、送信者名の逆読み偽装、本文中のゼロ幅文字、そしてテキスト版へのコピペミスと、技術的に見ると手が込んでいる部分とお粗末な部分が同居した、なんとも人間味のある一通でした。以前ご紹介した同系統の手口(関連記事:セゾンカードを騙る3つの切り口の詐欺メール)とあわせて、セゾンカード関連のなりすましメールが継続的に確認されていますので、引き続きご注意ください。
⚠️ 「未確認ポイント」の失効通知は、公式アプリ・公式サイトで直接確認を!
送信者名が正しく見えても、油断は禁物です。
Data Provided by Heartland-Lab Security Research Unit / IPアドレスの詳細な位置情報はip-sc.netを参照しています。
※本記事は2026年8月14日時点の情報をもとに作成しています。詐欺の手口は日々変化しており、記載内容と実際の被害状況が異なる場合があります。














