ETC利用照会サービスを騙る「決済方法の確認」詐欺——乗っ取りではなく格安レンタルサーバーを自ら契約してDKIMまで通す新しい手口

HL-META: date=2026-09-08 | brand=ETC利用照会サービス(なりすまし) | sender_geo=日本(レンタルサーバー設備、契約者の実所在地は不明) | site_geo=unknown | spf=softfail | dkim=pass | cloaking=unknown

皆さま、こんにちは。今回はETC利用照会サービスを騙る詐欺メールですが、いつもの「乗っ取られたドメイン」パターンとは少し違う、興味深い仕入れ方をしていましたのでご紹介します。

Heartland-Lab 専門調査レポート

ETC利用照会サービスを騙る「決済方法の確認」詐欺——乗っ取りではなく格安レンタルサーバーを自ら契約してDKIMまで通す新しい手口

危険度評価 ★★★☆☆(3/5)
騙られたブランド ETC利用照会サービス
受信日 2026年9月8日
送信元 日本の格安レンタルサーバー(契約者本人の実所在地は不明)
SPF/DKIM SPF:Softfail/DKIM:正規に通過(ただし攻撃者自身のドメイン)

⚠️ このメールはETC利用照会サービスとは一切関係のない偽物です。本文中のボタンは絶対に押さないでください。

実際に届いたメールの内容

今回届いたのは、件名「【ETC】決済方法の確認が必要です」というメールです。差出人表示は「ETC-MEISAI」となっており、いかにも公式のETC利用照会サービスからのお知らせのように見せかけています。

▲ 実際に届いたメール本文の画面

※メールヘッダー詳細は個人情報保護のため非掲載

本文をテキストで再現すると、以下のような内容でした。

ご利用カードの確認をお願いいたします

ご登録カードにおいて、決済処理が正常に完了しておらず、
対応が必要となっております。

下記より詳細をご確認ください。

[支払い情報を確認する]

ETCシステム発行コード:HXGRS166629

「ETCシステム発行コード」なる番号が添えられていますが、こうした管理番号らしき文字列は、いかにも本物のシステムが発行したように見せかけるための飾りで、実際のETCのシステムとは無関係です。

今回のポイントを簡単に解説

  • SPF(送信元のサーバーが正規に登録されているかを確認する仕組み):Softfail=「推奨されない送信元」という判定でした。
  • DKIM(メールの改ざん防止用の電子署名):今回は正しく検証をパスしていました。ただしこれは「攻撃者自身が契約したドメインに対して、そのドメイン自身が正しく署名している」というだけの話で、ETC利用照会サービスの正当性を何ら保証するものではありません。
  • HELO名(送信サーバーが自己申告する名前):差出人ドメインと一致しており、なりすましではなく実在する日本のレンタルサーバー会社のサーバーがそのまま使われていました。

送信ルートと偽装の実態

送信元として記載されているアドレスのドメインを調べたところ、日本国内で古くから運営されている格安レンタルサーバーサービスのものであることが分かりました。このサービスは誰でも契約すればオリジナルのメールアドレスを持てる仕組みになっており、攻撃者は既存の企業ドメインを乗っ取ったり偽ドメインを取得したりするのではなく、正規の手続きでこのサーバーの利用契約を結び、そこから送信していたとみられます。

正規のサービスを自分の名義で契約しているため、DKIM署名は技術的に正しく通ります。これまで当ブログで紹介してきた「乗っ取られた第三者ドメイン」のケースとは異なり、送信元ドメインの認証状況だけを見ても「なりすまし」と判定できない、少し厄介なパターンです。あくまでブランド名(ETC利用照会サービス)と実際の送信元ドメインが一致しているかどうかで判断する必要があります。

誘導先サイトの状況

本文の「支払い情報を確認する」ボタンの誘導先は、中国ドメイン配下のURLでした。ウイルスバスター(トレンドマイクロ)のWeb保護機能が、このURLを「フィッシング」の脅威として検出し、警告画面を表示しました。

▲ ウイルスバスターがフィッシングと判定した警告画面

警告を確認のうえ改めてアクセスを試みたところ、応答が非常に遅く、最終的には接続タイムアウト(ERR_CONNECTION_TIMED_OUT)となり、ページを表示することができませんでした。サーバーが既に停止・混雑しているか、フィルタリングによって意図的に応答を遅らせている可能性があります。

▲ 検証時点で誘導先は接続タイムアウトとなっていた

注意点と対処法

  • 「決済処理が完了していない」「確認が必要」といった件名のメールが届いても、本文中のリンクやボタンは押さないでください。
  • DKIMやSPFが正しく設定されていても、それだけでは「正規のブランドからのメール」とは限りません。差出人のメールアドレスのドメインが、そのブランドの公式ドメインと一致しているかを必ず確認しましょう。
  • ETCの利用料金について確認したい場合は、メール内のリンクではなく、ETC利用照会サービスの公式サイトをブックマークや検索から直接開いてください。

この記事が役に立ったら、ご家族や職場の方にもぜひ共有してください。

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Data Provided by Heartland-Lab Security Research Unit/送信元IPの調査にはip-sc.netを利用しています。

本記事は2026年9月時点の調査に基づくものです。詐欺の手口は日々変化しており、本記事の内容と異なる形の類似メールが届く可能性もありますので、引き続きご注意ください。(使用配色テーマ:Amethyst)

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