「イープラスサイト会員システムリニューアルのお知らせ」は詐欺!PCとスマホで挙動を変える巧妙なクローキング手口を解析

夏フェスやライブのチケット争奪戦がまだまだ続くこの時期、イープラスを騙る詐欺メールが届きました。今回は「会員システムリニューアル」という、いかにも公式からのお知らせらしい件名です。実際にリンク先を追いかけてみたところ、パソコンとスマートフォンで表示される内容がまったく違うという、なかなか手の込んだ仕掛けが見つかりました。
📋 調査レポート:概要
| 総合危険度 | ★★★★☆(高) |
| 騙られたブランド | イープラス(株式会社イープラス) |
| 件名 | [spam]【重要】イープラスサイト会員システムリニューアルのお知らせ |
| 送信元IP(真の送信元) | 20.78.210.236(Microsoft Corporation/日本・東京都渋谷区) |
| SPF判定 | Pass(送信者が自分でSPFレコードを設定しているだけで、イープラスの正規メールである証明にはなりません) |
| 誘導先の挙動 | PC・スマホで異なるサイトへ誘導(クローキングを確認) |
| 受信日時 | 2026年8月7日(金) |
※メールヘッダー詳細は個人情報保護のため非掲載
結論:このメールは100%詐欺(フィッシング)メールです。
本文中のリンクは絶対にタップ・クリックしないでください。
届いたメールの内容
実際に届いたメールの内容をそのまま再現します(技術検証のための引用です)。
件名:[spam]【重要】イープラスサイト会員システムリニューアルのお知らせ 送信者:"イープラス" <info@eplus.com> 【重要】イープラスサイト会員システムリニューアルのお知らせ 2026年7月15日(木)より順次実施 お客様各位 平素はイープラスをご利用いただき、誠にありがとうございます。 この度、2026年8月5日(木)より、イープラスサイトの会員システムを一部リニューアルさせていただくこととなりました。 上記に伴い、各種会員ページのデザインを変更いたします。 ◆改定日 2026年8月7日(木)〜 ◆変更対象となる会員登録情報について ・確認用アカウント(メールアドレス):必須化 ・クレジットカード名義人(ローマ字):必須化 ◆ソーシャルアカウントでのログインについて 2026年10月15日(水)をもちまして、「Yahoo! JAPAN ID」および「Apple ID」でのログイン機能の終了を予定しております。 詳細は下記をご確認ください。 https://support-qa.eplus.jp/hc/ja/articles 更新手続きを完了された方の中から、先着3000名様にセブン-イレブンで使える500円分のデジタルクーポンをプレゼントいたします。 株式会社イープラス 〒150-0013 東京都渋谷区恵比寿1-20-18 三富ビル Copyright © eplus inc. All Rights Reserved.
実際に届いたメールの画面。イープラスの正規デザインを模倣している
送信者アドレスはinfo@eplus.comとなっていますが、イープラスの正規ドメインはeplus.jpです。「.com」と「.jp」のたった1文字の違いですが、これは全くの別ドメインです。「先着3000名にクーポン」という特典で更新手続きを急がせようとする心理も、典型的な詐欺の手口です。
リンク偽装:表示文字列と実際の飛び先が違う
メール本文にはhttps://support-qa.eplus.jp/hc/ja/articlesという、いかにもイープラスの正規サポートページのようなリンク文字列が表示されています。ところがHTMLソースを確認すると、実際に飛ばされる先(href属性)はまったく別のドメインでした。
■ リンクの偽装構造
画面上の表示文字列:https://support-qa.eplus.jp/hc/ja/articles(本物そっくり)
実際のリンク先(href):hxxps://cvaqmc.bvkaleauu[.]com/(長いランダム文字列付き)
画面に表示されている文字とリンク先が異なるのは、詐欺メールの典型的な手口です。マウスカーソルをリンクに乗せたときに表示される実際のURL(スマホの場合は長押し)を確認する習慣があると、こうした偽装に気づきやすくなります。
フィッシングサイト解析:PCとスマホで表示が変わる「クローキング」
実際にこのリンクへアクセスしたところ、使用する端末によって表示される内容が明確に異なることが確認できました。こうした端末判定による表示の出し分けを「クローキング」と呼びます。
💡 用語解説:クローキングって何?
クローキングとは、アクセスしてきた端末の種類(パソコンかスマホか)や地域などによって、表示するページの内容を意図的に変える手法です。セキュリティ企業の自動調査ツールの多くはパソコン(サーバー)からアクセスするため、攻撃者はスマホでアクセスしたときだけ本物の偽サイトを見せることで、調査から逃れようとします。
パソコンでアクセスした場合は、以下のようにウイルスバスターがすぐさま「フィッシングサイトの可能性」として警告を表示しました。
PCでアクセスした場合。ウイルスバスター クラウドが即座にブロックした
一方でスマートフォンからアクセスした場合は、セキュリティ製品の警告は表示されず、代わりに「ロボットではないことを確認してください」という、正規サイトのボット対策のような画面が表示されました。
スマホでアクセスした場合に表示される「セキュリティチェック」画面
チェックボックスをタップすると「確認中…」の表示に変化する
「確認が完了しました」と表示され、ページが自動的に移動する
この「セキュリティチェック」自体が、イープラスにもセキュリティ製品にも属さない偽物です。チェックを通過すると、以下のようなイープラス公式そっくりの偽ログインページへ誘導されました。
イープラス公式のロゴ・配色を再現した偽のログインページ。IDとパスワードの入力欄がある
このページにログイン情報を入力してしまうと、イープラスのアカウントが乗っ取られ、登録されているクレジットカード情報の不正利用などの被害につながります。
注意点と対処法
✅ メール内のリンクは開かない:会員情報の変更や確認は、必ず公式アプリやブックマークしておいた公式サイトから行ってください。
✅ 送信元のドメインを確認する:イープラスの正規ドメインは「eplus.jp」です。「eplus.com」など別のドメインからのメールは疑ってください。
✅ リンクの実際の飛び先を確認する習慣を持つ:パソコンではマウスを乗せる、スマホではリンクを長押しすることで、実際のURLを事前に確認できます。
✅ 「セキュリティチェック」画面が出ても油断しない:正規サイトへの通常の遷移で、こうした確認画面を毎回挟むことは一般的ではありません。
まとめ
「会員システムリニューアル」という、いかにも業務連絡らしい件名だからこそ、つい流し読みしてリンクを開いてしまいそうになります。しかし表示されている文字列と実際の飛び先が違う、端末によって見せる顔を変える――今回の手口は、詐欺メールの技術が着実に巧妙化していることを物語っています。落ち着いて、公式アプリやブックマークから確認する習慣を持ちましょう。この記事が「あれ、これ怪しいかも」と思うきっかけになれば幸いです。ご家族、特にご高齢の方にもぜひ共有してください。
Data Provided by Heartland-Lab Security Research Unit
IPアドレスの脅威情報はIP調査兵団(ip-sc.net)のデータを参照しました。














