「Find My」を名乗るApple偽メールが滑稽すぎる件——提出期限はとっくに終了、HTML文字分割難読化とPC/スマホ二重クローキングの手口を解析

HL-META: date=2026-09-02 | brand=Apple(なりすまし) | sender_geo=unknown | site_geo=unknown | spf=pass | dkim=pass | cloaking=yes

9月に入ってからAmazonを騙るメールが相変わらず多いのですが、今日はAppleを騙るものもよく見かける一日でした。その中でも一つ、思わず「これは……」と声が出てしまうくらい間の抜けた一通が届きましたので、今日はこちらをじっくり解析していきます。

【実録・調査レポート】締切終了後に届いた、Appleを騙る「本人確認書類提出」詐欺メール

Heartland-Lab(ハートランド・ラボ)専門調査レポート

Appleを装い「本人確認書類の提出」を求めるフィッシングメールですが、よく見るとメールが届いた時点で、記載されている提出期限がすでに8日も過ぎているという、脅し文句として成立していない間の抜けたミスがありました。一方で技術面では、HTML本文の文字を細かく分割して難読化する手口や、パソコンとスマートフォンでアクセス先を変える「クローキング」など、なかなか手が込んだ作りになっていました。

緊急性レベル ★★★☆☆ (3/5)
偽装工作精度 ★★★★☆ (4/5)

※重要:差出人表示は「Find My」という、Appleの「探す」アプリ名を意味もなく流用した不自然なもの。内容と体裁のちぐはぐさに気づければ、見分けるヒントになります。

ご覧の通り、このメールはAppleを装った真っ赤な偽物です。「締切はもう過ぎているのに慌てさせようとする」おかしな作りに気づいた方は、ぜひこの記事を周りにも共有してあげてください。

■ 詐欺メール本文の再現

※以下は届いた詐欺メールを技術検証のために忠実に再現したものです(宛先アドレスの詳細は個人情報保護のため一部伏せています)。


件名:【対応必須】ご本人確認書類のご提出をお願いいたします No.01637650
差出人:Find My <ogbneqse@xaatw.yizuihao.com>
返信先:contact@apple.co.jp(表示だけの偽装。実際には無関係)

〇〇様

平素よりAppleをご利用いただき、誠にありがとうございます。

お客様のApple Accountについて、セキュリティ確認のため本人確認が必要となりました。以下の内容をご確認のうえ、期限までにお手続きをお願いいたします。

■ ご確認事項
対象のApple ID:(伏字)
受付番号:19353264
ご提出書類:運転免許証、マイナンバーカード等の本人確認書類
提出期限:2026年8月25日まで

期限内に本人確認書類のご提出がない場合、アカウントの一部機能を停止させていただく場合がございます。お手数をおかけいたしますが、以下のボタンよりお手続きください。

[本人確認を進める](実際はクリック不可・伏字にしています)

ご不明な点がございましたら、サポートページをご覧ください。今後ともよろしくお願い申し上げます。

■ メールヘッダー解析(送信ルートと偽装判定)

※メールヘッダー詳細は個人情報保護のため非掲載

差出人:「Find My」を名乗る、Appleとは無関係な独自ドメインのアドレス

SPF認証結果:Pass
DKIM署名:Valid(ともに攻撃者が自分自身のドメインに正しく設定しているだけであり、Appleの正規メールであることの証明には一切なりません)

送信元IP:35.219.39.247(逆引き:googleusercontent.com=Google Cloud Platform上のサーバー)

【偽装判定】:Appleの正規サービスが、無関係な独自ドメイン・クラウドサーバーからメールを送ることはありません。返信先に表示されている「apple.co.jp」も、実際の送信インフラとは無関係な見せかけです。

■ 用語かんたん解説

  • SPF・DKIM:メールの送り主が正規かどうかを確認する仕組みですが、「合格」は送信者側が自分のドメインを正しく設定しているという意味に過ぎず、Apple本人からの証明にはなりません。
  • クローキング:アクセスしてきた端末(パソコンかスマホか)によって、表示する内容を変える手口です。調査する側にはただの空白ページを見せ、狙った相手(一般的なスマホ利用者)にだけ本物そっくりの偽サイトを見せます。
  • HTML数値文字参照による難読化:本来「ymg」のように書ける文字列を、コンピューター向けの数値コード(例:&#109;)に置き換えて表示させる技術です。人間の目にはふつうの日本語として表示されますが、メールの文面をそのまま検索するタイプのスパムフィルターをすり抜けやすくなります。実際にメールのソースコードを表示(多くのメールソフトで「元のメッセージを表示」等のメニューから確認可能)すると、この数値コードとランダムな英数字のコメントが本文中に大量に埋め込まれているのが分かります。

■ フィッシングサイト詳細解析(PC/スマホ二重クローキング)

ステップ1:パソコンからアクセスした場合

誘導先URL(伏せ字):hxxps://www.ddzf602[.]com/?9aPut6Usekl6qVhCk8IGWw71

パソコンのブラウザ(Google Chrome)からアクセスすると、Googleのセーフブラウジング機能により「危険なサイト」という警告が表示され、ブロックされました。すでに詐欺サイトとして検出・登録されていることが分かります。

ステップ2:サイト側の追加防御

警告を解除して先へ進もうとすると、読み込み中の表示のまま止まったり、「アクセス拒否(リクエストがブロックされました)」というファイアウォールのメッセージが表示されたりしました。攻撃者側のサイトそのものにも、調査目的や不審なアクセスをはじく仕組みが組み込まれていると考えられます。

ステップ3:スマートフォンからアクセスした場合

誘導先URL(伏せ字):hxxps://login.hdesmc[.]com/login

同じメールのリンクでも、スマートフォンからアクセスすると本物のApple公式サイトと見分けがつかないほど精巧な、偽のApple IDログイン画面が表示されました。ここにメールアドレスやパスワードを入力すると、そのままAppleアカウントの情報が攻撃者に渡ってしまいます。なお、両サイトともCloudflareという中継サービスを経由しているため、サーバー自体の所在地を特定することはできませんでした。

■ 注意点と対処法

  1. メール内のリンクは開かない:本人確認・アカウント停止を理由に急がせるメールは、まず疑ってください。
  2. 日付のつじつまを確認する習慣を:今回のように「届いた時点で期限が過ぎている」など、内容に矛盾がないか落ち着いて見る癖をつけると、詐欺メールに気づきやすくなります。
  3. 心配な場合は公式アプリ・公式サイトから確認:メール内のリンクではなく、ブックマークや公式アプリから直接Apple IDの状態を確認しましょう。
  4. 万が一入力してしまったら:すぐにApple IDのパスワードを変更し、2ファクタ認証の状況も確認してください。

本レポートの結論

「締切はもう過ぎているのに急がせようとする」という間の抜けたミスがありながら、HTMLの難読化やPC/スマホの二重クローキングなど技術面はしっかり作り込まれている、ちぐはぐな一通でした。おかしな点に気づけるかどうかが被害を防ぐ第一歩です。この記事のURLをコピーして、家族や同僚にも「これ気をつけて!」と共有してあげてください。

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Data Provided by Heartland-Lab Security Research Unit
根拠データ参照元:ip-sc.net
使用配色テーマ:Teal

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