「再配達のお申し込みをお願いします」は詐欺!Amazonを騙るメールが12分で十数通の波状攻撃、送信元は海外大学・自治体サーバーの踏み台か

通販の利用が増える時期は、それに合わせて「再配達」を騙る詐欺メールも決まって増える傾向にありますが、今回はその規模が尋常ではありませんでした。件名を変えながら、短時間に立て続けに届いたAmazonなりすましメールの波状攻撃を解析します。
ご覧の通り、これはAmazonを装った真っ赤な偽物です。被害を未然に防ぐため、この解析結果を家族のLINEグループに転送して注意喚起してください。
■ 実際に届いたメール(本文再現)
※以下は届いた詐欺メールを技術検証のために忠実に再現したものです。件名・注文番号違いで複数届いていますが、本文の構成はほぼ同一です。※メールヘッダー詳細は個人情報保護のため非掲載
アマゾンより送信されたメールです お荷物のお届けに関するお知らせ いつもアマゾンをご利用いただき、誠にありがとうございます。 ご注文のお荷物をお届けに伺いましたが、ご不在のためお荷物をお預かりいたしました。 【再配達のお申し込みがない場合、お荷物は返送されます。】 注文番号 503-3206505-192478 お荷物追跡番号 684017146029 再配達申込期限 2026年09月05日 再配達をご希望の場合は、以下の「再配達を申し込む」よりお手続きをお願いいたします。 [再配達を申し込む] ※お荷物の保管期間は発送日から7日間です。再配達のご希望日時をご指定いただけます。 ※本メールは配信専用アドレスから配信されています。本メールに返信いただいてもお答えできません。

▲件名「再配達のお申し込みをお願いします」(送信者:outbound@outbound.tgzwz.com)

▲件名「お荷物のお届けができませんでした(再配達)」(送信者:routing@routing.hrfrkj.com)。本文はほぼ同一で、注文番号と申込期限のみ異なります。
■ 送信ルート及び偽装判定
メール①送信元IP(Received-SPFで確認):20.27.97.224(Microsoft Azure、日本/ドメイン「outbound.tgzwz.com」としてのSPFはPass)
メール②送信元IP(Received-SPFで確認):20.25.51.98(Microsoft Azure、アメリカ/ドメイン「routing.hrfrkj.com」としてのSPFはPass)
【偽装判定】:Amazonの正規メールは「amazon.co.jp」等の公式ドメインから送信されます。本メールはどちらもメール配信代行サービスと見られる無関係なドメインを経由しており、Amazonの公式サーバーとは一切関係がありません。
💡ここで! ヘッダーに残っていた「認証記録」から分かったこと
メールヘッダーをさらに遡ると、それぞれのメール配信サービスにログインした際の記録が残っていました。ログイン時のホスト名には「smtp.payment-community.mufg.jp」(三菱UFJ銀行を思わせる名前)や「smtp.audit-progress.hokkaido.jp」(官公庁の監査業務を思わせる名前)といった、信頼されそうな名前が使われていましたが、実際にこれらの名前を調べてみると、どちらもインターネット上には存在しない(名前解決できない)ものでした。単に一時的にそれらしい名前を名乗っていただけと考えられます。
一方、そのログインに実際に使われたIPアドレスの所在地を調べると、メール①は132.67.109.176(イスラエル・テルアビブ大学)、メール②は145.11.55.34(オランダ・ナイメーヘン市の自治体共同機関)という、実在する教育・行政機関のものでした。これらの組織自体が詐欺に関与しているのではなく、規模の大きな組織のメールサーバーが乗っ取られる、または知らないうちに踏み台にされている可能性が考えられます。
■ フィッシングサイト詳細解析
誘導先リンク
本文リンク:hxxps://zaiciba[.]com/read/w0nR0vZTLI
ヘッダー内短縮リンク:hxxps://ckngp[.]com/c/HusJaJnTrg
どちらも同一のサーバーIP 43.165.180.88 に解決し、これはTencent Cloud東京リージョンの基盤でした。以前ご紹介した楽天銀行25周年便乗の偽Google Playストア事件の誘導先と同じインフラ帯(43.165.x.x)であり、同一の詐欺グループ、あるいは同じ攻撃キットが複数のなりすましキャンペーンで使い回されている可能性があります。
現在このリンクにアクセスすると、期限切れとして404エラーになるか、無害なYouTubeへ転送されることを確認しています。これは解析や通報が入ったリンクを早期に無害化し、時間が経ってから調べた人には手口を悟らせないための仕掛けと考えられます。アクセスできないからといって危険性が下がるわけではなく、こうした使い捨てリンクを大量にばらまく手法そのものに注意が必要です。
■ 同時間帯に届いた類似メール一覧
今回ご紹介した2通以外にも、同じ朝の時間帯に、件名を変えながら次々とAmazonなりすましメールが着信していました。件名を変えて何度も送りつける典型的な波状攻撃です。
- 09:06 [spam] お荷物のお届けができませんでした(再配達) 【Amazon.co.jp】
- 11:02 [spam] 再配達のお申し込みをお願いします 【Amazon.co.jp】
- 11:04 [spam] 再配達をご希望の場合はお手続きください 【Amazon.co.jp】
- 11:04 [spam] お荷物の保管期間について(再配達) 【Amazon.co.jp】
- 11:04 [spam] 再配達をご希望の場合はお手続きください 【Amazon.co.jp】
- 11:07 [spam] お荷物をお預かりしました|再配達のご案内 【Amazon.co.jp】
- 11:09 [spam] ご不在のためお荷物をお預かりしています 【Amazon.co.jp】
- 11:11 お荷物のお届けができませんでした(再配達) 【Amazon.co.jp】
■ 注意点と対処法
- メール内のリンクから再配達を申し込まない:宅配業者・Amazonからの連絡は、必ず公式アプリか、ブラウザに直接打ち込んだ公式サイトから確認してください。
- 同じ内容のメールが件名違いで何通も届くこと自体が危険信号:正規の配送業者やAmazonが、同じ内容のお知らせを件名だけ変えて何通も送ることはありません。
- 注文番号・追跡番号は鵜呑みにしない:もっともらしい番号が書かれていても、それだけでは本物の証明にはなりません。心当たりのない注文なら無視してください。
- 公式サイトの確認:実際の注文状況はAmazon公式サイトの注文履歴ページから直接ご確認ください。
本レポートの結論
件名を変えながら短時間に大量送信されたAmazonなりすまし「再配達」詐欺でした。送信の踏み台には海外の大学や自治体機関のサーバーが使われた形跡があり、誘導先は以前解析した詐欺と同じインフラの使い回しであることも確認できました。似た件名のメールが何通も届いたら、内容を確認する前に「大量送信されている」という事実そのものを疑ってください。
Data Provided by Heartland-Lab Security Research Unit
根拠データ参照元:ip-sc.net
使用配色テーマ:Charcoal














