不正アクセスで個人情報漏えいが相次ぐ【2026年10月特集】何が起きている?今やるべきこと

こんにちは、Heartland-Labです。「ポイントがたまるから」「予約がラクだから」と、お店やネットサービスの会員登録をした覚えはありませんか? 便利な会員サービスは、裏を返せば、私たちの名前や住所、電話番号を預けているということでもあります。
その「預けた情報」が漏れたという発表が、今月はほぼ毎日のように続いています。まずは、何が起きているのかを整理しましょう。
いま何が起きているのか(10月の主な公表事案)
10月1日から15日までの間に、報道や各社の発表で明らかになった主な事案を表にまとめました。ここに載せたのは一部で、ほかにも多数の事案が公表されています。
| 公表日 | 事案 | 公表ベースの規模 |
| 10月1〜2日 | 佐川急便「お荷物問い合わせサービス」 | 情報流出の可能性(利用を一部停止) |
| 10月5日 | 「焼肉きんぐ」会員管理システム | 1000万件超 |
| 10月5日 | 大和証券(問い合わせ管理サービス経由) | 約11万人の可能性 |
| 10月6日 | GMOリサーチ&AI「infoQ」 | 最大約95万件(不正なポイント交換も) |
| 10月7〜8日 | 「IDCFクラウド」(ランサムウェア攻撃) | 495の企業・自治体に影響 |
| 10月8日 | ローソン | 215万件超 |
| 10月8日 | 第一興商(「ビッグエコー」など) | 約872万件のおそれ |
| 10月9日 | skyticket | 1400万件超 |
| 10月9日 | ブックオフ 会員管理システム | 最大643万件 |
| 10月9日 | JR東日本「えきねっと」「大人の休日倶楽部」 | 約206万件の可能性 |
| 10月15日 | ソースネクスト | 22,519,960件(同社の通知メールより) |
※件数は各社が「可能性を含む」として公表した数字で、単位(件・人)も事案ごとに異なります。そのため、足し算はしていません。
「自分は使っていない会社」では済まない理由
今回の事案には、1社だけの問題ではなく、1つの基盤や委託先が狙われて、複数の企業に被害が広がった例が目立ちます。
- クラウド基盤「IDCFクラウド」がランサムウェア攻撃を受け、495の企業や自治体に影響が出ました。JR東日本の「えきねっと」などでも、情報が漏れた可能性が公表されています。
- 問い合わせ管理サービス「i-ask」への不正アクセスでは、大和証券やシチズンにも影響が及びました。
- 第一興商のように、委託先の従業員の端末がマルウェアに感染した例もあります。
つまり、普段使っているサービスの「裏側」を支える会社が狙われると、自分が直接使っていない会社の事故でも、自分の情報が含まれてしまうことがあります。会社名に心当たりがなくても、通知が届く可能性があるわけです。
💡ここで! 「ランサムウェア」とは?
パソコンやサーバーのデータを勝手に暗号化して使えなくし、「元に戻してほしければお金を払え」と要求する攻撃のことです。最近は、データを盗んだうえで「公開されたくなければ払え」と脅す手口も増えています。
国と専門機関も動き出しました
政府は10月8日、相次ぐ漏えいを受けて関係省庁による会議を開くと発表しました。9日には、大量の個人情報を扱う事業者に対して、システムの弱点(脆弱性)への速やかな対策などを要請しています。個人情報保護委員会も事業者向けに注意喚起を出し、JPCERT/CC(日本のサイバー攻撃対応の専門機関)は、攻撃の手法と対策をまとめたページを公開しました。
また、セキュリティ会社の中には、7月以降に被害が増えていることなどから、攻撃にAIが使われている可能性が高いとみているところもあります。ただし、AIによる攻撃だと断定されたわけではなく、現時点では可能性の指摘にとどまります。
実際に届いた通知メールから見えること
Heartland-Lab運営者のもとにも、ソースネクストとskyticketから、情報流出の通知メールが届きました。内容を要点だけ紹介します。
■ ソースネクスト(10月15日付)
対象は22,519,960件(約2,252万件)。メールアドレスとパスワード、氏名、住所、電話番号、生年月日のほか、会社名・役職名・部署名まで含まれる可能性があるとされています。全会員のパスワードがリセットされ、再設定が必要になりました。クレジットカード情報は、対象のシステムに保管しておらず、流出の対象ではないとしています。
■ skyticket
対象は、パスポート表記の氏名、生年月日、メールアドレス、電話番号、住所(番地まで)、振込時の依頼人名義です。クレジットカード情報は流出していないと説明されています。
2通とも、「名前・住所・連絡先を悪用した、なりすましの連絡に注意してほしい」と呼びかけています。この通知メールの文面そのものが、これから詐欺メールのお手本にされるおそれもあります。2通の詳しい読み解きは、特集の中で扱います。
これから予想されること(あくまで予想です)
先にお伝えしておくと、現時点では、今回の漏えいを使った詐欺メールの被害が確認されたわけではありません。ただ、これまで私たちが扱ってきた詐欺メールの多くは、誰に届いても同じ内容の「バラマキ型」でした。名前や住所が出回った今後は、二次被害は、これから本格化するおそれがあります。想定されるのは、たとえば次のようなものです。
- 本名と、実際に使っているサービス名が入った、本物そっくりのメールやSMS
- 流出したメールアドレスとパスワードを、他のサービスで試す不正ログイン
- 「パスワード再設定のお願い」や「お詫び」を装った、偽の通知メール
この特集の読み方
1本が長くなりすぎないよう、3つのページに分けました。順番に読むと全体がつかめますが、気になるところだけ読んでも大丈夫です。
なぜ今月に集中したのか。どんな経路で漏れたのか。事案の一覧と、国の動きを詳しく整理します。
流出した情報の種類ごとに、どんな被害が考えられるのか。個人特定型の詐欺がどう変わるのかを解説します。
こんなメールが届いたらどう動くか。具体的な場面で示します。被害に遭ったときの連絡先も載せます。
今日からできる、最低限の3つのこと
- パスワードの使い回しをやめる:通知が届いたサービスのパスワードを変えるだけでなく、同じパスワードを他のサービスでも使っていたら、そちらも変えてください。できれば多要素認証(パスワードに加えて、スマホなどでもう一度確認する仕組み)も有効にしましょう。
- メールやSMSのリンクは使わない:本物の通知に見えても、メール内のリンクは使わず、公式アプリや、自分で登録したブックマークから確認してください。
- 身に覚えのない「再設定メール」は開かない:自分でパスワード再設定の手続きをしていないのに、再設定のメールが届いたら、リンクは開かないでください。
※くわしい対処法は、③心構えと対策編でまとめています。
本レポートの結論
10月の一連の漏えいは、1社の事故ではなく、基盤や委託先を通じて広がる形で起きています。自分が影響を受けたかどうかにかかわらず、これからしばらくは、会員情報を悪用した詐欺に警戒が必要です。身近な人が騙されてからでは手遅れです。このページのURLをコピーして、家族のLINEグループで『これ気をつけて!』と共有してあげてください。
Data Provided by Heartland-Lab Security Research Unit
参考:各社の発表、およびNHK・共同通信の報道(10月1日〜15日)
NHK(AI悪用の可能性について) NHK(政府の事業者への要請) 共同通信(関係省庁会議)








