そんな便利なサービスで更に無料なら… 確か先日も「このようなエントリー」を書きましたが、またもやNHKを騙る不届き物から NHKプラスに関するメールが届きました。 届いたのは、私の仕事用のメールアドレス。  書かれているのは、常時同時配信・見逃し番組配信サービスなどができるNHKの新しいサービスの 「NHKプラス」にアップグレードを促す内容。 だいたいNHKにユーザー登録なんてした記憶も無いし、なぜNHKが私のメールアドレスを知っている かって話です。 では、このメールもプロパティーから見ていきましょう。 件名は 「[spam] 【重要】NHKプラスアップグレードサービスお知らせ」 この件名には”[spam]”とスタンプが付けられているので迷惑メールの類です。 このスタンプはスパムスタンプと呼ばれるサーバーからの注意喚起で、これが付いている ものは全て迷惑メールと判断されたもの。 うちのサーバーの場合注意喚起だけですが、例えばGoogleのGmailサーバーの場合だと 否応なしに「迷惑メール」フォルダーに勝手に保存されるような仕組みもあります。 差出人は 「NHKプラス <noreply@nhk.or.jp>」 ”nhk.or.jp”は確かに「NHK」のドメインですが、件名の”[spam]”を見せられた後では 全く信じられませんね。 その辺りを含め、次の項で見ていくことにしましょう。 あくまでこの差出人はNHKだと言い張るが では、このメールのヘッダーソースを確認し調査してみます。 ソースから抜き出した「フィールド御三家」がこちらです。 Return-Path: 「noreply@nhk.or.jp」 ”Return-Path”は、このメールが何らかの障害で不達に終わった際に返信される メールアドレスです。 一般的には、差出人と同じメールアドレスが記載されますが、ここは誰でも簡単に 偽装可能なフィールドなのであてにできません。 | Message-ID:「20220513071429877234@nhk.or.jp」 ”Message-ID”は、そのメールに与えられた固有の識別因子。 このIDは世の中に1つしかありません。 ”@”以降は、メールアドレスと同じドメインか若しくはデバイス名が入ります。 ここも偽装可能で鵜呑みにはできません。 | Received:「from noreply0.nhk.or.jp (unknown [194.87.197.116])」 ”Received”は、このメールが通過してきた各受送信サーバーが自身で刻む 自局のホスト情報です。 ここに掲げた”Received”はこのメールが最初に通過したサーバーのもの。 すなわち、差出人が使った送信サーバーの自局情報。 記載されている末尾の数字は、そのサーバーのIPアドレスになります。 | 3項目とも”nhk.or.jp”が使われていてあくまでこの差出人はNHKだと言い張るようです。 ではまず、”nhk.or.jp”について情報を取得してみます。 このドメインを割当てているIPアドレスが”Received”に記載されているものと同じなら 差出人のメールアドレスだと認めますが、そうでない場合、特定電子メール法違反となり 処罰の対象とされます。 ※特定電子メール法違反 ・個人の場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金 ・法人の場合、行為者を罰するほか、法人に対して3000万円以下の罰金 さて、どう出るのでしょうか?  (IPアドレスが抽出されやすいように先頭に”www.”を足して検索しています) ”184.25.164.157”がこのドメインを割当てているIPアドレス。 本来なら”Received”に書かれと書かれており全く異なるので、この方はやはりアドレス偽装。 しっかり罪を償っていただきましょう! ”Received”のIPアドレス”184.25.164.157”は、差出人が利用しているメールサーバーのもの。 このIPアドレスを元にその関連情報を取得してみます。  このIPアドレスには”nhk.or.jp”ではなく”akamaitechnologies.com”と言うドメインが割当てられています。 「アカマイ・テクノロジーズ」はアメリカにあるインターネット事業を広く扱いIT企業。 どうやらこの差出人は、この企業のメールサーバーの利用者のようです。 このIPアドレスが割当てられているおおよその地域はと言うと。  ピンが立てられたのは、「アメリカジョージア州アトランタ」付近です。 IPアドレスからの取得した場所なのであくまでおおよそですよ。 このメールは、この付近に設置されたメールサーバーを介して私に届けられたようです。 サイトは閲覧制限中ですが… では引き続き本文。 NHKのサービスをご利用いただきありがとうございます、 NHKがNHKプラスにアップグレードされました。 NHKアップグレードの内容を以下に説明させていただきます。 パソコンやスマートフォン、タブレットで、総合テレビやEテレの番組を放送と同時に視聴できます。 総合テレビやEテレの番組を放送後から1週間いつでも視聴できます。 見逃し番組をジャンルやテーマ別に並べ、番組を見つけやすくしました。 見逃し番組を、日付やチャンネル、キーワードで探すことができます。 放送受信契約のある方は追加の負担なくお使いいただけます。 アップグレードは無料で、契約を結んでいる人は誰でもアップグレードする必要があります。 今すぐアップグレードして、特別な特典をお楽しみください、6〜12か月利用可能放送受信料免除。 契約しているすべてのゲストはNHKプラスにアップグレードする必要があります。 お客様の状況に応じた手続の流れをご案内します。 以下のリンクをたどって、アカウントを登録またはアクティブ化してください。 ———————— NHKのご利用手続きありがとうございます。 以下のURLをクリックし、アップグレード操作を実行します。 ———————— | これによると、常時同時配信・見逃し番組配信サービスなど「NHKプラス」は無料便利だから 今すぐリンクからアップグレードしてください。みたいなことが書かれていますね。 差出人のメールアドレスと、この本文だけ見ていると簡単にコロっと騙されてしまいそうです。 このメールは、フィッシング詐欺メールなので詐欺サイトへのリンクが付けられています。 そのリンクは「※アップグレードサービス」って書かれたところに張られていて、リンク先の URLがこちらです。  このサイトの危険性をトレンドマイクロの「サイトセーフティーセンター」で確認してみます。  おっと、私の方が早すぎましたか、まだ「未評価」のようです。 このようなフィッシング詐欺サイトがこの評価ではあまりにも危険すぎます。 評価を変更していただけるよう早速申請しておきます。 URLには”nhk”の文字も見えますが、このサイトのURLで使われているドメインは”gaebpza.cn”で ”cn”って中国のトップレベルドメインを使ったものですね。 サブドメインを含めた”www.nhk-or.jp.signup.gaebpza.cn”にまつわる情報を取得してみます。  持ち主は、私には読めない文字を含む漢字3文字の氏名の方。 ドメインの管理は中国のおおて IT企業のアリババに委託されており、おそらくは中国の方。 姑息に”outlook.com”なんてフリーメールで登録されていますね。 このドメインを割当てているIPアドレスは”45.66.216.126” このIPアドレスを元にその割り当て地を確認してみます。  これもまたおおよその位置情報ですが、ピンが立てられのは「東京都杉並区」付近。 この辺りに設置されたウェブサーバーに、リンク先の詐欺サイトは構築されているようです。 それに見難くて申し訳ないのですが、「ホスト名 45.66.216.126.static.xtom.com」と書かれているので このIPアドレスには”static.xtom.com”なんてドメインも割当てられているようですね! きっとこちらのドメインでも悪事をはたらいているのでしょう。 安全な方法でリンク先の詐欺サイトに調査目的で訪れてみました。  ご覧の通りです。 「このページを表示する権限がありません」と書かれているので閲覧制限が掛けられたようです。 これは、サイト運営者側で行われているものなのか、それともレンタルサーバー側で行われている ものなのか、私には分かりません。 まとめ 既に閲覧制限が掛けられているようなので一安心ですが、人の興味を引く内容で、メールアドレスは 偽装されているとついうっかりと騙されてしまう方も多いのかも知れませんね。 ほんと悪質です! しっかりと見抜けるスキルを付けておかないととても危険ですね! 皆さん、くれぐれもご注意ください。 いつものことながら、誤字・脱字・意味不明がありましたらお許しください(^-^; |