えっ?「さくらインターネット」なの「オリコ」なの?「さくらインターネット」と言えば、うちのサイトでよく出てくる詐欺師が利用している レンタルサーバーさんですが、今回は「さくらインターネット」さんが運営する「さくらのクラウド」を 名乗るメールが、なぜだかなんと「オリコカード」さん名義のメールアドレスで届いたってお話。(笑) 
書いてあるのは、クレジットカードの認証に失敗しレンタル料金が未払いになっているから リンクの会員メニューから情報を確認しろ言う旨が書かれています。 もちろん私は「さくらインターネット」さんのユーザーではありませんけどね(笑) では、このメールもプロパティーから見ていきましょう。 件名は 「[spam] 【さくらのクラウド】クレジットカードご確認のお願い 2022/05/10 7:53:06」 末尾のタイムスタンプは、このメールに信憑性を持たせるためのものです。 この件名には”[spam]”とスタンプが付けられているので迷惑メールの類です。 このスタンプはスパムスタンプと呼ばれるサーバーからの注意喚起で、これが付いている ものは全て迷惑メールと判断されたもの。 うちのサーバーの場合注意喚起だけですが、例えばGoogleのGmailサーバーの場合だと 否応なしに「迷惑メール」フォルダーに勝手に保存されるような仕組みもあります。 差出人は 「”Oricoカード” <xn@ronbuninfo.com>」 なぜオリコカードなの? それは、複数の詐欺メールを流用していて起こる直し忘れが原因! 一つ前のブログエントリーも差出人には「JR西日本Club J-WEST」と書いてあるのにも関わらず 本文が「えきねっと」だったりなんて事が結構多いんです。 だいたい「さくらインターネット」さんには、れっきとした”sakura.ad.jp”ってドメインをお持ちです。 それなのにこのような”ronbuninfo.com”なんて全く関連の無いドメインを使った メールアドレスで大切なユーザーにメールを送るなんて絶対にあり得ません! このドメイン、オリコカードにすらかすってないし…(笑) 因みに「オリコカード」さんのドメインは”orico.co.jp”です。
IPアドレスの割当てが無いドメインでメールを?!では、このメールのヘッダーソースを確認し調査してみます。 ソースから抜き出した「フィールド御三家」がこちらです。 Return-Path: 「<xn@ronbuninfo.com>」 ”Return-Path”は、このメールが何らかの障害で不達に終わった際に返信される メールアドレスです。 一般的には、差出人と同じメールアドレスが記載されますが、ここは誰でも簡単に 偽装可能なフィールドなのであてにできません。 | Message-ID:「<21704789BA97C36CE10259B15F170AAD@ronbuninfo.com>」 ”Message-ID”は、そのメールに与えられた固有の識別因子。 このIDは世の中に1つしかありません。 ”@”以降は、メールアドレスと同じドメインか若しくはデバイス名が入ります。 ここも偽装可能で鵜呑みにはできません。 | Received:「from ronbuninfo.com (unknown [133.242.22.153])」 ”Received”は、このメールが通過してきた各受送信サーバーが自身で刻む 自局のホスト情報です。 ここに掲げた”Received”はこのメールが最初に通過したサーバーのもの。 すなわち、差出人が使った送信サーバーの自局情報。 記載されている末尾の数字は、そのサーバーのIPアドレスになります。 |
まずは、”ronbuninfo.com”について情報を取得してみます。 このドメインを割当てているIPアドレスが”Received”に記載されているものと同じなら 差出人のメールアドレスだと認めますが、そうでない場合、特定電子メール法違反となり 処罰の対象とされます。 ※特定電子メール法違反 ・個人の場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金 ・法人の場合、行為者を罰するほか、法人に対して3000万円以下の罰金 さて、どう出るのでしょうか? 
あらら、このドメインは現在どのIPアドレスにも割り当てられていないようです。 IPアドレスに割当てられてないと使うことができないのでこのメールアドレスは偽装。 しっかり罪を償っていただきましょう! ”Received”のIPアドレス”133.242.22.153”は、差出人が利用しているメールサーバーのもの。 このIPアドレスを元にその割り当て地を確認してみます。 
プロバイダー名に「SAKURA Internet Inc.」とあるので、なんとこの差出人は あの「さくらインターネット」のユーザーでした! この位置情報はかなりアバウトですが、ピンが立てられたのは、「東京都千代田区」付近です。 このメールは、この付近に設置されたメールサーバーを介して私に届けられたようです。
”sakura.ad.jp”の欠片も無いURLで?!では引き続き本文。 いつもさくらのクラウドをご利用いただきありがとうございます。 さくらのクラウド 2022年05月ご利用分につきまして、クレジットカードの認証に 問題が発生しております。 お手数ですが、会員メニューにアクセスいただき、登録のクレジットカード にお間違えが無いかご確認いただけますでしょうか。 なお、今月末までに問題が解消されない場合、会員メニューからのクレジット 決済 または 銀行振込みいただくことになります。あらかじめご了承ください。 今後もさくらのクラウドをよろしくお願いいたします。 ====================================================================== ┏┓ ┗■ 会員情報の変更について(会員メニュー) └────────────────────────……………‥‥‥・ ご契約いただいているお名前や住所などに変更がある場合は、下記URLの会 員メニューより、ご契約者様ご自身にて手続きをお願いいたします。 《 会員メニュー – お客様情報の確認と変更 》 ttp://inc.home-dr.net/ ======================================================================= ご不明な点やご質問等ございましたら、本メール返信にてお問い合わせ ください。 今後ともさくらインターネットをよろしくお願いいたします。 ─── さくらインターネット株式会社 カスタマーセンター ─────── ■サポートサイト ttp://inc.home-dr.net/ ■カスタマーセンターへのお問い合わせ メールは24時間365日受け付けております(返信は弊社営業時間内に行います) ─────────────────────────────────── |
(詐欺サイトへのリンクは、直リンクを避けるためあえて先頭の”h”を外してあります) さくらインターネットさんのURLは「https://www.sakura.ad.jp/」で正規ドメインは「sakura.ad.jp」 でも、この本文に書かれている「会員メニュー」のリンクは、直書きされているこのURLとなっています。 
”sakura.ad.jp”の欠片も無いURLですよね。 もう間違いなく「さくらインターネット」さんのサイトではありません!! このサイトの危険性をトレンドマイクロの「サイトセーフティーセンター」で確認してみます。 
工工工エエエエエエェェェェェェ(゚Д゚)ェェェェェェエエエエエエ工工工 安全ですと??! ヤバい!このようなフィッシング詐欺サイトがこの評価ではあまりにも危険すぎます。 評価を変更していただけるよう早速申請しておきます。 このURLで使われているドメインは、サブドメインを含め”inc.home-dr.net” このドメインにまつわる情報を取得してみます。 
あら~っ、珍しくまじめに登録してあるんですね。(;^_^A しっかり氏名や電話番号までわかっちゃいます。 持ち主は、神奈川県川崎市高津区にお住まいの方。 でも、ここまできっちり登録してあるって事は、このドメインはもしかして乗っ取られてしまった ドメインなのかも知れませんよ! このドメインを割当てているIPアドレスは”115.144.69.102” このIPアドレスを元にその割り当て地を確認してみます。 
ピンが立てられのは「韓国ソウル市」付近。 もちろんかなりアバウトな位置であることをご承知ください。 そう、「さくらインターネット」ユーザーの時は決まって詐欺サイトはソウル市なんですよね。 この辺りに設置されたウェブサーバーに、リンク先の詐欺サイトは構築されているようです。 安全な方法でリンク先の詐欺サイトに調査目的で訪れてみることに。 すると、ちゃんとウイルスバスターが遮断してくれました。 さっきの「サイトセーフティーセンター」でも評価は何だったんだろうか?(汗) 
ブロックされたサイトに危険を承知で進んでみました。 表示されたのは「さくらインターネット」さんのコピーサイト。 
まるまるダウンロードされてコピーしているので、URL以外全く相違がありません。 もちろん詐欺サイトですから絶対にログインしないでください!
まとめこのサイトへログインしてしまうと、まずそのアカウントの情報が詐取されます。 次に、クレジットカードの情報を更新してしまうと、その情報も… サーバーのログインアカウントが詐取されると、サーバーのコンパネにログインすることが できてしまうので、ウェブサイトの改ざんやメールアドレスも操作されることになりますし ましてやそのサーバーを使って詐欺メール送信や、詐欺サイトの運営まで行うことでしょう。 カードが使われた上に、サーバーが詐欺サイトに改ざんされフィッシング詐欺の温床になるとは… なんと恐ろしいことでしょうか。 もちろん、受信者の中にさくらインターネットユーザーがどれほどいるのか分かりませんが 沼にはまってしまうと恐ろしいことになりそうですね。 くれぐれもお気を付けてお過ごしください。 いつものことながら、誤字・脱字・意味不明がありましたらお許しください(^-^; |