Amazonが”oragzt.top”なんてドメインで?! 私事で大変恐縮ですが、このサイトのフィッシング詐欺に関する投稿が990件を超えました。 いよいよ1000件へカウントダウンです! それだけ詐欺メールが多いということにもなるので手放しでは喜べませんが..(^^;) さて今回のエントリーは、Amazonを称する方から送られてきたこちらの摩訶不思議なメールです。  では、このメールもプロパティーから見ていきましょう。 件名は 「[spam] Amazon.co.jp 様からのギフト券がアカウントに登録されていません」 これは「Amazon.co.jp」から送られたギフト券なのでしょうか? それ以前に、この件名には”[spam]”とスタンプが付けられているので迷惑メールの類。 このスタンプはスパムスタンプと呼ばれるサーバーからの注意喚起で、これが付いている ものは全て迷惑メールと判断されたもの。 うちのサーバーの場合注意喚起だけですが、例えばGoogleのGmailサーバーの場合だと 否応なしに「迷惑メール」フォルダーに勝手に保存されるような仕組みもあります。 差出人は 「Amazon.co.jp <amazon-account@oragzt.top>」 「Amazon」さんには、れっきとした”amazon.co.jp”ってドメインをお持ちです。 それなのにこのような”oragzt.top”なんてAmazonに全く関係の無いドメインを使った メールアドレスで大切なユーザーにメールを送るなんて絶対にあり得ません! Amazonの物ではないけど偽装はされていない では、このメールのヘッダーソースを確認し調査してみます。 ソースから抜き出した「フィールド御三家」がこちらです。 Return-Path: 「<amazon-account@oragzt.top>」 ”Return-Path”は、このメールが何らかの障害で不達に終わった際に返信される メールアドレスです。 一般的には、差出人と同じメールアドレスが記載されますが、ここは誰でも簡単に 偽装可能なフィールドなのであてにできません。 | Message-ID:「<88C71F6F257B9B0034E17527A233450A@beh>」 ”Message-ID”は、そのメールに与えられた固有の識別因子。 このIDは世の中に1つしかありません。 ”@”以降は、メールアドレスと同じドメインか若しくはデバイス名が入ります。 ここも偽装可能で鵜呑みにはできません。 | Received:「from oragzt.top (unknown [137.220.242.131])」 ”Received”は、このメールが通過してきた各受送信サーバーが自身で刻む 自局のホスト情報です。 ここに掲げた”Received”はこのメールが最初に通過したサーバーのもの。 すなわち、差出人が使った送信サーバーの自局情報。 記載されている末尾の数字は、そのサーバーのIPアドレスになります。 | まずは、”oragzt.top”について情報を取得してみます。 このドメインを割当てているIPアドレスが”Received”に記載されているものと同じなら 差出人のメールアドレスだと認めますが、そうでない場合、特定電子メール法違反となり 処罰の対象とされます。 ※特定電子メール法違反 ・個人の場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金 ・法人の場合、行為者を罰するほか、法人に対して3000万円以下の罰金 さて、どう出るのでしょうか?  ”137.220.242.131”がこのドメインを割当てているIPアドレス。 差出人のメールアドレスは、間違いなくアマゾンの物ではありませんが、”Received”に 書かれているのが”137.220.242.131”ですから、”amazon-account@oragzt.top”という メールアドレスは偽装されていませんでした。 ”Received”のIPアドレス”137.220.242.131”は、差出人が利用しているメールサーバーのもの。 このIPアドレスを元にその割り当て地を確認してみます。  あくまでおおよその位置ですが、ピンが立てられたのは、「東京都千代田区九段南1丁目」付近です。 このメールは、この付近に設置されたメールサーバーを介して私に届けられたようです。 中途半端な金額のギフト券は誰から? では引き続き本文。 様からお届けしたギフト券が未だアカウントに登録されていません。お買い物する前に登録する事を おすすめします。 Amazonギフト券をお送りします ¥8,520 Amazonギフト券 | 「様」から始まってるので、このギフト券はAmazonからじゃないようです。 じゃいったい誰からなのでしょうか? 書き忘れたのか、それとも良い対象が思い浮かばないので空白にしたとか? まさか差出人は、これで人を騙せるとでも思ってるんでしょうかね?(笑) それにしても「8,520円」って中途半端な金額ですよね… このメールは、フィッシング詐欺メールなので詐欺サイトへのリンクが付けられています。 そのリンクは「アカウントに登録する」って書かれた黄色いボタンに付けられていて、 リンク先のURLがこちらです。  このサイトの危険性をトレンドマイクロの「サイトセーフティーセンター」で確認してみます。  はい?…「安全」? まさか!! 届いてすぐに調査しているので新しすぎるためにこのような評価になっているのでしょうか? このようなフィッシング詐欺サイトがこの評価ではあまりにも危険すぎます。 評価を変更していただけるよう早速申請しておきます。 このURLで使われているドメインは、サブドメインを含め”account.update-info.jjnb.shop” だいたいアマゾンがこのようなドメインでサイトを運営すると思います??(笑) このドメインにまつわる情報を取得してみます。  分かったのは、持ち主は、中国広東省の方。 ドメインの管理所得は中国のIT企業であるアリババ。 このドメインを割当てているIPアドレスは”192.161.165.123” このIPアドレスを元にその割り当て地を確認してみます。  ピンが立てられのは、詐欺サイトのメッカであるロサンゼルス近郊のリトルトーキョーに程近い場所。 この辺りに設置されたウェブサーバーに、リンク先の詐欺サイトは構築されているようです。 安全な方法でリンク先の詐欺サイトに調査目的で訪れてみました。 開いたのは、想像通りアマゾンのログインページ。  もちろん偽サイトですから絶対にログインしないでください! まとめ まあ、誰か他のギフト券か分かりませんからこのようなメールに惑わされる方は いらっしゃらないかと思いますが、一応注意喚起させていただきました。 Amazonの偽メールの時にはいつも書きますが、Amazonにはアカウントサービスの中に メッセージセンターがあります。 ここに行けばアマゾンからのメールが全て保存されていますから、怪しいなと思ったら ここを確認してみてください。 いつものことながら、誤字・脱字・意味不明がありましたらお許しください(^-^; |