中国ドメインで「重要なお知らせ」とは 三井住友カードを名乗るフィッシング詐欺メールは数あるものの、この件名でもメールは初めて。 でも、書いてある内容は見慣れたもので、第三者不正利用を疑いリンクから利用確認を促すもの。  では、このメールもプロパティーから見ていきましょう。 件名は 「[spam] 【重要なお知らせ】お客様の三井住友カードの口座から不正に出金する手口です」 この件名には”[spam]”とスタンプが付けられているので迷惑メールの類です。 このスタンプはスパムスタンプと呼ばれるサーバーからの注意喚起で、これが付いている ものは全て迷惑メールと判断されたもの。 うちのサーバーの場合注意喚起だけですが、例えばGoogleのGmailサーバーの場合だと 否応なしに「迷惑メール」フォルダーに勝手に保存されるような仕組みもあります。 差出人は 「”三井住友カード顧客サービス ” <smbc-card-account8@fqwbkyi.cn>」 へぇ~、三井住友カードが”fqwbkyi.cn”なんて中国のトップレベルドメインを使った メールアドレスで大切なユーザーにメールをね~、ありえねーよ! 発信地は「千代田区九段南」付近 では、このメールのヘッダーソースを確認し調査してみます。 ソースから抜き出した「フィールド御三家」がこちらです。 Return-Path: 「<smbc-card-account8@fqwbkyi.cn>」 ”Return-Path”は、このメールが何らかの障害で不達に終わった際に返信される メールアドレスです。 一般的には、差出人と同じメールアドレスが記載されますが、ここは誰でも簡単に 偽装可能なフィールドなのであてにできません。 | Message-ID:「<202205021945122702647@fqwbkyi.cn>」 ”Message-ID”は、そのメールに与えられた固有の識別因子。 このIDは世の中に1つしかありません。 ”@”以降は、メールアドレスと同じドメインか若しくはデバイス名が入ります。 ここも偽装可能で鵜呑みにはできません。 | Received:「from fqwbkyi.cn (unknown [202.61.181.144])」 ”Received”は、このメールが通過してきた各受送信サーバーが自身で刻む 自局のホスト情報です。 ここに掲げた”Received”はこのメールが最初に通過したサーバーのもの。 すなわち、差出人が使った送信サーバーの自局情報。 記載されている末尾の数字は、そのサーバーのIPアドレスになります。 | まずは、”fqwbkyi.cn”について情報を取得してみます。  ”202.61.181.144”がこのドメインを割当てているIPアドレス。 ”Received”に書かれているのと同じですから、メールアドレスの偽装はありません。 ”Received”のIPアドレス”202.61.181.144”は、差出人が利用しているメールサーバーのもの。 このIPアドレスを元にその割り当て地を確認してみます。  ピンが立てられたのは、「東京都千代田区九段南1丁目」付近です。 このメールは、この付近に設置されたメールサーバーを介して私に届けられたようです。 末尾の続きが知りたい(笑) では引き続き本文。 【三井住友カードからのお知らせ】 三井住友カードをご利用のお客さま利用いただき、ありがとうございます。 このたび、ご本人様のご利用かどうかを確認させていただきたいお取引がありましたので、 誠に勝手ながら、カードのご利用を一部制限させていただき、ご連絡させていただきました。 つきましては、以下ヘアクセスの上、カードのご利用確認にご協力をお願い致します。 お客様にはご迷惑、ご心配をお掛けし、誠に申し訳ございません。 何卒ご理解いただきたくお願い申しあげます。 ご回答をいただけない場合、カードのご利用制限が継続されることもございますので、 予めご了承下さい。 ———————————————— ご利用確認はこちら ———————————————— 弊社は、インターネット上の不正行為の防止·抑制の観点からサイトとしての信頼性·正当性を高めるため | 特にこれと言って日本語に違和感のなる内容ではありませんが、でも今までに何度も見飽きた本文。 でも最後の最後に「信頼性·正当性を高めるため」の先がありません…(笑) このメールは、フィッシング詐欺メールなので詐欺サイトへのリンクが付けられています。 そのリンクは「ご利用確認はこちら」って書かれたところに張られていて、リンク先の URLがこちらです。  再び中国のトップレベルドメインですね。 このサイトの危険性をトレンドマイクロの「サイトセーフティーセンター」で確認してみます。  おっと、まだ「未評価」のようです。 このようなフィッシング詐欺サイトがこの評価ではあまりにも危険すぎます。 評価を変更していただけるよう早速申請しておきます。 このURLで使われているドメインは、サブドメインを含め”csasd.pn7dcut1.cn” このドメインにまつわる情報を取得してみます。  持ち主は、私では読めない文字を含む漢字3の字の氏名の方。 そしてこのドメインの管理は、中国のIT企業であるアリババに任されています。 このドメインを割当てているIPアドレスは”155.94.135.129” このIPアドレスを元にその割り当て地を確認してみます。  ピンが立てられのは、ロサンゼルス近郊のリトルトーキョーに程近い場所。 この辺りに設置されたウェブサーバーに、リンク先の詐欺サイトは構築されているようです。 安全な方法でリンク先の詐欺サイトに調査目的で訪れてみました。 表示されたのは、三井住友カードユーザーのインターネットサイトVpassのログインページです。  もちろん偽サイトですから絶対にログインしないでください! まとめ ちゃんと間抜けなところを必ず残してくれているフィッシング詐欺メール。 今回も本文の末尾に、その「おまぬけ」な部分が残されていました。 このようなメールアドレスから届いたメールでも騙されてしまう方がいるので困ったものです。 出所をしっかり確認した上で対処するようにお願いいたします。 いつものことながら、誤字・脱字・意味不明がありましたらお許しください(^-^; |