プライム会員が標的
Amazonを騙ったフィッシング詐欺メールは本当に多くて、今朝も複数のメールが届いています。
その中から今回はこの「Prime会員資格満期のお知らせ」って件名のメールをご紹介しようと思います。
では、このメールもプロパティーから見ていきましょう。
件名は
「[spam] Prime会員資格満期のお知らせ」
この件名には”[spam]”とスタンプが付けられているので迷惑メールの類です。
このスタンプはスパムスタンプと呼ばれるサーバーからの注意喚起で、これが付いている
ものは全て迷惑メールと判断されたもの。
うちのサーバーの場合注意喚起だけですが、例えばGoogleのGmailサーバーの場合だと
否応なしに「迷惑メール」フォルダーに勝手に保存されるような仕組みもあります。
差出人は
「"Amazon" <amazon-mazon-update@ai678.cn>」
「Amazon」さんには、れっきとした”amazon.co.jp”ってドメインをお持ちです。
それなのにこのような”ai678.cn”なんて中国のトップレベルドメインを使った
メールアドレスで大切なユーザーにメールを送るなんて絶対にあり得ません!
それにこのメールアドレスだって本当に差出人のものかどうか…
偽装されていた
では、このメールのヘッダーソースを確認し調査してみます。
ソースから抜き出した「フィールド御三家」がこちらです。
Return-Path: 「<amazon-mazon-update@ai678.cn>」
”Return-Path”は、このメールが何らかの障害で不達に終わった際に返信される
メールアドレスです。
一般的には、差出人と同じメールアドレスが記載されますが、ここは誰でも簡単に
偽装可能なフィールドなのであてにできません。
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Message-ID:「<202204260811203465004@ai678.cn>」
”Message-ID”は、そのメールに与えられた固有の識別因子。
このIDは世の中に1つしかありません。
”@”以降は、メールアドレスと同じドメインか若しくはデバイス名が入ります。
ここも偽装可能で鵜呑みにはできません。
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Received:「from jreast.co.jp (unknown [103.223.122.58])」
”Received”は、このメールが通過してきた各受送信サーバーが自身で刻む
自局のホスト情報です。
ここに掲げた”Received”はこのメールが最初に通過したサーバーのもの。
すなわち、差出人が使った送信サーバーの自局情報。
記載されている末尾の数字は、そのサーバーのIPアドレスになります。
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まずは、”ai678.cn”について情報を取得してみます。
このドメインを割当てているIPアドレスが”Received”に記載されているものと同じなら
差出人のメールアドレスだと認めますが、そうでない場合、特定電子メール法違反となり
処罰の対象とされます。
※特定電子メール法違反
・個人の場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金
・法人の場合、行為者を罰するほか、法人に対して3000万円以下の罰金
さて、どう出るのでしょうか?
”121.37.103.169”がこのドメインを割当てているIPアドレス。
”Received”に書かれているのが”103.223.122.58”ですから全く異なるので、この方はやはり
アドレス偽装。
しっかり罪を償っていただきましょう!
”Received”のIPアドレス”103.223.122.58”は、差出人が利用しているメールサーバーのもの。
このIPアドレスを元にその割り当て地を確認してみます。
ピンが立てられたのは、「中国四川省雅安市」付近です。
このメールは、この付近に設置されたメールサーバーを介して私に届けられたようです。
リダイレクトされた先は?
では引き続き本文。
Primeメンバーシップの有効期限が近づいています。
Primeの会費(税込500円)をご請求することができませんでした。
これは、ご提供いただいたお支払い情報がカード発行会社に登録されている情報と一致しないためです。
この問題を解決するには、支払いカードの名前、住所、電話番号を確認してください。
最近引っ越した場合は、カード発行会社がこの情報を更新する必要がある場合があります。
3日以内にお支払い方法を更新しない場合、Primeメンバーシップはキャンセルされます。
Prime特典を引き続きご利用になる場合は、以下のリンクから関連情報を更新してください。 |
難癖付けてリンクに誘い込むのがフィッシング詐欺メールの手口。
そのリンクは「Prime会員ログイン」って書かれたところに張られていて、リンク先の
URLがこちらです。
このサイトの危険性をトレンドマイクロの「サイトセーフティーセンター」で確認してみます。
おっと、まだ「未評価」のようです。
このようなフィッシング詐欺サイトがこの評価ではあまりにも危険すぎます。
評価を変更していただけるよう早速申請しておきます。
このURLで使われているドメインは、サブドメインを含め”amaznocard-infoaz.ztremzo.shop”
このドメインにまつわる情報を取得してみます。
このドメインを割当てているIPアドレスは”23.94.75.9”
このIPアドレスを元にその割り当て地を確認してみます。
ピンが立てられのは「アメリカテキサス州ダラス」付近。
この辺りに設置されたウェブサーバーに、リンク先の詐欺サイトは構築されているようです。
安全な方法でリンク先の詐欺サイトに調査目的で訪れてみました。
「localhost で接続が拒否されました」と書かれています。
どうやらリダイレクトされて”localhost”に飛ばされたようです。
”localhost”とは、自局の事。
簡単に言えば、今このサイトを見ているデバイスの事。
そんなところにウェブサーバーなんて当然無いのでアクセスなんてできるはずもありません。
詐欺サイトは、捜査の手が及ぶのを恐れ、えてして時々姿をくらまします。
こうすることで少しでも捜査の手から逃れようとしているのです。
先程ご覧いただいた通り、IPアドレスとドメインは紐づけされたままなのでサイトは簡単に
復活することが可能な状態です。
まとめ
最近この”localhost”に飛ばされるパターンが多く見られます。
もしかして愉快犯が意図的にリダイレクトするように仕込んでいるのかもしれませんね。
こうやってブログ書いている最中にも続々と届くフィッシング詐欺メール。
くれぐれもお気を付けください。
いつものことながら、誤字・脱字・意味不明がありましたらお許しください(^-^; |