突然の「支払失敗」? 本日2つ目にご紹介するフィッシング詐欺メールは、ソニー系のIT企業「So-net」に成りすますもの。  件名の書き方などから想像すると、この差出人は、1つ前にエントリーを書いた「さくらインターネット」  ユーザーっぽい感じがします。     では、このメールもプロパティーから見ていきましょう。  件名は  「[spam] 【So-net】お支払い期限を過ぎています 2022/04/18 2:52:15」  末尾のタイムスタンは、やはり1つ前にエントリーと同じでこのメールに信憑性を持たせるためのもの。  この件名には”[spam]”とスタンプが付けられているので迷惑メールの類です。  このスタンプはスパムスタンプと呼ばれるサーバーからの注意喚起で、これが付いている  ものは全て迷惑メールと判断されたもの。  うちのサーバーの場合注意喚起だけですが、例えばGoogleのGmailサーバーの場合だと  否応なしに「迷惑メール」フォルダーに勝手に保存されるような仕組みもあります。  差出人は  「”info” <uu@saya.co.jp>」  これもまた、1つ前にエントリーと同じでどこかのメールアドレスに偽装していますね。  だって「So-net」さんには、れっきとした”so-net.ne.jp”ってドメインをお持ちです。  それなのにこのような”saya.co.jp”なんて他の企業のドメインを使ったメールアドレスで  大切なユーザーにメールを送るなんて絶対にあり得ません!  その辺りを含め、次項でじっくり確認していきます。    停止中のドメインでメールを送る? では、このメールのヘッダーソースを確認し調査してみます。  ソースから抜き出した「フィールド御三家」がこちらです。     | Return-Path: 「<uu@saya.co.jp>」  ”Return-Path”は、このメールが何らかの障害で不達に終わった際に返信される  メールアドレスです。  一般的には、差出人と同じメールアドレスが記載されますが、ここは誰でも簡単に  偽装可能なフィールドなのであてにできません。   |     | Message-ID:「<213BECE25426B680CC395F48CD86DB9E@saya.co.jp>」  ”Message-ID”は、そのメールに与えられた固有の識別因子。  このIDは世の中に1つしかありません。  ”@”以降は、メールアドレスと同じドメインか若しくはデバイス名が入ります。  ここも偽装可能で鵜呑みにはできません。   |     | Received:「from saya.co.jp (unknown [163.43.107.94])」  ”Received”は、このメールが通過してきた各受送信サーバーが自身で刻む  自局のホスト情報です。  ここに掲げた”Received”はこのメールが最初に通過したサーバーのもの。  すなわち、差出人が使った送信サーバーの自局情報。  記載されている末尾の数字は、そのサーバーのIPアドレスになります。   |       まずは、”saya.co.jp”について情報を取得してみます。  このドメインを割当てているIPアドレスが”Received”に記載されているものと同じなら  差出人のメールアドレスだと認めますが、そうでない場合、特定電子メール法違反となり  処罰の対象とされます。  ※特定電子メール法違反  ・個人の場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金  ・法人の場合、行為者を罰するほか、法人に対して3000万円以下の罰金  さて、どう出るのでしょうか?     このドメインは、東京都新宿区にある「有限会社サヤプランニング」って企業の持ち物で。  現在このドメインを割当てているIPアドレスは無いようです。  割当ててるIPアドレスが無いドメインは使えないのでやはりこのメールアドレスは偽装です。  ”Received”のIPアドレス”163.43.107.94”は、差出人が利用しているメールサーバーのもの。  このIPアドレスを元にその情報を確認してみます。     やっぱり!  プロバイダー名に「SAKURA Internet Inc.」と書かれているので、この差出人はさくらインターネットの  ユーザーです。  ピンが立てられたのも大阪市北区なのでさくらインターネット本社ビルが有る辺り。  このメールは、この付近に設置されたメールサーバーを介して私に届けられたようです。    詐欺サイトは隣国の首都で運営中 では引き続き本文。     ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  [So-net] 2022年04月ご請求のご案内  ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 平素はSo-netをご利用いただき、誠にありがとうございます。  支払失敗により  失効を回避するため、以下URLより現在のお支払い情報をご確認のうえ、  更新をお願いします。  2022年04月ご請求料金が確定いたしました。  ご請求の内容はマイページよりご確認いただけます。  |       私、「So-net」会員じゃないのでこのようなメール送られても全然平気なのです!(笑)  このメールは、フィッシング詐欺メールなので詐欺サイトへのリンクが付けられています。  そのリンクは本文に直書きされていて、リンク先のURLがこちらです。     注意していただきたいのは、このURLで使われているドメインは”so-net.ne”ではなくて”amiteq.com”  なので、リンク先は「So-net」のものではありません!  このサイトの危険性をトレンドマイクロの「サイトセーフティーセンター」で確認してみます。     このように既に危険サイトと認識されており、カテゴリは「フィッシング」と書かれています。  このURLで使われているドメインは、サブドメインを含め”so-net.ne.amiteq.com”  このドメインにまつわる情報を取得してみます。     このドメインの取得は、アメリカのレジストラ「GoDaddy.com, Inc」で取得し  現在は、日本のIT企業「GMO」で管理されているようです。  このドメインを割当てているIPアドレスは”115.144.69.8”  このIPアドレスを元にその割り当て地を確認してみます。     ピンが立てられのは「韓国ソウル」付近。  この辺りに設置されたウェブサーバーに、リンク先の詐欺サイトは構築されているようです。  危険と言われると見に行きたくなるのが人情と言うもの。  安全な方法でリンク先の詐欺サイトに調査目的で訪れてみました。  一度ウイルスバスターに遮断されましたが、接続されたのは「So-net」のコピーサイト。     もちろん偽サイトですからログインしてはいけません。    まとめ 「So-net」を騙ったフィッシング詐欺メールが私のところに届いたのは初めてですね。  もしかしてこれから増えてくるのでしょうか?  それとも、様々なプロバイダーに成りすまして同じようなメールを送ってくるようになるのでしょうか?  どちらにしても危険なメールになると思うので用心が必要ですね。  いつものことながら、誤字・脱字・意味不明がありましたらお許しください(^-^;  |