詐欺師から「ラッキーユーザー」だって(笑)
Amazonからキャンペーンに当選したと、このようなメールが届きました♪
おお、そんなキャンペーンやってたな。
でもポイント還元はしてたけど、ギフトカードのプレゼントなんてやってたかな??
って、差出人のメールアドレスを見たら…(笑)
では、このメールもプロパティーから見ていきましょう。
件名は
「[spam] 【ギフト券プレゼント 】新生活応援キャンペーン」
この件名には”[spam]”とスタンプが付けられているので迷惑メールの類です。
このスタンプはスパムスタンプと呼ばれるサーバーからの注意喚起で、これが付いている
ものは全て迷惑メールと判断されたもの。
うちのサーバーの場合注意喚起だけですが、例えばGoogleのGmailサーバーの場合だと
否応なしに「迷惑メール」フォルダーに勝手に保存されるような仕組みもあります。
差出人は
「amozon-account-update@21a1ai.shop」
「Amazon」さんには、れっきとした”amazon.co.jp”ってドメインをお持ちです。
それなのにこのような”21a1ai.shop”なんてAmazonに関連性の無いドメインを使った
メールアドレスで大切なユーザーにメールを送るなんて絶対にあり得ません!
その辺りを含め、次の項で見ていくことにしましょう。
アドレス偽装発覚!
では、このメールのヘッダーソースを確認し調査してみます。
ソースから抜き出した「フィールド御三家」がこちらです。
Return-Path: 「<amozon-account-update@21a1ai.shop>」
”Return-Path”は、このメールが何らかの障害で不達に終わった際に返信される
メールアドレスです。
一般的には、差出人と同じメールアドレスが記載されますが、ここは誰でも簡単に
偽装可能なフィールドなのであてにできません。
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Message-ID:「<amozon-account-update@21a1ai.shop>」
”Message-ID”は、そのメールに与えられた固有の識別因子。
このIDは世の中に1つしかありません。
”@”以降は、メールアドレスと同じドメインか若しくはデバイス名が入ります。
ここも偽装可能で鵜呑みにはできません。
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Received:「from itckz (unknown [112.254.70.183])」
”Received”は、このメールが通過してきた各受送信サーバーが自身で刻む
自局のホスト情報です。
ここに掲げた”Received”はこのメールが最初に通過したサーバーのもの。
すなわち、差出人が使った送信サーバーの自局情報。
記載されている末尾の数字は、そのサーバーのIPアドレスになります。
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まずは、”21a1ai.shop”について情報を取得してみます。
このドメインを割当てているIPアドレスが”Received”に記載されているものと同じなら
差出人のメールアドレスだと認めますが、そうでない場合、特定電子メール法違反となり
処罰の対象とされます。
※特定電子メール法違反
・個人の場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金
・法人の場合、行為者を罰するほか、法人に対して3000万円以下の罰金
さて、どう出るのでしょうか?
”121.37.107.99”がこのドメインを割当てているIPアドレス。
”Received”に書かれているのが”112.254.70.183”ですから全く異なるもの。
この方はアドレスを偽装しています。
しっかり罪を償っていただきましょう!
”Received”のIPアドレス”112.254.70.183”は、差出人が利用しているメールサーバーのもの。
このIPアドレスを元にその割り当て地を確認してみます。
ピンが立てられたのは、「中国済南市」付近です。
このメールは、この付近に設置されたメールサーバーを介して私に届けられたようです。
20,000円分のギフトカードをプレゼント!
では引き続き本文。
2022年第一弾 お客様キャンペーン:
平素より、Amazonをご利用いただきありがとうございます
厳正なる抽選の結果、貴方様が見事「Amazonギフトカード20,000円分」にご当選おめでとうございます。
つきましては、48時間以内に、下記URLから賞品発送情報のご登録をお願いいたします
※ご登録期限を過ぎた場合は、誠に勝手ながら、当選を無効させていただきます。
またご登録に不備がございます場合においても当選が無効となる場合がございます。
※賞品は7営業日以内に発送いたします。
今後とも、Amazonをどうぞよろしくお願いいたします。 |
ここには、20,000円分のギフトカードをプレゼントすると書かれています。
48時間以内にリンクからギフトカードの発送先を登録するように指示されていますね。
当然そのリンクは、フィッシング詐欺サイトへのリンク。
そのリンクは「クリックして受け取る」って書かれたところに張られています。
住所を登録しなければならないのに「クリックして受け取る」ってものどうかとは思いますが…
そのリンク先のURLがこちらです。
このサイトの危険性をトレンドマイクロの「サイトセーフティーセンター」で確認してみます。
おっと、「安全」と書かれています。
このようなフィッシング詐欺サイトが安全とはあまりにも危険すぎます。
早速この評価を変更していただけるよう申請しておきます。
このURLで使われているドメインは、サブドメインを含め”armazon-account-service.pgohx.vip”
このドメインにまつわる情報を取得してみます。
残念ながら何の情報も得ることはできませんでした。(汗)
せめてIPアドレスだけでもと取得できるか確認してみます。
おお、IPアドレスとの紐づけは解除されていないようです。
このドメインを割当てているIPアドレスは”107.175.44.174”
このIPアドレスを元にその割り当て地を確認してみます。
ピンが立てられのは「カリフォルニア州パロアルト」付近。
この辺りに設置されたウェブサーバーに、リンク先の詐欺サイトは構築されているようです。
安全な方法でリンク先の詐欺サイトに調査目的で訪れてみました。
ところが開いたのは「localhost で接続が拒否されました」と書かれたこのようなページ。
”localhost”とは、自局。
すなわち今自分が利用しているデバイスです。
当然そんなところにウェブサイトなんてありませんから開くはずがありません。
たぶん、接続しようとしたURLから”localhost”にリダイレクトされたようです。
詐欺サイトは、捜査の手が及ぶのを恐れ、えてして時々姿をくらまします。
こうすることで少しでも捜査の手から逃れようとしているのです。
先程ご覧いただいた通り、IPアドレスとドメインは紐づけされたままなのでサイトは簡単に
復活することが可能な状態です。
まとめ
このパターンは何度か経験しています。
「サイトセーフティーセンター」では安全と表示され、IPアドレスとドメインは紐づけされたままなのに
リダイレクトされ”localhost”に接続される。
これが一時的な閉鎖なのか、それとも愉快犯なのか…私には判断付きません。
でも、相手は詐欺師、一時的な閉鎖と考えて注意する方が妥当ですね。
いつものことながら、誤字・脱字・意味不明がありましたらお許しください(^-^; |