件名と本文がリンクしない
件名と本文愛用が全く結びつかないとんだバカげたメールが届きました。
見てやってください、件名は確かに「えきねっと」と書いてあるのに、差出人は「My au」と
記載されていて、そして本文はau…(;’∀’)
分かって作ってるのかそれとも分からず作っているのか…
では、このメールもプロパティーから見ていきましょう。
件名は
「[spam] 【重要なお知らせ】えきねっとの本人確認のお知らせ、情報を更新してください。メール番号:M3977889」
メール番号は、このメールに信憑性を持たせるために付けられた適当な連番。
でも件名と差出人がバラバラではね…
この件名には”[spam]”とスタンプが付けられているので迷惑メールの類です。
このスタンプはスパムスタンプと呼ばれるサーバーからの注意喚起で、これが付いている
ものは全て迷惑メールと判断されたもの。
うちのサーバーの場合注意喚起だけですが、例えばGoogleのGmailサーバーの場合だと
否応なしに「迷惑メール」フォルダーに勝手に保存されるような仕組みもあります。
差出人は
「"My au" <support@service.tk671.cn>」
「au」さんには、れっきとした”au.com”ってドメインをお持ちです。
それなのにこのような”service.tk671.cn”なんて中国のトップレベルドメインを使った
メールアドレスで大切なユーザーにメールを送るなんて言語道断です!
とは言え、このメールアドレスだって偽装されているかも知れないので眉唾ものです。
その辺りも含め、次項で解説していきます。
メールアドレス偽装疑惑
では、このメールのヘッダーソースを確認し調査してみます。
ソースから抜き出した「フィールド御三家」がこちらです。
Return-Path: 「<support@service.tk671.cn>」
”Return-Path”は、このメールが何らかの障害で不達に終わった際に返信される
メールアドレスです。
一般的には、差出人と同じメールアドレスが記載されますが、ここは誰でも簡単に
偽装可能なフィールドなのであてにできません。
|
Message-ID:「<20220404174818884767@service.tk671.cn>」
”Message-ID”は、そのメールに与えられた固有の識別因子。
このIDは世の中に1つしかありません。
”@”以降は、メールアドレスと同じドメインか若しくはデバイス名が入ります。
ここも偽装可能で鵜呑みにはできません。
|
Received:「from service.tk671.cn (unknown [107.174.245.26])」
”Received”は、このメールが通過してきた各受送信サーバーが自身で刻む
自局のホスト情報です。
ここに掲げた”Received”はこのメールが最初に通過したサーバーのもの。
すなわち、差出人が使った送信サーバーの自局情報。
記載されている末尾の数字は、そのサーバーのIPアドレスになります。
|
まずは、”service.tk671.cn”について情報を取得してみます。
このドメインを割当てているIPアドレスが”Received”に記載されているものと同じなら
差出人のメールアドレスだと認めますが、そうでない場合、特定電子メール法違反となり
処罰の対象とされます。
※特定電子メール法違反
・個人の場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金
・法人の場合、行為者を罰するほか、法人に対して3000万円以下の罰金
さて、どう出るのでしょうか?
”107.173.189.38”がこのドメインを割当てているIPアドレス。
”Received”に書かれているのが”107.174.245.26”ですから全く異なるので、この方はやはり
アドレス偽装。
しっかり罪を償っていただきましょう!
”Received”のIPアドレス”107.174.245.26”は、差出人が利用しているメールサーバーのもの。
このIPアドレスを元にその情報と割り当て地を確認してみます。
このIPアドレスには”host.colocrossing.com”ってドメインが割り当てられているようですね。
このドメインは、アメリカのプロバイダー「ColoCrossing」の持ち物ですから、差出人はその
ユーザーのようですね。
次にこのIPアドレスの割り当て地。
ピンが立てられたのは、ワシントン州タックウィラ付近。
この付近にあるメールサーバーを差出人は利用したようです。
クラウドフレアに遮断された
では引き続き本文。
auのお客様
いつもauをご利用いただき誠にありがとうございます。
お客様の月間のデータ通信量がご利用中のプランの上限を超過したため、
通信速度を低速に制限しております。
通信速度制限中にそのまま使い続けた場合、超過料金は発生しますので、
早めに解除手続きの程よろしくお願い致します。予めご了承ください。
【ご会員ID】
⇒アカウントを更新してください |
この本文は「au」のフィッシング詐欺メールの際にご紹介したものと全く同じ。
言い換えれば、この差出人は少なくとも「えきねっと」も「au」など複数のフィッシング
詐欺メールを操っているようです。
今までのメールは「【ご会員ID】」と書かれた後にこちらのメールアドレスが会員ID
として記載されていましたが、今回の差出人はそれを貼り付けるのを忘れてしまった
ようですね。(笑)
このメールは、フィッシング詐欺メールなので詐欺サイトへのリンクが付けられています。
そのリンクは「⇒アカウントを更新してください」って書かれたところに張られていて
リンク先のURLがこちらです。
えきねっとにもauにも全くかすらないURLですね。(;^_^A
このサイトの危険性をノートンの「セーフウェブレポート」で確認してみます。
このように既に危険サイトと認識されていますね。
このURLで使われているドメインは、サブドメインを含め”delicate-sky-d83e.jenniferimartinz33.workers.dev”
このドメインにまつわる情報を取得してみます。
殆どがプライバシー保護でマスクされてさっぱり分かりません。
割り当てているIPアドレス以外に唯一分かるのは、持ち主はカナダの方と言うことくらい。
このドメインを割当てているIPアドレスは”172.67.208.195”
このIPアドレスを元にその割り当て地を確認してみます。
ピンが立てられのは、カナダのトロント付近。
危険と言われると見に行きたくなるのが人情と言うもの。
安全な方法でリンク先の詐欺サイトに調査目的で訪れてみました。
開いたのはアメリカのセキュリティー企業「Cloudflare(クラウドフレア)」が発する
セキュリティー警告メッセージ。
最上段の赤文字には、翻訳するとこのように書かれています。
「フィッシング詐欺の疑いのあるサイトが先にあります!
このリンクにはフィッシングのフラグが付けられています。避けることをお勧めします。」
ってなわけで、これ以上の深追いは危険なようなので今回の調査はこれにて終了。
まとめ
このような低能でちゃらんぽらんなフィッシング詐欺メール、誰も騙せないでしょうね。
でも、中には巧妙なものもあるので気を抜くことはできません。
メールのリンクはくれぐれも開かぬようご注意ください。
いつものことながら、誤字・脱字・意味不明がありましたらお許しください(^-^; |