前書き
今回は、『三井住友信託銀行』に成り済ます不審なメールのご紹介となります。
不審なメールではよく見掛ける『犯罪収益移転防止法』をネタにして詐欺メールです。
件名:[spam]【三井住友信託銀行】【要返信】お客様の直近の取引における重要な確認について
送信者:三井住友信託銀行 <no-reply@clarkcup.com> |
三井住友信託銀行をご利用いただき、誠にありがとうございます。
当社では、犯罪収益移転防止法に基づき、お取引を行う目的等を確認させていただいております。
なお、この確認に伴いご確認頂けないお客様のアカウントに対し、一時的な利用制限を実施しております。
以下の内容をご確認のうえ、質問項目のご回答をお願いいたします。
h**ps://zccmzx.com
お客様のご返信内容を確認後、利用制限の解除を検討させていただきますので、できる限り詳細にご回答ください。
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三井住友信託銀行株式会社金融機関コード : 0294
登録金融機関 関東財務局長(登金)第649号
加入協会: 日本証券業協会、一般社団法人 日本投資顧問業協会、一般社団法人 金融先物取引業協会
本メールの内容を無断で引用、転載することを禁じます。 |
件名の見出しを確認
この件名の見出しには”[spam]”とスタンプが付けられているので迷惑メールの類です。
このスタンプはスパムスタンプと呼ばれるサーバーからの注意喚起で、これが付いている
ものは全て迷惑メールと判断されたもの。
うちのサーバーの場合注意喚起だけですが、例えばGoogleのGmailサーバーの場合だと
否応なしに『迷惑メール』フォルダーに勝手に保存されるような仕組みもあります。
メールアドレスのドメインを確認
送信者として記載されているメールアドレスのドメイン(@より後ろ)は『clarkcup.com』
ここは送信者がいくらでもウソを書くことができる部分で絶対鵜呑みにしてはいけません。
『三井住友信託銀行』を全く想像できないこのドメイン。
因みに同社が利用するメールアドレスのドメインを『Search Labs | AI』で検索してみると『@smtb.jp』と書かれています。
故にこのドメイン以外のメールアドレスで届いた同社からのメールは全て偽物と言うことになります。
では、送信者の素性が分かるメールヘッダーの『Receivedフィールド』から情報を探ってみます。
こちらがこのメールのReceivedフィールドがこちらです。
Received: from unknown (HELO mail2.clarkcup.com) (121.127.246.17) |
ここに書かれているドメイン『mail2.clarkcup.com』に関する詳しい情報を『Grupo』さんで取得してみます。
ReceivedフィールドのIPアドレスと合致したので、この送信者はメールアドレスを偽装することなくこのメールを送信したようです。
そしてこのドメインの持ち主は、群馬県の方とされていますが、『Registrant City』と『Registrant Street』はどうやら中国っぽい住所なのでウソの申請が行われていますね。
このReceivedフィールドの末尾にあるIPアドレスからメールの発信地を導き出してみると、香港付近であることが分かりました。
宛名を確認
このメールには、通常記載されているはずの冒頭の宛名がありません。
このようなアカウントに関する重要なメールに宛名が書かれていないなんて考えられませんし
大きなビジネスメールのマナー違反であります。
リンク先のドメインを確認
さて、本文に直書きされた詐欺サイトへのリンクですが、当然偽装されていて、実際に接続されるサイトのURLは以下の通りです。
【h**ps://sdkcw.com/client_pc/index.php#/ib/login】
(直リンク防止のため一部の文字を変更してあります)
これまた『三井住友信託銀行』のドメインとは異なるものが利用されていますね。
このドメイン『sdkcw.com』に関する詳しい情報を『Whois』さんで取得してみます。
申請者の連絡先として記載されている国は『Country:JP』
でも住所にある『State:jin shi』ってどこでしょうか?
もしかしてまた偽りの住所を使ってこのドメインを取得したのでしょうか?
『aWebAnalysis』さんでこのドメインを割当てているIPアドレスを取得してみます。
このIPアドレスからそのロケーション地域を調べると、先程とは異なるもののまたしても香港付近であることが分かりました。
リンクを辿ってみると、一旦はウイルスバスターにブロックされましたが、このようなページが開きました。
本物と比較してみましたが、全く見分けが付かない完全なコピーサイトです。
当然、ここにログインしてしまうとその情報は詐欺犯に把握され不正ログインが可能となります。
この先のページで会員情報の更新と称し更に個人情報やクレジットカードの情報を盗み取られた上で詐欺の被害に遭うことになります。 |