今度は『犯罪収益移転防止法』テンプレートで
いつもご覧くださりありがとうございます! 
1つ前のエントリーで初めてご紹介した『ろうきん』の名を騙った詐欺メール。 
新しいターゲットを『ろうきん』に絞った途端にいくつかある詐欺メールテンプレートを使って堰を切ったように怒涛の如く新しい詐欺メールを送りこんできました。 
今度は『犯罪収益移転防止法』を使ったテンプレートに『ろうきん』を当てはめて送ってきました。 
 
『ろうきん』を名乗っておきながらの相変わらず『ろうきん』とはまったく異なるメールドメインを使っています。 
これだけ見てもこのメールは『ろうきん』からではないことは明白です」。 
では、このメールを解体し詳しく見ていきましょう! 
まずはプロパティーから見ていきます。 
件名は『[spam] 【労働金庫】お客さま情報等の確認について』 
ご承知の通り件名欄は、差出人が書き込むものですからいくらでも適当に記入できます。 
この件名には”[spam]”とスタンプが付けられているので迷惑メールの類です。 
このスタンプはスパムスタンプと呼ばれるサーバーからの注意喚起で、これが付いている 
ものは全て迷惑メールと判断されたもの。 
うちのサーバーの場合注意喚起だけですが、例えばGoogleのGmailサーバーの場合だと 
否応なしに『迷惑メール』フォルダーに勝手に保存されるような仕組みもあります。 
差出人は『"労働金庫" <no-reply@smokeadoob.com>』 
皆さんはご存じでしょうか? 
この差出人欄は完全に自己申告制で、誰でもウソが書けるフィールド。 
ですから、ここは信用できない部分です。 
 
このメールも香港紅カン周辺から送信
では、このメールが悪意のあるメールであることを立証していきましょうか! 
まず、このメールのヘッダーソースにある”Received”を確認し調査してみます。 
私が愛用のThunderbirdの場合、『表示(V)』⇒『メッセージのソース(O)』と進むと見られますよ。 
| Received:『Received: from mail5.smokeadoob.com (unknown [121.54.173.182])』 | 
 
 
ここに掲げた”Received”は、ヘッダー内に複数ある”Received”の中で時系列が一番古いもので 
このメールを差出したデバイスの情報と最初に通過したサーバーの情報が刻み込まれています。 
末尾の4つに区切られた数字の集まりはIPアドレスと呼ばれるいわばインターネット上の住所や電話番号で同じ数字の集まりは世界中に1つしかありません。 
因みに、この数字の集まりじゃあまりにも煩雑でわかりにくいので、それに文字を割り当て分かり易くしたものがドメインと呼ばれるものです。 
”Received”の前半のドメイン部分は、往々にして偽装されていることが多いものですが、末尾のIPアドレスは送信者のデバイスに割当てられたもので偽装することができません。 
ここに記載されているIPアドレス”121.54.173.182”は、差出人が利用したメールサーバーの情報でこれを紐解けば差出人の素性が見えてきます。 
このIPアドレスを元に送信に使われた回線情報とその割り当て地を『IP調査兵団』さんで確認してみます。 
 
(※IPアドレスから導き出された位置情報は、必ずしもそれほど正確ではありません) 
代表地点として地図に立てられたピンの位置は、1つ前のエントリーでご紹介したろうきんの詐欺メールと同じ、香港の紅カン周辺。 
あくまで大雑把な代表地点なのをお忘れなく。 
そして送信に利用されたプロバイダーも同じバングラデシュに拠点を置く『CTG Server Limited』 
このメールは、この付近に設置されたデバイスから発信され、このプロバイダーのメールサーバーを介して届けられたようです。 
 
日本武道館に程近い所で運営されている詐欺サイトは?
では引き続き本文。 
| 労働金庫をご利用いただき、誠にありがとうございます。
 当社では、犯罪収益移転防止法に基づき、お取引を行う目的等を確認させていただいております。 
また、この度のご案内は、当社ご利用規約第5条1項3に基づくご依頼となります。 
◆お客様お客様の直近の取引についていくつかのご質問がございます、下記のリンクをアクセスし、ご回答ください。 
h**ps://szdtop.com 
※一定期間ご確認いただけない場合、口座取引を一部制限させていただきます。 
※回答が完了しますと、通常どおりログイン後のお手続きが可能になります。 
お客様のご返信内容を確認後、利用制限の解除を検討させていただきますので、できる限り詳細にご回答ください。  | 
 
 
※直リンク防止のためリンクのURLの一部の文字を変更してあります。 
このメールは詐欺メールですから詐欺サイトへのリンクが付けられています。 
そのリンクは本文内に直書きされていて 
そのリンク先をコンピュータセキュリティブランドのトレンドマイクロの『サイトセーフティーセンター』で検索するとその危険度はこのように評価されていました。 
 
既に『フィッシングサイト』としてしっかりブラックリストに登録済みですね。 
このURLで使われているドメインは”dealguided.com” 
このドメインにまつわる情報を『Grupo』さんで取得してみます。 
 
東京の方が運用されているよされるこのドメインを割当てているIPアドレスは”137.220.244.81” 
このIPアドレスを元にサイト運営に利用されているホスティングサービスとその割り当て地を再び『IP調査兵団』さんで確認してみます。 
(※IPアドレスから導き出された位置情報は、必ずしもそれほど正確ではありません) 
代表地点として地図に立てられたピンの位置は、東京にある日本武道館に程近い場所。 
こちらもあくまで大雑把な代表地点でございます。 
利用されているホスティングサービスは、メールと同じ『CTG Server Ltd.』 
この辺りに設置されたウェブサーバーに、リンク先の詐欺サイトは構築されているようです。 
危険だと聞かされると余計に見に行きたくなるのが人間のサガ…(;^_^A 
それを承知で、しっかりとセキュリティーの整った環境下で見に行ってみました。 
開いたのは『全国労働金庫協会』と書かれた『ろうきん』によく似たさいとが開きました。 
ろうきんは地域別で管理されいているので、各地域のろうきんへのログインボタンが用意されています。 
一番上にあった『北海道ろうきん』のウェブサイトへ行ってみます。 
(多分どの地域のボタンを押してもリンク先は同じかと…) 
 
詐欺サイトだから、これ絶対打ち込んじゃだめですよ! 
全部詐欺師に筒抜けですから。 
もしこの情報がばれてしまうと、あなたのろうきんで詐欺を働かれることになります。 
 
まとめ
恐ろしいことに、今、こうしている間にも大量のフィッシング詐欺メールが発信されたくさんの 
フィッシング詐欺サイトが作られ消滅していきます。 
次から次に新種のメールが届くので常に意識して被害に遭わないようご注意ください。 
いつものことながら、誤字・脱字・意味不明がありましたらお許しください(^-^; 
 
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