ヤバ!危うく騙されるところだった。。。
いつもご覧くださりありがとうございます!
ホスティングサービスの名を騙り乗っ取りやフィッシング詐欺を目的で送られてくるメールも多々あります。
今回はそんなメールのお話。
先日このようなメールが私のところに届きました。
ダメだよ!こんなメール送っちゃ…(-_-;)
マジで本物かと思ったよ!
これはホスティングサービスの『カゴヤ・ジャパン』(以下カゴヤ)さんの名を騙ったメールアカウントの
乗っ取りを目的としたメールです。
うちの事務所、カゴヤさんと契約しているからマジで焦りました。(;^_^A
ではプロパティーから見ていきます。
件名は『【KAGOYA会員】サーバー再発行審査メールのご案内』
ご承知の通り件名欄は、差出人が書き込むものですからいくらでも適当に記入できます。
いつもならこの手のメールの場合、件名に”[spam]”とスタンプが付けられているのですが
今回はそれがありません。
そのために余計に焦りました。(笑)
差出人は
『KAGOYA RENTAL SERVERS <support.center.activemail@kagoya.jp>』
皆さんはご存じでしょうか?
この差出人欄は完全に自己申告制で、誰でもウソが書けるフィールド。
ですから、ここは信用できない部分です。
”kagoya.jp”は確かにカゴヤさんの取得しているドメイン。
でもこのメールは乗っ取り目的の偽メールなので偽装されているはず!
その辺りは次の項でしっかり見ていきましょう。
カゴヤじゃなくて『InMotion Hosting』
では、このメールが悪意のあるメールであることを立証していきましょうか!
まず、このメールのヘッダーソースにある”Received”を確認し調査してみます。
私が愛用のThunderbirdの場合、『表示(V)』⇒『メッセージのソース(O)』と進むと見られますよ。
Received:『Received: from vps109581.inmotionhosting.com (vps109581.inmotionhosting.com [192.145.237.161])』 |
おやおや?
本来ならここにはメールアドレスと同じ”kagoya.jp”が記載されるはず
でもそれとは異なる”vps109581.inmotionhosting.com”なんてドメインが
記載されていますね。
これはどういう意味なのでしょうね?
ここに掲げた”Received”は、ヘッダー内に複数ある”Received”の中で時系列が一番古いもので
このメールを差出したデバイスの情報と最初に通過したサーバーの情報が刻み込まれています。
末尾の4つに区切られた数字の集まりはIPアドレスと呼ばれるいわばインターネット上の住所や電話番号で
同じ数字の集まりは世界中に1つしかありません。
因みに、この数字の集まりじゃあまりにも煩雑でわかりにくいので、それに文字を割り当て分かり易くした
ものがドメインと呼ばれるものです。
”Received”の前半のドメイン部分は、往々にして偽装されていることが多いものですが、末尾のIPアドレスは
送信者のデバイスに割当てられたもので偽装することができません。
このIPアドレスが差出人のメールアドレスのドメインに割当てられているものと一致すれば
メールアドレスの偽装は無かったことが証明されますが、そうでない場合、特定電子メール法
違反となり処罰の対象とされます。
※特定電子メール法違反
・個人の場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金
・法人の場合、行為者を罰する
では、メールアドレスにあったドメイン”kagoya.jp”が差出人本人のものなのかどうかを
『WebAnalysis』さんで調べてみます。
これがドメイン”kagoya.jp”を割当てているIPアドレスの情報です。
これによると”133.18.75.203”がこのドメインを割当てているIPアドレス。
本来このIPは”Received”のIP”192.145.237.161”と同じ数字の羅列になるはずですが、それが全く異なるので
このメールのドメインは”kagoya.jp”ではありません。
これでアドレスの偽装は確定です!
では”Received”に書かれている”vps109581.inmotionhosting.com”にはどのようなIPアドレスが
割当てられているのでしょう?
もちろん調べますよ!
ほらね!
出てきた数字は”192.145.237.161”
これ”Received”に記載のものと全く同じ。
これでこの差出人のメールアドレスドメインは”vps109581.inmotionhosting.com”
ということになります。
調べてみるとこのドメインはアメリカカリフォルニアにある『InMotion Hosting』という
ホスティング会社が所有するドメイン。
”vps109581”とあるので、恐らくこのホスティングサービスの仮想専用サーバーを利用
しこのメールを送信したのでしょう。
もちろんこのメールの差出人は偽物ですが”Received”のIPアドレスと全く同じ数字なので
このメールアドレスは差出人ご本人さんのもので間違いなさそうです。
”Received”に記載されているIPアドレスは、差出人が利用したメールサーバーの情報で
これを紐解けば差出人の素性が見えてきます。
このIPアドレスを元に送信に使われた回線情報とその割り当て地を『IP調査兵団』さんで
確認してみます。
(※IPアドレスから導き出された位置情報は、必ずしもそれほど正確ではありません)
代表地点として地図に立てられたピンの位置は、アメリカのダラス付近。
あくまで大雑把な代表地点なのをお忘れなく。
そして送信に利用されたプロバイダーはやはり『InMotion Hosting』です。
ご多分に漏れずトロント市庁舎付近で
では引き続き本文。
平素よりKAGOYAサービスをご利用いただき、誠にありがとうございます。
この度、ご利用のKAGOYA共用サーバーは、サーバーの老朽化対策および
セキュリティ強化を目的とし、サーバー環境を刷新する運びとなりました。
【サーバー移行開始予定時期】
2024年7月より順次開始予定
【対象サーバープラン】
特設サイトをご確認ください
セキュリティを強化するため、セキュリティを実施します ドメインの終了を避けるために、ウェブメールを確認してください 以下のリンクでこれを確認してください
▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼
————————————————————-
h**ps://kagoya-special-site-security.kagoya-japan.workers.dev/#******@********.***
————————————————————–
お客さまに必要な作業や詳細については追ってご連絡いたします。
また、特設サイト内でも随時、詳細情報を更新いたします。
重要なご案内となりますので、必ずご確認をお願いいたします。 |
※直リンク防止のためリンクURLの一部文字を変更しております。
このメールは詐欺メールですから詐欺サイトへのリンクが付けられています。
そのリンクは本文内に直書きされています。
そのリンク先をコンピュータセキュリティブランドのトレンドマイクロの『サイトセーフティーセンター』で
検索するとその危険度はこのように評価されていました。
既に『フィッシングサイト』としてしっかりブラックリストに登録済みですね。
乗っ取りじゃなくてフィッシングサイトと判断なのですね。(;^_^A
このURLで使われているドメインは”kagoya-special-site-security.kagoya-japan.workers.dev”
このドメインにまつわる情報を『Grupo』さんで取得してみます。
使用者の情報が『DATA REDACTED』とされていて完全に匿名化されていますね。
このドメインを割当てているIPアドレスは”104.21.8.46”
このIPアドレスを元にサイト運営に利用されているホスティングサービスとその割り当て地を
再び『IP調査兵団』さんで確認してみます。
(※IPアドレスから導き出された位置情報は、必ずしもそれほど正確ではありません)
出たトロント市庁舎。。。
いったいこの付近にはどれだけ詐欺サイトが存在するんでしょうか?
詐欺サイト調査でほんとこの地図は頻繁に出てきます。
そして利用されているホスティングサービスは『Cloudflare』
安定ド定番のパターンです。
危険だと聞かされると余計に見に行きたくなるのが人間のサガ…(;^_^A
それを承知で、しっかりとセキュリティーの整った環境下で見に行ってみました。
おっと、Chromeがブロックしてきました!
構わず先に進んでみます。
すると開いたのはこのように『Active!Mail』と書かれたログインページ。
これウェブ上でメール受送信ができるActive!Mailと言うウェブアプリの
偽サイトです。
カゴヤさんを騙る偽メールで誘導されるリンク先の常です。
ここにIDとパスワードを入力させてその情報を抜き取るのが目的。
抜き取られた情報は詐欺犯に利用され、メールアカウントを乗っ取り
詐欺メールなどに利用されることでしょう。
まとめ
恐ろしいことに、今、こうしている間にも大量のフィッシング詐欺メールが発信されたくさんの
フィッシング詐欺サイトが作られ消滅していきます。
次から次に新種のメールが届くので常に意識して被害に遭わないようご注意ください。
いつものことながら、誤字・脱字・意味不明がありましたらお許しください(^-^;
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