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『詐欺メール』『チケットぴあ、ユーザー体験向上のための新サービス「現金券」のお知らせ』と、来た件

『チケジャム』、『イープラス』に続き今度は『チケットぴあ』までも標的に?!
※2024年6月24日に関連ブログエントリーあり
スマホやタブレットが普及し増々便利になる私たちが生活する世の中。
それに比例して増えてくるのが悪質な詐欺行為。
このブログエントリーは、フィッシング詐欺メールの注意喚起拡散を目的とし
悪意を持ったメールを発見次第できる限り迅速なご紹介を心掛けています。
もし気が付かずに詐欺サイトログインしてしまった場合は、まず落ち着いてできる限り早く
パスワードの変更やクレジットカードの利用停止を行ってください。

★フィッシング詐欺解体新書★

『現金券』ってなに?

いつもご覧くださりありがとうございます!

このところチケット販売サービス関係の詐欺メールが相次いで発見されています。
今日は更に『チケジャム』、『イープラス』に続き今度は『チケットぴあ』までも騙って送り付けてきました。

どれも最初に書かれているお客様の宛名が受信者のメールアドレスですね。
これは1つの詐欺メールの特徴!
これはこの差出人が受信者の情報をメールアドレスしか知らないからです。

この配信者は、様々なサイトなどから流出したメールアドレスのリストをどこかからか何らかの方法で入手し
そのメールアドレス宛に一斉にこれらのメールを送っているのです。

チケジャムやイープラスの時は特別クーポンの配布を謳っていましたが今回は少し指向を変え『現金券』なんて
少し生々しく聞きなれない言葉を使っていますね。
チケジャムやイープラスの時は24時間以内と制限されていましたが、今回は申し込みに期限設定は無いものの
リンクに誘い込む手口のパターンはどれも同じですね。

それにしても現金券をもらうと『ユーザー体験向上』って、私にはよく意味が分かりません…

では、このメールを解体し詳しく見ていきましょう!
まずはプロパティーから見ていきます。

件名は『[spam] チケットぴあ、ユーザー体験向上のための新サービス「現金券」のお知らせ』

ご承知の通り件名欄は、差出人が書き込むものですからいくらでも適当に記入できます。
この件名には”[spam]”とスタンプが付けられているので迷惑メールの類です。
このスタンプはスパムスタンプと呼ばれるサーバーからの注意喚起で、これが付いている
ものは全て迷惑メールと判断されたもの。
うちのサーバーの場合注意喚起だけですが、例えばGoogleのGmailサーバーの場合だと
否応なしに『迷惑メール』フォルダーに勝手に保存されるような仕組みもあります。

 

6月24日にも同じ内容で『ビッグチャンス:20000円相当の現金券をゲットしよう!』

差出人は
『”pia” <no_info@pia.co.jp>』 

あら、ちゃんとチケットぴあの正規ドメイン”pia.co.jp”が
使われているから本物じゃないかしら?

皆さんはご存じでしょうか?
この差出人欄は完全に自己申告制で、誰でもウソが書けるフィールド。
ですから、ここは信用できない部分です。
いくらここに正規ドメインが使われていたとしても鵜呑みに信用してはいけません!


差出人の本当のドメインを追跡

では、このメールが悪意のあるメールであることを立証していきましょうか!
まず、このメールのヘッダーソースにある”Received”を確認し調査してみます。
私が愛用のThunderbirdの場合、『表示(V)』⇒『メッセージのソース(O)』と進むと見られますよ。

Received:『Received: from help-eplus.info (unknown [46.29.161.122])』

ここに掲げた”Received”は、ヘッダー内に複数ある”Received”の中で時系列が一番古いもので
このメールを差出したデバイスの情報と最初に通過したサーバーの情報が刻み込まれています。

おやおや?ここにはまた別の”help-eplus.info”なんてイープラスの
スペルが入ったドメインが記載されていますが
これは何を意味するのでしょうね?
後ほど探ってみたいと思います。

末尾の4つに区切られた数字の集まりはIPアドレスと呼ばれるいわばインターネット上の住所や電話番号で
同じ数字の集まりは世界中に1つしかありません。
因みに、この数字の集まりじゃあまりにも煩雑でわかりにくいので、それに文字を割り当て分かり易くした
ものがドメインと呼ばれるものです。

Received”の前半のドメイン部分は、往々にして偽装されていることが多いものですが、末尾のIPアドレスは
送信者のデバイスに割当てられたもので偽装することができません。

このIPアドレスが差出人のメールアドレスのドメインに割当てられているものと一致すれば
メールアドレスの偽装は無かったことが証明されますが、そうでない場合、特定電子メール法
違反となり処罰の対象とされます。

※特定電子メール法違反
・個人の場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金
・法人の場合、行為者を罰する

では、メールアドレスにあったドメイン”pia.co.jp”が差出人本人のものなのかどうかを『Grupo』さんで
調べてみます。

これがドメイン”pia.co.jp”の登録情報です。
これによると”202.214.74.78”がこのドメインを割当てているIPアドレス。
本来このIPは”Received”のIPと同じ数字の羅列になるはずですが
これが全く異なるのでこのメールのドメインは”pia.co.jp”ではありません。
これでアドレスの偽装は確定です!

では”Received”に記載の”help-eplus.info”と言うイープラスっぽいドメインはどうでしょうか?
WebAnalysis』さんで割当てているIPアドレスを調べてみます。

ほら!”Received”にあったIPアドレス”46.29.161.122”とぴったり一致!
この結果から差出人の本当のメールアドレスのドメインは
help-eplus.info”であることが判明しました!!

Received”に記載されているIPアドレスは、差出人が利用したメールサーバーの情報で
これを紐解けば差出人の素性が見えてきます。
このIPアドレスを元に危険性や送信に使われた回線情報とその割り当て地を『IP調査兵団』さんで
確認してみます。

(※IPアドレスから導き出された位置情報は、必ずしもそれほど正確ではありません)

代表地点として地図に立てられたピンの位置は、ロシアのモスクワ付近。
チケジャムやイープラスの時もモスクワでしたが若干地図の位置が異なるようですが誤差のうちでしょう。
あくまで大雑把な代表地点なのをお忘れなく。
そして送信に利用されたプロバイダーはご多分に漏れずロシアに拠点を置く『Llc Baxet』

どうやらこのメールは、この付近に設置されたデバイスから発信され
このプロバイダーのメールサーバーを介して私に届けられたようです。


詐欺サイトは無防備に放置されています

では引き続き本文。

いつもチケットぴあをご利用いただき、誠にありがとうございます。

この度、チケットぴあでは、ユーザー体験向上のために新たに現金券を導入いたしました。この現金券をぜひご利用いただき、日頃のご愛顧に感謝の気持ちをお伝えしたいと考えております。まだ現金券をお受け取りになっていないお客様は、下記のリンクをクリックしてお申し込みください。現金券はお申し込み後一週間以内にご登録いただいたご住所に郵送いたしますので、正確な住所情報のご入力をお願いいたします。

現金券を受け取る

※現金券は郵送されますので、住所情報は正確にご入力ください。

※上記リンクをクリックしてもページが開かない場合は、URLをコピーしてブラウザのアドレス欄に貼り付けてください。

※その他のお問い合わせがございましたら、お問合せはこちらからお気軽にお問い合わせください。

※このメールアドレスは配信専用です。本メールに返信されても、お問い合わせにはお答えできませんので、ご了承ください。

このメールは詐欺メールですから詐欺サイトへのリンクが付けられています。
そのリンクは『現金券を受け取る』って書かれたところに付けられていて
そのリンク先をコンピュータセキュリティブランドの『Norton』の『Nortonセーフウェブレポート』で
検索してみるとこのように判定されていました。

『注意』って歯切れが悪い評価ですね。
間違いなく危険なサイトなので早急に評価を変更していただけるように
私から変更の申請を行っておきます!

このURLで使われているドメインは”t-pia.help”とそれっぽいですが”.help”とカスタマーサポート
みたいなドメインなので違和感を感じます。
このドメインにまつわる情報を『Whois』さんと『』さんで取得してみます。

まずは『Whois』さんでドメイン情報を取得。

このドメインはカリフォルニア州サンマテオにあるドメイン レジストラの『Dynadot』を介して
取得されており、その依頼者はカリフォルニア州に在住しているようです。

次に『』さんで割当てているIPアドレスを取得してみます。

このドメインを割当てているIPアドレスは”104.21.60.166
このIPアドレスを元にサイト運営に利用されているホスティングサービスとその割り当て地を
再び『IP調査兵団』さんで確認してみます。

(※IPアドレスから導き出された位置情報は、必ずしもそれほど正確ではありません)

代表地点として地図に立てられたピンの位置は、カナダのトロント市庁舎付近。

まあ結果は見えていましたけどね。
こちらもあくまで大雑把な代表地点でございます。
利用されているホスティングサービスは『Cloudflare』
この辺りに設置されたウェブサーバーに、リンク先の詐欺サイトは
構築されているようです。

Nortonセーフウェブレポートでの危険度評価からすると、リンク先の詐欺サイトは
どこからもブロックされることなく無防備な状態で放置されていると思われます。
そんなサイトに、調査を目的で安全な方法を利用して訪れてみることにします。

案の定、詐欺サイトはあっさりと開かれました。(;^_^A

本物のチケットぴあのオフィシャルサイトからログインページを見てきましたが、まったく違いの分からない
ページです。

適当に入力してログインするとこのようなページが開きます。

あれ?『現金券』じゃなくて『割引券』に変わっちゃっていますね。(笑)
ここには個人情報とクレジットカードを入力するフォームが設置されています。
確かメールには『現金券』を郵送で送ると書いてあったはずなのに
どうしてクレジットカードの情報が必要なのでしょうね?(;’∀’)


まとめ

ここ最近、これらチケット販売サービスになりすますフィッシング詐欺メールが現れています。
ご覧いただいた通り『Norton』などのセキュリティーブランドでもまだしっかりと評価されて
いないので危険です。
一時でも早くきちんと評価され接続ブロックされるよう切に祈ります。

恐ろしいことに、今、こうしている間にも大量のフィッシング詐欺メールが発信されたくさんの
フィッシング詐欺サイトが作られ消滅していきます。
次から次に新種のメールが届くので常に意識して被害に遭わないようご注意ください。

いつものことながら、誤字・脱字・意味不明がありましたらお許しください(^-^;


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