世の中そんな甘い話あるわけがない!
皆さんは『チケジャム』ってご存知でしょうか?
私知らなかったんですが、チケットを売りたい人のチケットを買いたい人へ仲介するチケットの
フリマのようです。
チケットの高額転売が大きく問題視される世の中、このようなサービスがあるとは驚きです!
そんな存在すら知らなかったチケジャムからこのようなメールが届きました。
なんでもチケジャムに個人情報を登録すると30,000円分のポイントがプレゼントされると書かれています。
このご時世そんな美味しい話がころがっているのかしら?
なんでもこのメールを受取ってから24時間以内に個人情報を登録しないと期限が切れてしまうとも。
ええ、どうしてそんなに期限が短いのか
急がないと期限切れになってしまうぞ!
ちょっと待った!
これどう見て怪しくないですか?
そんな超気前の良い話なんてきな臭すぎます。
それにこのメール『もしURLをクリックしてもページが開かないときは、URLをブラウザのアドレスバーに貼り付けてみてください。』なんて書いてあるけど、何処見てもメール本文中にURLなんてありませんね。
もしかして詐欺では??
ならば私がこのメールを解体し、詳しく見ていくことにします!
まずはプロパティーから。
件名は『[spam] チケジャムからのお知らせ:30000ポイントプレゼントキャンペーン実施中!』
ご承知の通り件名欄は、差出人が自身で書き込むものですからいくらでも適当に記入できます。
それにこの件名には”[spam]”とスタンプが付けられているので迷惑メールの類です。
このスタンプはスパムスタンプと呼ばれるサーバーからの注意喚起で、これが付いている
ものは全て迷惑メールと判断されたもの。
うちのサーバーの場合注意喚起だけですが、例えばGoogleのGmailサーバーの場合だと
否応なしに『迷惑メール』フォルダーに勝手に保存されるような仕組みもあります。
差出人は
『"チケジャム" <no_info@ticketjam.co.jp>』
皆さんはご存じでしょうか?
この差出人欄は完全に自己申告制で、誰でもウソが書けるフィールド。
ですから、ここは簡単には信用できない部分です。
『チケジャム』さんのサイト内でこのようなページ見つけました。
ここには確認メールが届かない場合としてメールアドレスを受信許可リストに追加してくださいと
このように記載されていますよ。
携帯のキャリアメールをお使いの場合は、下記のメールアドレスを受信許可リストに追加してください。
au/docomoの場合:ticketjam.jp
softbankの場合:no-reply@ticketjam.jp |
許可するドメインは”ticketjam.jp”とありますが、この差出人のメールアドレスにあるドメインは
”ticketjam.co.jp”と若干異なりますね。
ということは、この差出人はチケジャムではない可能性が大です!
なんと、空きドメインだった!
では、このメールが悪意のあるメールであることを立証していきましょう!
まず、このメールのヘッダーソースにある”Received”を確認し調査してみます。
私が愛用のThunderbirdの場合、『表示(V)』⇒『メッセージのソース(O)』と進むと見られますよ。
Received:『Received: from l-tike.tokyo (unknown [194.87.68.90])』 |
ここに掲げた”Received”は、ヘッダー内に複数ある”Received”の中で時系列が一番古いもので
このメールを差出したデバイスの情報と最初に通過したサーバーの情報が刻み込まれています。
末尾の4つに区切られた数字の集まりはIPアドレスと呼ばれるいわばインターネット上の住所や電話番号で
同じ数字の集まりは世界中に1つしかありません。
因みに、この数字の集まりじゃあまりにも煩雑でわかりにくいので、それに文字を割り当て分かり易くした
ものがドメインと呼ばれるものです。
”Received”の前半のドメイン部分は、往々にして偽装されていることが多いものですが、末尾のIPアドレスは
送信者のデバイスに割当てられたもので偽装することができません。
このIPアドレスが差出人のメールアドレスのドメインに割当てられているものと一致すれば
メールアドレスの偽装は無かったことが証明されますが、そうでない場合、特定電子メール法
違反となり処罰の対象とされます。
※特定電子メール法違反
・個人の場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金
・法人の場合、行為者を罰する
では、メールアドレスにあったドメイン”ticketjam.co.jp”が差出人本人のものなのかどうかを
『Grupo』さんで調べてみます。
小さく『No match!!』と書かれていますからこのドメインはデーターベースに存在しないようです。
これだけじゃ確信持てないのでドメイン取得代行サービスを行っている『お名前.com』さんで
このドメインの状態を確認してみます。
やっぱりです!
このドメインは現在売りに出ていて現在誰も利用していないようです。
この結果からこのメールアドレスのドメインは”ticketjam.co.jp”ではありません。
これでアドレスの偽装は確定です!
”Received”に記載されているIPアドレス”194.87.68.90”は、差出人が利用したメールサーバーの情報で
これを紐解けば差出人の素性が見えてきます。
このIPアドレスを元に送信に使われた回線情報とその割り当て地を『IP調査兵団』さんで
確認してみます。
(※IPアドレスから導き出された位置情報は、必ずしもそれほど正確ではありません)
代表地点として地図に立てられたピンの位置は、ロシアの首都モスクワ付近。
あくまで大雑把な代表地点なのをお忘れなく。
そして送信に利用されたプロバイダーもロシアに拠点を置く『LLC Baxet』
このメールは、この付近に設置されたデバイスから発信され、このプロバイダーのメールサーバー
を介して私に届けられたようです。
日本のチケット転売サイトがわざわざロシアからメールを送るはずありませんよね?
それもメールアドレスを偽装してまで…
って訳でこのメールは悪意を持って送られた詐欺の疑いのあるメールでした。
詐欺サイトは無防備に放置中
では引き続き本文。
チケジャムをご愛顧いただき、感謝申し上げます。
現在、チケジャムでは特別なキャンペーンを実施しています。まだ個人情報の登録がお済みでないお客様は、この機会にぜひご参加ください。個人情報を登録すると、30000円のポイントをプレゼントいたします。
新規ユーザー登録者には、10000円分のポイントを差し上げます。このポイントは、チケジャムサイト内で提供する商品やチケットの購入に使用できます。
クーポンを受け取る
※クーポンは受け取り後24時間で期限が切れますので、期限内にご利用ください。期限が過ぎますと、クーポンは使用できませんので、ご注意ください。
※もしURLをクリックしてもページが開かないときは、URLをブラウザのアドレスバーに貼り付けてみてください。
※この特別なご提供について何かご不明な点やその他のお問い合わせがございましたら、、お問合せはこちらからお気軽にお問い合わせください。
※このメールアドレスは送信専用ですので、お問い合わせへの返信はできません。ご了承ください。 |
このメールは詐欺メールですから詐欺サイトへのリンクが付けられています。
そのリンクは『クーポンを受け取る』って書かれたところに付けられていて、
そのリンク先をコンピュータセキュリティブランドのトレンドマイクロの『サイトセーフティーセンター』で
検索するとその危険度は現在このように評価されていました。
ん~、こりゃヤバいわ……(-_-;)
被害が広がらないように早急に評価を変更していただけるように
私から変更の申請を行っておきます。
このURLで使われているドメインは”ticketjam.5g.in”とこれまた怪しさ満点!
このドメインにまつわる情報を『WhWhois』と『WebAnalysis』さんで取得してみます。
このドメインはアメリカのテキサス州の方が所持されているようです。
割当てているIPアドレスは”172.67.129.58”
このIPアドレスを元にサイト運営に利用されているホスティングサービスとその割り当て地を
再び『IP調査兵団』さんで確認してみます。
(※IPアドレスから導き出された位置情報は、必ずしもそれほど正確ではありません)
代表地点として地図に立てられたピンの位置は、カナダにあるトロント市庁舎付近。
こちらもあくまで大雑把な代表地点でございます。
利用されているホスティングサービスは『Cloudflare』
この辺りに設置されたウェブサーバーに、リンク先の詐欺サイトは構築されているようです。
トレンドマイクロの『サイトセーフティーセンター』での危険度評価からすると、リンク先の
詐欺サイトは、どこからもブロックされることなく無防備な状態で放置されていると思われます。
そんなサイトに、調査を目的で安全な方法を利用して訪れてみることにします。
案の定、難なくあっさりと開いてしまったのはこのようなページです。
本物のチケジャムさんのログインページ見てきましたが、丸写しされているのでそっくりです。
ここから先は詐欺サイトなのでこれ以上足を踏み込んでは危険です。
これはあくまで私の経験則からの想像ですが
まずログインすると個人情報を入力させた上で転売にはカード情報が必要になる
という理由でちゃっかりクレジットカードの情報を入力させられ万事休す。
と、こんな流れで詐欺に遭うことでしょう。
まとめ
恐ろしいことに、今、こうしている間にも大量のフィッシング詐欺メールが発信されたくさんの
フィッシング詐欺サイトが作られ消滅していきます。
次から次に新種のメールが届くので常に意識して被害に遭わないようご注意ください。
いつものことながら、誤字・脱字・意味不明がありましたらお許しください(^-^;
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