架空の再配達料をネタに いつもご覧くださりありがとうございます!
またしても『ヤマト運輸』を騙ったフィッシング詐欺メールのお話です。
唐突にこのようなメールが送られてきました。 件名には『お荷物お届けのお知らせ』と書いてありましたが本文からすると不在通知のようです。 『お支払い代金 : 51円』ってのは恐らく再配達料金のことでしょうが、ヤマト運輸さんでは現在のところ 再配達料金の徴収はありません。 じゃどうしてこの詐欺メールでは再配達料金を徴収するのでしょうか? それはクレジットカード情報を引出すための無理やりの理由です。
では、このメールを解体し詳しく見ていきましょう! まずはプロパティーから見ていきます。
件名は『[spam] 980-6064-3382お荷物お届けのお知らせ【受け取りの日時や場所をご指定ください】』 ご承知の通り件名欄は、差出人が書き込むものですからいくらでも適当に記入できます。 この件名には”[spam]”とスタンプが付けられているので迷惑メールの類です。 このスタンプはスパムスタンプと呼ばれるサーバーからの注意喚起で、これが付いている ものは全て迷惑メールと判断されたもの。 うちのサーバーの場合注意喚起だけですが、例えばGoogleのGmailサーバーの場合だと 否応なしに『迷惑メール』フォルダーに勝手に保存されるような仕組みもあります。
差出人は 『”ヤマト運輸” <blake3434@unwg.net>』 皆さんはご存じでしょうか? この差出人欄は完全に自己申告制で、誰でもウソが書けるフィールド。 ですから、ここは信用できない部分です。
ヤマト運輸さんのオフィシャルサイト でURLを確認すれば簡単に分かりますが、ヤマト運輸さんの 公式ドメインは”kuronekoyamato.co.jp ”でどう間違っても”unwg.net ”なんてドメインではありません。 って、このくだり何度かいたことか…(;^_^A
ブラジル発信のメール では、このメールが悪意のあるメールであることを立証していきましょうか! まず、このメールのヘッダーソースにある”Received ”を確認し調査してみます。 私が愛用のThunderbirdの場合、『表示(V )』⇒『メッセージのソース(O )』と進むと見られますよ。
ここに掲げた”Received ”は、ヘッダー内に複数ある”Received ”の中で時系列が一番古いもので このメールを差出したデバイスの情報と最初に通過したサーバーの情報が刻み込まれています。
末尾の4つに区切られた数字の集まりはIPアドレスと呼ばれるいわばインターネット上の住所や電話番号で 同じ数字の集まりは世界中に1つしかありません。 因みに、この数字の集まりじゃあまりにも煩雑でわかりにくいので、それに文字を割り当て分かり易くした ものがドメインと呼ばれるものです。
”Received ”の前半のドメイン部分は、往々にして偽装されていることが多いものですが、末尾のIPアドレスは 送信者のデバイスに割当てられたもので偽装することができません。
このIPアドレスが差出人のメールアドレスのドメインに割当てられているものと一致すれば メールアドレスの偽装は無かったことが証明されますが、そうでない場合、特定電子メール法 違反となり処罰の対象とされます。
※特定電子メール法違反 ・個人の場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金 ・法人の場合、行為者を罰する
では、メールアドレスにあったドメイン”unwg.net ”が差出人本人のものなのかどうかを 『WebAnalysis 』さんで調べてみます。
これがドメイン”unwg.net ”を割当てているIPアドレスの情報です。 これによると”195.35.38.240 ”がこのドメインを割当てているIPアドレス。 本来このIPは”Received ”のIP”177.75.60.166 ”と同じ数字の羅列になるはずですが、それが全く異なるので このメールのドメインは”unwg.net ”ではありません。 これでアドレスの偽装は確定です!
”Received ”に記載されているIPアドレス”177.75.60.166 ”は、差出人が利用したメールサーバーの情報で これを紐解けば差出人の素性が見えてきます。 このIPアドレスを元に送信に使われた回線情報とその割り当て地を『IP調査兵団 』さんで確認してみます。 (※IPアドレスから導き出された位置情報は、必ずしもそれほど正確ではありません)
代表地点として地図に立てられたピンの位置は、ブラジルのアナポリス付近。 あくまで大雑把な代表地点なのをお忘れなく。 そして送信に利用されたプロバイダーは『Explorernet Infolink Tecnologia E Telecomunicacoes』 このメールは、この付近に設置されたデバイスから発信され、このプロバイダーのメールサーバー を介して私に届けられたようです。
詐欺サイトは既に閉鎖 では引き続き本文。
このメールは詐欺メールですから詐欺サイトへのリンクが付けられています。 そのリンクは、バラバラに4箇所赤文字にしたところに付けられていますが、これ全部同じリンク先。 そのリンク先は、コンピュータセキュリティブランドのトレンドマイクロの 『サイトセーフティーセンター 』での危険度はこのように評価されていました。
既に『フィッシングサイト』としてしっかりブラックリストに登録済みですね。
このURLで使われているドメインは”fghgkdjnd.com ”とヤマト運輸さんの物とは全く異なるもの。 このドメインにまつわる情報を『WebAnalysis 』さんと『Whois 』さんで取得してみます。
あまり詳しい情報は取得できませんでしたね…
このドメインを割当てているIPアドレスは”43.163.238.42 ” このIPアドレスを元にサイト運営に利用されているホスティングサービスとその割り当て地を 再び『IP調査兵団 』さんで確認してみます。 (※IPアドレスから導き出された位置情報は、必ずしもそれほど正確ではありません)
代表地点として地図に立てられたピンの位置は、最近低位置になりつつある『日本大学鶴ヶ丘高等学校総合グラウンド研修館』付近。 こちらもあくまで大雑把な代表地点でございます。 利用されているホスティングサービスは中国の『Shenzhen Tencent Computer Systems Company Limited』 この辺りに設置されたウェブサーバーに、リンク先の詐欺サイトは構築されているようです。
危険を承知でリンク先を覗いてみましたが、真っ白なページの左上に『Not Found』と小さく書かれた ページが開きました。 どうやらホスティング側が危険に気付きサイトを強制的に閉鎖させたようです。
まとめ このURLでの活動はできなくなったようですが、詐欺師たちはたくさんのホスティングサービスと契約し いくつもの詐欺サイトを構築しているので安心なんて全然できませんよ! きっとまたリンクのサイトを変更して皆さんを狙ってくると思いますから要注意です。
恐ろしいことに、今、こうしている間にも大量のフィッシング詐欺メールが発信されたくさんの フィッシング詐欺サイトが作られ消滅していきます。 次から次に新種のメールが届くので常に意識して被害に遭わないようご注意ください。
いつものことながら、誤字・脱字・意味不明がありましたらお許しください(^-^;