摩訶不思議 いつもご覧くださりありがとうございます! 『アマゾンフィナンシャルサービス』という架空の企業から、ヤマト運輸の荷物に関する 何とも不可解なメールが届きました。 その摩訶不思議なメールがこちらです。 ね、おかしいでしょ? 私が送った荷物の宛先と電話番号が間違っていて届けられないと書かれています。 でも、荷物の配送を『送信』と表現したりなんだかちょっと文章がおかしなメールですね。 それに『 48時間以内にご確認がない場合、誠に申し訳ございません、 お客様の安全の為、アカウント の 利用制限をさせていただきま すので、予めご了承ください。』なんて、クレジットカード会社の詐欺メールで よく使われているくだりが記載されていて、別の詐欺メールを使い回した感じがしますね。 では、このメールを解体し詳しく見ていきましょう! まずはプロパティーから見ていきます。 件名は『[spam] 【重要なお知らせ】使用場所が特殊な場合はご確認ください ID:954233』 ご承知の通り件名欄は、差出人が書き込むものですからいくらでも適当に記入できます。 それにしても本文の内容とまったく乖離した件名で全然意味が分かりません… この件名には”[spam]”とスタンプが付けられているので迷惑メールの類です。 このスタンプはスパムスタンプと呼ばれるサーバーからの注意喚起で、これが付いている ものは全て迷惑メールと判断されたもの。 うちのサーバーの場合注意喚起だけですが、例えばGoogleのGmailサーバーの場合だと 否応なしに『迷惑メール』フォルダーに勝手に保存されるような仕組みもあります。 差出人は 『”アマゾン フィナンシャル サービス LLC” <ijlo3@wxvh0-nmaaihagd-nalcnj.m5dawgfy.com>』 皆さんはご存じでしょうか? この差出人欄は完全に自己申告制で、誰でもウソが書けるフィールド。 ですから、ここは信用できない部分です。 調べましたがこの『アマゾンフィナンシャルサービス』という企業は存在しないようです。 それに何ですかこのクソ長くAmazonでもヤマト運輸でもないドメイン。 このように数字がちりばめていると怪しさが更に膨らみますね。 このドメイン空いてるじゃん! では、このメールが悪意のあるメールであることを立証していきましょうか! まず、このメールのヘッダーソースにある”Received”を確認し調査してみます。 私が愛用のThunderbirdの場合、『表示(V)』⇒『メッセージのソース(O)』と進むと見られますよ。 ここに掲げた”Received”は、ヘッダー内に複数ある”Received”の中で時系列が一番古いもので このメールを差出したデバイスの情報と最初に通過したサーバーの情報が刻み込まれています。 末尾の4つに区切られた数字の集まりはIPアドレスと呼ばれるいわばインターネット上の住所や電話番号で 同じ数字の集まりは世界中に1つしかありません。 因みに、この数字の集まりじゃあまりにも煩雑でわかりにくいので、それに文字を割り当て分かり易くした ものがドメインと呼ばれるものです。 ”Received”の前半のドメイン部分は、往々にして偽装されていることが多いものですが、末尾のIPアドレスは 送信者のデバイスに割当てられたもので偽装することができません。 このIPアドレスが差出人のメールアドレスのドメインに割当てられているものと一致すれば メールアドレスの偽装は無かったことが証明されますが、そうでない場合、特定電子メール法 違反となり処罰の対象とされます。 ※特定電子メール法違反 ・個人の場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金 ・法人の場合、行為者を罰する では、メールアドレスにあったドメイン”wxvh0-nmaaihagd-nalcnj.m5dawgfy.com”が差出人本人の ものなのかどうかを『Grupo』さんで調べてみます。 これがドメイン”wxvh0-nmaaihagd-nalcnj.m5dawgfy.com”についての情報です。 『No match for “M5DAWGFY.COM”』とあるのでこのドメインに関する情報は見当たらないようです。 もしやと思い『お名前.com』さんでその存在を確かめてみることにします。 するとこのように空きドメインであることが分かりました。 空きドメインを使ってメールの受送信はできないのでこの差出人のメールアドレスは偽装確定です! ”Received”に記載されているIPアドレス”35.213.246.137”は、差出人が利用したメールサーバーの情報で これを紐解けば差出人の素性が見えてきます。 このIPアドレスを元に送信に使われた回線情報とその割り当て地を『IP調査兵団』さんで 確認してみます。 珍しく地図がバグっていますが、割り当て地として書かれているのはオーストラリアのシドニー付近。 あくまで大雑把な代表地点なのをお忘れなく。 そして送信に利用されたプロバイダーは『Google』です。 このメールは、この付近に設置されたデバイスから発信され、Googleのメールサーバーを介して 私に届けられたようです。 リンク先のドメインが『クロネクカワト』って… では引き続き本文。 このメールは詐欺メールですから詐欺サイトへのリンクが付けられています。 そのリンクは『インターネット再配達依頼』って書かれたところに付けられていて、 そのリンク先は、コンピュータセキュリティブランドのトレンドマイクロの 『サイトセーフティーセンター』での危険度はこのように評価されていました。 既に『フィッシングサイト』としてしっかりブラックリストに登録済みですね。 このURLで使われているドメインは”kuronekurokawato.top”…『クロネクカワト』(-_-;) このドメインにまつわる情報を取得してみます。 このドメインは、『See PrivacyGuardian』が取得していることになっています。 ここはドメインの取得者を隠蔽できるサービスを行っておりこのように本当の取得者の情報が隠蔽されるので サイバー犯罪の温床となるとして問題視されているサービスです。 ドメインを割当てているIPアドレスは”192.227.190.19” このIPアドレスを元にサイト運営に利用されているホスティングサービスとその割り当て地を 再び『IP調査兵団』さんで確認してみます。 (※IPアドレスから導き出された位置情報は、必ずしもそれほど正確ではありません) 代表地点として地図に立てられたピンの位置は、ニューヨークのバッファロー地区付近。 あくまで大雑把な代表地点でございます。 利用されているホスティングサービスは、カナダに拠点を置く『HostPapa』 この辺りに設置されたウェブサーバーに、リンク先の詐欺サイトは構築されているようです。 危険だと聞かされると余計に見に行きたくなるのが人間のサガ…(;^_^A それを承知で、しっかりとセキュリティーの整った環境下で見に行ってみました。 すると開いたのはこのような怪しげなフォントが使われているページです。 黒いボタンを押して進むと、メール本文にあったようにありもしない再配送料の110円を請求するふりをして クレジットカードの情報を盗み出そうとしてくるので要注意です! まとめ 恐ろしいことに、今、こうしている間にも大量のフィッシング詐欺メールが発信されたくさんの フィッシング詐欺サイトが作られ消滅していきます。 次から次に新種のメールが届くので常に意識して被害に遭わないようご注意ください。 いつものことながら、誤字・脱字・意味不明がありましたらお許しください(^-^; |