アカウントが停止されたって! いつもご覧いただきありがとうございます! 当地では、満開だったソメイヨシノもいよいよ落下盛んとなり葉桜の季節となり、路上は後の祭り、 落ちた花弁が茶色く変色し路面を汚してしまっています。 さて今回は久しぶりにAmazon関連の詐欺メールをご紹介しようと思います。 これは、最近多く見られる『アカウント停止』をネタにしたメールで、今回は虚偽の口コミを書いた ことが原因でアカウントが停止されたと書いてあります。 例によってアカウントの再開には個人情報の更新が必要だとしてリンクに誘い込もうとしています。 でもなぜアカウントを再開させるのに個人情報の更新が必要なのでしょうか? まあ詐欺メールに難癖付けてても始まらないのでいつものようにメールを解体し詳しく見ていきます。 まずはプロパティーから見ていきます。 件名は『[spam] アカウント停止の重要な通知』 ご承知の通り件名欄は、差出人が書き込むものですからいくらでも適当に記入できます。 この件名には”[spam]”とスタンプが付けられているので迷惑メールの類です。 このスタンプはスパムスタンプと呼ばれるサーバーからの注意喚起で、これが付いている ものは全て迷惑メールと判断されたもの。 うちのサーバーの場合注意喚起だけですが、例えばGoogleのGmailサーバーの場合だと 否応なしに『迷惑メール』フォルダーに勝手に保存されるような仕組みもあります。 差出人は 『”Amazon.co.jp” <Forbes-*****@henry-know.0800health.com>』 皆さんはご存じでしょうか? この差出人欄は完全に自己申告制で、誰でもウソが書けるフィールド。 ですから、ここは信用できない部分です。 ”*****”部分には、このメールを受信したメールアドレスの@以前にあるアカウント名が埋め込まれていました。 しっかり『Amazon.co.jp』と書いてあるのにどうして@以降のドメインが”amazon.co.jp”ではないのでしょう? 本物のAmazonなら絶対このドメインを使ったメールアドレスを使うはずですが… まあここで使われている”henry-know.0800health.com”だって眉唾物。 その辺りは次項でじっくりと… やっぱり偽装 では、このメールが悪意のあるメールであることを立証していきましょうか! まず、このメールのヘッダーソースにある”Received”を確認し調査してみます。 私が愛用のThunderbirdの場合、『表示(V)』⇒『メッセージのソース(O)』と進むと見られますよ。 ここに掲げた”Received”は、ヘッダー内に複数ある”Received”の中で時系列が一番古いもので このメールを差出したデバイスの情報と最初に通過したサーバーの情報が刻み込まれています。 末尾の4つに区切られた数字の集まりはIPアドレスと呼ばれるいわばインターネット上の住所や電話番号で 同じ数字の集まりは世界中に1つしかありません。 因みに、この数字の集まりじゃあまりにも煩雑でわかりにくいので、それに文字を割り当て分かり易くした ものがドメインと呼ばれるものです。 ”Received”の前半のドメイン部分は、往々にして偽装されていることが多いものですが、末尾のIPアドレスは 送信者のデバイスに割当てられたもので偽装することができません。 このIPアドレスが差出人のメールアドレスのドメインに割当てられているものと一致すれば メールアドレスの偽装は無かったことが証明されますが、そうでない場合、特定電子メール法 違反となり処罰の対象とされます。 ※特定電子メール法違反 ・個人の場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金 ・法人の場合、行為者を罰する では、メールアドレスにあったドメイン”henry-know.0800health.com”が差出人本人のものなのかどうかを 調べてみます。 これがドメイン”henry-know.0800health.com”を割当てているIPアドレスの情報です。 これによると”3.94.41.167”がこのドメインを割当てているIPアドレス。 本来このIPは”Received”のIP”122.9.205.149”と同じ数字の羅列になるはずですが、それが全く異なるので このメールのドメインは”henry-know.0800health.com”ではありません。 これでアドレスの偽装は確定です! ”Received”に記載されているIPアドレス”122.9.205.149”は、差出人が利用したメールサーバーの情報で これを紐解けば差出人の素性が見えてきます。 このIPアドレスを元に送信に使われた回線情報とその割り当て地を確認してみます。 (※IPアドレスから導き出された位置情報は、必ずしもそれほど正確ではありません) 地図に立てられたピンの位置は、中国の広州付近。 そして送信に利用されたプロバイダーも広州市に拠点を置く『China Unicom Guangdong IP network』 このメールは、この付近に設置されたデバイスから発信され、このプロバイダーのメールサーバー を介して私に届けられたようです。 このサイトはあなたをだまそうとしている可能性があります では引き続き本文。 このメールは詐欺メールですから詐欺サイトへのリンクが付けられています。 そのリンクは『再開手続き』って書かれたところに付けられていて、コンピュータセキュリティブランドの 『Norton』の『Nortonセーフウェブレポート』ではこのように判定されていました。 『注意』と書かれています。 カテゴリは『疑わしい』と… このURLで使われているドメインは”xfdeieuumwvbqqu.com” 胡散臭いと思って『お名前.com』さんて空き状況を確認してみました。 するとなんとこのドメイン誰にも使われていない空きドメインでした。 それなら『Nortonセーフウェブレポート』の評価も頷けます。 これはこのURLに接続すると見せ掛けリダイレクト(自動転送)で別サイトにリンクしているのではないかと FirefoxでこのURLに接続してみるとこんなダイアログが表示されました。 『このサイトはあなたをだまそうとしている可能性があります』って、やっぱり詐欺サイトじゃん。 それに本当のリンク先のドメインは”xfdeieuumwvbqqu.com”ではなく”3k58y20foluxb9j.itxhmy.cn” このドメインついて調べてみます。 中国の方が申請取得されているドメインで割当てているIPアドレスは”104.21.36.162” このIPアドレスを元にサイト運営に利用されているホスティングサービスとその割り当て地を確認してみます。 (※IPアドレスから導き出された位置情報は、必ずしもそれほど正確ではありません) 地図に立てられたピンの位置は、詐欺サイトが多く作られているカナダの『トロント市庁舎』付近。 利用されているホスティングサービスは『Cloudflare』 この辺りに設置されたウェブサーバーに、リンク先の詐欺サイトは構築されているようです。 リンク先へ接続してみましたが、更にリダイレクト(自動転送)され『この localhost ページが見つかりません』 と書かれたエラーページにたどり着きました。 この”localhost”とは、ネットワークでは自分自身を示す言葉で、簡単に言えば今このサイトを見ている あなたの手元にあるデバイスのこと。 そんなところにウェブサイトなんてあるわけないのでエラーを返してきたわけです。 ”localhost”に接続されるのはAmazonの詐欺メールではいつものことです。 最初から”localhost”に接続するように仕組まれていたのか、それとも目的を達成したので 途中からリダイレクトを使い”localhost”に接続を切り替えたのか、今となっては知る由もありませんが… まとめ 恐ろしいことに、今、こうしている間にも大量のフィッシング詐欺メールが発信されたくさんの フィッシング詐欺サイトが作られ消滅していきます。 次から次に新種のメールが届くので常に意識して被害に遭わないようご注意ください。 いつものことながら、誤字・脱字・意味不明がありましたらお許しください(^-^; |