このメールアドレスに来るはずがない
いつもご覧いただきありがとうございます!
楽天カードから、このようなメールが私のプライベートメールアドレス届きました。
これはどこからどう見てもありがちな不正利用を騙ったフィッシング詐欺メールです。
だいたい楽天のユーザー登録にこのメールアドレスは使っていないので、楽天からのメールが
ここに届くこと絶対にあり得ません。
では、このメールを解体し全貌を詳しく見ていきましょう!
まずはプロパティーから見ていきます。
件名は『【緊急】楽天カード利用に関する重要なお知らせ』
ご承知の通り件名欄は、差出人が書き込むものですからいくらでも適当に記入できます。
いつも詐欺メールの場合、サーバーが件名の見出しに”[spam]”とスタンプを付けてくれるのですが
それは仕事用のメールアドレス宛に届いた場合で、プライべートメールサーバーにはそのような機能が
ありません。
差出人は
『楽天カード <info@xiaoxiongliuliang.com>』
皆さんはご存じでしょうか?
この差出人欄は完全に自己申告制で、誰でもウソが書けるフィールド。
ですから、ここは信用できない部分です。
長ったらしいドメインですね。
楽天カードのオフィシャルサイトでURLを確認すれば簡単に分かりますが、楽天カードはこんな
おかしなドメインではなく”rakuten-card.co.jp”が公式ドメインです。
ドメインはある意味企業の顔。
そんな大切なドメインを自社のメールアドレスに使わないはずがありません!
『お名前.com』で取得したドメイン
では、このメールが悪意のあるメールであることを立証していきましょうか!
まず、このメールのヘッダーソースにある”Received”を確認し調査してみます。
私が愛用のThunderbirdの場合、『表示(V)』⇒『メッセージのソース(O)』と進むと見られますよ。
Received:『from hwsrv-1212335.hostwindsdns.com (HELO mail3.xiaoxiongliuliang.com) (104.168.198.58)』 |
ここに掲げた”Received”は、ヘッダー内に複数ある”Received”の中で時系列が一番古いもので
このメールを差出したデバイスの情報と最初に通過したサーバーの情報が刻み込まれています。
末尾の4つに区切られた数字の集まりはIPアドレスと呼ばれるいわばインターネット上の住所や電話番号で
同じ数字の集まりは世界中に1つしかありません。
因みに、この数字の集まりじゃあまりにも煩雑でわかりにくいので、それに文字を割り当て分かり易くした
ものがドメインと呼ばれるものです。
”Received”の前半のドメイン部分は、往々にして偽装されていることが多いものですが、末尾のIPアドレスは
送信者のデバイスに割当てられたもので偽装することができません。
このIPアドレスが差出人のメールアドレスのドメインに割当てられているものと一致すれば
メールアドレスの偽装は無かったことが証明されますが、そうでない場合、特定電子メール法
違反となり処罰の対象とされます。
※特定電子メール法違反
・個人の場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金
・法人の場合、行為者を罰する
では、”Received”にあったドメイン”mail3.xiaoxiongliuliang.com”が差出人本人のものなのかどうかを
調べてみます。
これがドメイン”mail3.xiaoxiongliuliang.com”の登録情報です。
このドメインは『お名前.com』さんに依頼して取得されていることが分かります。
これによると”104.168.198.58”がこのドメインを割当てているIPアドレス。
もちろんこのメールは詐欺メールですが”Received”のIPアドレスと全く同じ数字なのでこのメールアドレスは
差出人ご本人さんのもので間違いなさそうです。
”Received”に記載されているIPアドレスは、差出人が利用したメールサーバーの情報で
これを紐解けば差出人の素性が見えてきます。
このIPアドレスを元に送信に使われた回線情報とその割り当て地を確認してみます。
(※IPアドレスから導き出された位置情報は、必ずしもそれほど正確ではありません)
地図に立てられたピンの位置は、アメリカのシアトル付近。
そして送信に利用されたプロバイダーもシアトルに拠点を置く『Hostwinds LLC.』
このメールは、この付近に設置されたデバイスから発信され、このプロバイダーのメールサーバー
を介して私に届けられたようです。
リンク偽装
では引き続き本文。
いつも楽天カードをご利用いただき、誠にありがとうございます。
弊社の不正検知システムにより、一部のカードご利用分について決済を停止させていただきましたことをお知らせいたします。
楽天カードでは、第三者による不正使用を防止し、会員の皆様に安心してカードをご利用いただくため、会員様へカードのご利用確認を行っております。
つきましては、お手元にカードをご準備いただき、以下よりご利用内容の確認をお願いいたします。なお、メール送信より72時間経過しますとURLは無効となり、ご
確認いただけませんので、ご注意ください。
[確認ページへのリンク]: https://www.rakuten-card.co.jp/e-navi/
※楽天e-NAVIのトップページへログインいただいた場合でも、画面上部のご案内よりご利用内容をご確認いただけます。 |
このメールは詐欺メールですから詐欺サイトへのリンクが付けられています。
そのリンクは本文内に楽天カードの公式ドメインを使ったURLで記載されていますが、当然これも偽装。
試しにクリックしてみると…
ほらね!
本当のリンク先をコンピュータセキュリティブランドの『Norton』の『Nortonセーフウェブレポート』で
判定してみると。
既に『フィッシングサイト』としてしっかりブラックリストに登録済みですね。
リンクへ移動してもサイトはブロックされるでしょう。
このURLで使われているドメインは”vjyhdrlajjbjglj.com”
再びこのドメインにまつわる情報を取得してみます。
今度は、登録者の情報を公表しないで匿名でドメインの取得代行を行っている『PrivacyGuardian.org』に
依頼してドメインを取得していますね。
このドメインを割当てているIPアドレスは”208.87.206.236”
このIPアドレスを元にサイト運営に利用されているホスティングサービスとその割り当て地を確認してみます。
あらあら、今回はバグって地図が表示されませんでした…(;^_^A
割り当て地として表示された地域は、香港のMong Kokと言われる場所。
利用されているホスティングサービスも香港を拠点とする『SonderCloud Limited』
この辺りに設置されたウェブサーバーに、リンク先の詐欺サイトは構築されているようです。
危険だと聞かされると余計に見に行きたくなるのが人間のサガ…(;^_^A
それを承知で、しっかりとセキュリティーの整った環境下で見に行ってみました。
本物そっくりのログインページが開きました。
ここにIDとパスワードを入力してログインボタンを押してしまうと、その情報が詐欺師に流れてしまいます。
そして次に開いたページで個人情報を更新させると称しそれらの情報や、更にはカードの情報まで
詐取されることでしょう。
まとめ
恐ろしいことに、今、こうしている間にも大量のフィッシング詐欺メールが発信されたくさんの
フィッシング詐欺サイトが作られ消滅していきます。
次から次に新種のメールが届くので常に意識して被害に遭わないようご注意ください。
いつものことながら、誤字・脱字・意味不明がありましたらお許しください(^-^; |