誰のドメイン使ってるんだ いつもご覧いただきありがとうございます! ネットショッピング、銀行、クレジットカード等お金に絡む事柄には必ず詐欺が絡んできます。 また、税金もこれまた詐欺師がよく目を付けるポイントです。 今日もこのように税金の払い戻しをネタにしたフィッシング詐欺メールが届いておりますので ご紹介していこうと思います。 なんかこのメールにはおかしなところが色々とありますね。 まず、差出人のメールアドレス。 このメールがもし本当に国税庁からだとしたら、利用が許されているメールアドレスの@以降のドメインは 本文中のURLにも書かれているように”nta.go.jp“でそれ以外は利用できないはずです。 でもこの差出人として記載されているのは”backcountry-boys.net”。 実はこれ『社会人向け野外活動創造集団「週末冒険会」』さんのもの。 もちろんこのような団体が偽の詐欺メールを送るなんて考えにくいので偽装されていて この週末冒険会さんもある意味被害者です。 次に本文の書き出しにある『拝啓市民様』って部分。 確かに『拝啓』ってのは、手紙や文書で使われ敬意を持った挨拶ですが、『市民様』ってのはどうでしょう? 受取人が全員市民とは限らず、町民や村民もいらっしゃるはず! それを市民で囲ってしまうのはおかしいですよね。 それにちょいちょい『カスタマーサポート』と書いてありますが、お役所で『カスタマーサポート』って 違和感アリアリ! 使うとしたら『コールセンター』とか『お問い合わせ窓口』とかじゃないでしょうか? 実際に国税庁のサイトで調べても『カスタマーサポート』の『カ』の字も見つかりませんでした。 では、このメールを解体し詳しく見ていきましょう! まずはプロパティーから見ていきます。 件名は『[spam] 「お知らせ:税金払い戻しの承認と次の手順」』 ご承知の通り件名欄は、差出人が書き込むものですからいくらでも適当に記入できます。 この件名には”[spam]”とスタンプが付けられているので迷惑メールの類です。 このスタンプはスパムスタンプと呼ばれるサーバーからの注意喚起で、これが付いている ものは全て迷惑メールと判断されたもの。 うちのサーバーの場合注意喚起だけですが、例えばGoogleのGmailサーバーの場合だと 否応なしに『迷惑メール』フォルダーに勝手に保存されるような仕組みもあります。 差出人は 『”【e-Tax】国税電子申告” <mail@backcountry-boys.net>』 皆さんはご存じでしょうか? この差出人欄は完全に自己申告制で、誰でもウソが書けるフィールド。 ですから、ここは信用できない部分です。 先にも書きましたがここで使われているドメイン”backcountry-boys.net”は 『社会人向け野外活動創造集団「週末冒険会」』さんのもので国税庁のものではありません。 エックスサーバーユーザーの仕業 では、このメールが悪意のあるメールであることを立証していきましょうか! まず、このメールのヘッダーソースにある”Received”を確認し調査してみます。 私が愛用のThunderbirdの場合、『表示(V)』⇒『メッセージのソース(O)』と進むと見られますよ。 おや?ここには”webmail.xserver.ne.jp”なんてドメインが書かれていますね。 ということはこの差出人、ホスティングサービスの『エックスサーバ』ユーザーで、エックスサーバに 備わったウェブメーラーからこのメールを送信したのでしょうか? ここに掲げた”Received”は、ヘッダー内に複数ある”Received”の中で時系列が一番古いもので このメールを差出したデバイスの情報と最初に通過したサーバーの情報が刻み込まれています。 末尾の4つに区切られた数字の集まりはIPアドレスと呼ばれるいわばインターネット上の住所や電話番号で 同じ数字の集まりは世界中に1つしかありません。 因みに、この数字の集まりじゃあまりにも煩雑でわかりにくいので、それに文字を割り当て分かり易くした ものがドメインと呼ばれるものです。 ”Received”の前半のドメイン部分は、往々にして偽装されていることが多いものですが、末尾のIPアドレスは 送信者のデバイスに割当てられたもので偽装することができません。 このIPアドレスが差出人のメールアドレスのドメインに割当てられているものと一致すれば メールアドレスの偽装は無かったことが証明されますが、そうでない場合、特定電子メール法 違反となり処罰の対象とされます。 ※特定電子メール法違反 ・個人の場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金 ・法人の場合、行為者を罰する ではまずは、メールアドレスにあったドメイン”backcountry-boys.net”が差出人本人のものなのかどうかを 調べてみます。 これがドメイン”backcountry-boys.net”を割当てているIPアドレスの情報です。 これによると”183.181.84.34”がこのドメインを割当てているIPアドレス。 本来このIPは”Received”のIP”202.226.37.183”と同じ数字の羅列になるはずですが、それが全く異なるので このメールのドメインは”backcountry-boys.net”ではありません。 これでアドレスの偽装は確定です! では今度は、”Received”に記載されている”webmail.xserver.ne.jp”について調べてみます。 やはりこのドメインは『エックスサーバ』さんの持ち物ですね。 これによると”183.181.84.34”がこのドメインを割当てているIPアドレスで”Received”に記載されている IPアドレスとぴったり合致! このことからこの差出人はやはりエックスサーバに備わったウェブメーラーからこのメールを送信した と思われます。 ”Received”に記載されているIPアドレスは、差出人が利用したメールサーバーの情報で これを紐解けば差出人の素性が見えてきます。 このIPアドレスを元に送信に使われた回線情報とその割り当て地を確認してみます。 (※IPアドレスから導き出された位置情報は、必ずしもそれほど正確ではありません) 地図に立てられたピンの位置は、東京の内神田付近。 そして送信に利用されたプロバイダーは当然『エックスサーバー』 このメールは、この付近に設置されたエックスサーバーのメールサーバーを介して私に届けられたようです。 何ともクソ長いドメイン では引き続き本文。 よくもこうでたらめなことが書けるものですね。 ある意味尊敬します。(笑) このメールは詐欺メールですから詐欺サイトへのリンクが付けられています。 そのリンクは『税金の払い戻し状況を確認』って書かれたところに付けられていて、 そのリンク先は、コンピュータセキュリティブランドのトレンドマイクロの 『サイトセーフティーセンター』での危険度はこのように評価されていました。 既に『フィッシングサイト』としてしっかりブラックリストに登録済みですね。 リンクへ移動してもサイトはブロックされるでしょう。 このURLで使われているドメインは”etaxnippon-bassemhippo552936.codeanyapp.com”と、なんとも 長ったらしいドメインです。 このドメインにまつわる情報を取得してみます。 このドメインは、匿名でドメイン取得代行を行う『DomainsByProxy』を介して取得されていますね。 なので取得者の情報は全く出ていません。 割当てているIPアドレスは”45.55.112.74” このIPアドレスを元にサイト運営に利用されているホスティングサービスとその割り当て地を確認してみます。 (※IPアドレスから導き出された位置情報は、必ずしもそれほど正確ではありません) 地図に立てられたピンの位置は、 サンフランシスコ付近 利用されているホスティングサービスは、アメリカに拠点を置く『DigitalOcean, LLC』 この辺りに設置されたウェブサーバーに、リンク先の詐欺サイトは構築されているようです。 危険だと聞かされると余計に見に行きたくなるのが人間のサガ…(;^_^A それを承知で、しっかりとセキュリティーの整った環境下で見に行ってみました。 するとウイルスバスターに遮断されてしまいました。 ブロックを解除し構わず先に進んでみると『【e-Tax】国税電子申告・納税システム(イータックス)』 と書かれた偽サイトが開きました。 危険なにおいがするのでこの辺で止めておきますが、恐らくこの先に進むと還付先として クレジットカードの情報を入力させられることが想像されます。 まとめ それにしても国の機関に成りすますなんて大胆極まりないですね。 こんな奴らに騙されないようにお気を付けください。 恐ろしいことに、今、こうしている間にも大量のフィッシング詐欺メールが発信されたくさんの フィッシング詐欺サイトが作られ消滅していきます。 次から次に新種のメールが届くので常に意識して被害に遭わないようご注意ください。 いつものことながら、誤字・脱字・意味不明がありましたらお許しください(^-^; |