思い切って800万円借りてみる?(笑) いつもご覧くださりありがとうございます。 皆さんは、キャッシングやカードローンをご利用になられたことはありますでしょうか? そう、かつては『サラ金・ヤミ金・街金』などと呼ばれたいわゆる『消費者金融』です。 利用には、何らかで必要になった急な出費や、誰にも知られたくない内緒の資金調達など様々な 理由があると思います。 そんな消費者金融の『アイフル』から、緊急告知と題してこのようなメールが届きました。 どうやら私、アイフルの最先端金融信用評価システムによって800万円までの融資を受けるチャンスが 与えられたそうです。(笑) 当然こんなナノは大うそで、このメールは何者かが私から何らかの情報を聞き出すために送信したもの。 では、このメールもいつものように解体し詳しく見ていきましょう! まずはプロパティーから見ていきます。 件名は『[spam] 緊急通知:アイフルから800万円の融資機会 ─ 最短20分融資&利息0円』 ご承知の通り件名欄は、差出人が書き込むものですからいくらでも適当に記入できます。 この件名には”[spam]”とスタンプが付けられているので迷惑メールの類です。 このスタンプはスパムスタンプと呼ばれるサーバーからの注意喚起で、これが付いている ものは全て迷惑メールと判断されたもの。 うちのサーバーの場合注意喚起だけですが、例えばGoogleのGmailサーバーの場合だと 否応なしに『迷惑メール』フォルダーに勝手に保存されるような仕組みもあります。 差出人は 『”アイフル” <inoma_mail@aiful.co.jp>』 皆さんはご存じでしょうか? この差出人欄は完全に自己申告制で、誰でもウソが書けるフィールド。 ですから、ここは信用できない部分です。 確かにここで使われているドメイン”aiful.co.jp”は『アイフル株式会社』のものですが、このメールは明らかに 悪意を持って送られてきたものなので簡単に信じてはいけません。 では、次の項でそんな化けの皮を剥がしていくことにしましょう。 偽装確定 では、このメールが悪意のあるメールであることを立証していきましょうか! まず、このメールのヘッダーソースにある”Received”を確認し調査してみます。 私が愛用のThunderbirdの場合、『表示(V)』⇒『メッセージのソース(O)』と進むと見られますよ。 あ~らら、もう化けの皮が剥がれましたね。 本来ならここにはメールアドレスと同じドメインが記載されるはずなのに”help-eplus.info”なんて 全然違うドメインが記載されていますよ! まだこれだけじゃ信憑性が低いので更に深く調べましょう! ここに掲げた”Received”は、ヘッダー内に複数ある”Received”の中で時系列が一番古いもので このメールを差出したデバイスの情報と最初に通過したサーバーの情報が刻み込まれています。 末尾の4つに区切られた数字の集まりはIPアドレスと呼ばれるいわばインターネット上の住所や電話番号で 同じ数字の集まりは世界中に1つしかありません。 因みに、この数字の集まりじゃあまりにも煩雑でわかりにくいので、それに文字を割り当て分かり易くした ものがドメインと呼ばれるものです。 ”Received”の前半のドメイン部分は、往々にして偽装されていることが多いものですが、末尾のIPアドレスは 送信者のデバイスに割当てられたもので偽装することができません。 このIPアドレスが差出人のメールアドレスのドメインに割当てられているものと一致すれば メールアドレスの偽装は無かったことが証明されますが、そうでない場合、特定電子メール法 違反となり処罰の対象とされます。 ※特定電子メール法違反 ・個人の場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金 ・法人の場合、行為者を罰する では、メールアドレスにあったドメイン”aiful.co.jp”が差出人本人のものなのかどうかを 調べてみます。 ドメインそのままではIPアドレスが抽出できなかったため、あえて”www“と接頭語を付けています。、 これがドメイン”aiful.co.jp”の登録情報です。 これによると”23.220.161.209”がこのドメインを割当てているIPアドレス。 本来このIPは”Received”のIP”193.124.24.173”と同じ数字の羅列になるはずですが、それが全く異なるので このメールのドメインは”aiful.co.jp”ではありません。 これでアドレスの偽装は確定です! ”Received”に記載されているIPアドレス”193.124.24.173”は、差出人が利用したメールサーバーの情報で これを紐解けば差出人の素性が見えてきます。 このIPアドレスを元に送信に使われた回線情報とその割り当て地を確認してみます。 (※IPアドレスから導き出された位置情報は、必ずしもそれほど正確ではありません) 地図に立てられたピンの位置は、アメリカの『Claymont(クレーモント)』 そして送信に利用されたプロバイダーのアメリカに拠点を置く『Baxet Group Inc.』 このメールは、この付近に設置されたデバイスから発信され、このプロバイダーのメールサーバー を介して私に届けられたようです。 本物そっくりのサイトがアメリカで運営されていた では引き続き本文。 このメールは詐欺メールですから詐欺サイトへのリンクが付けられています。 そのリンクは『今すぐお申し込み』って書かれたところに付けられていて Googleの『透明性レポート』のサイトステータスではこのようにレポートされていました。 既に危険なサイトとしてしっかりブラックリストに登録済みですね。 リンクへ移動してもサイトはブロックされるでしょう。 このURLで使われているドメインは”aiful-co-jp.help” このドメインにまつわる情報を取得してみます。 このドメインは、匿名でドメイン取得を代行しているとして問題視されているアメリカアリゾナ州に拠点を置く 『PrivacyGuardian.org llc』で、サイバー犯罪犯の多くはここへドメイン取得代行を依頼しています。 割当てているIPアドレスは”172.67.213.19” このIPアドレスを元にサイト運営に利用されているホスティングサービスとその割り当て地を確認してみます。 (※IPアドレスから導き出された位置情報は、必ずしもそれほど正確ではありません) 地図に立てられたピンの位置は、MLBサンフランシスコ・ジャイアンツが本拠地球場とする 『オラクル・パーク』付近。 利用されているホスティングサービスは『Cloudflare』 この辺りに設置されたウェブサーバーに、リンク先の詐欺サイトは構築されているようです。 危険だと聞かされると余計に見に行きたくなるのが人間のサガ…(;^_^A それを承知で、しっかりとセキュリティーの整った環境下で見に行ってみました。 本物の『アイフル株式会社』と見比べてみましたが、全く見分けがつきません…(;^_^A 但し、ここの『1秒診断』って機能は全く動作しませんでした。 恐らく『今すぐお申し込み』と書かれたエメラルドブルーのボタンからリンクを辿ると 個人情報などを記入する画面が表示されるのでしょうね。 もちろん、詐欺サイトなので入力してはいけませんよ! まとめ 恐ろしいことに、今、こうしている間にも大量のフィッシング詐欺メールが発信されたくさんの フィッシング詐欺サイトが作られ消滅していきます。 次から次に新種のメールが届くので常に意識して被害に遭わないようご注意ください。 いつものことながら、誤字・脱字・意味不明がありましたらお許しください(^-^; |