『詐欺メール』ヤマト運輸から『お荷物お届けのお知らせ【受け取りの日時や場所をご指定ください】』と、来た件

★フィッシング詐欺解体新書★

連絡先の無いメール

企業からのメールで連絡先も書かれていないメールなんてありますかいな！
すいません、唐突に(笑)
『ヤマト運輸』から荷物お届けに関するお知らせメールが複数通届いたのですが、どうもおかしいのです。

お届け物があるってことなのに冒頭の宛名が『拝啓　お客様 ,』って、絶対私の名前知ってるはずだから
この表現はいかがなものかと…
それに今どき『拝啓』なんて使いませんよね？
更に見ていくと、末尾の署名欄は企業名だけしか書かれておらず連絡先等の表記は無し。
これってビジネスマナーを大きく外れていますからヤマト運輸からのものではなさそう。
これらの観点からしてこのメールは恐らく何らかの詐欺を行うための悪意のある迷惑メールです。

では、このメールを解体し詳しく見ていきましょう！
まずはプロパティーから見ていきましょう。

件名は『お荷物お届けのお知らせ【受け取りの日時や場所をご指定ください】』
ご承知の通り件名欄は、差出人が書き込むものですからいくらでも適当に記入できます。
いつも詐欺メールに付けられてくる見出しの”[spam]”ってスタンプ見当たりませんね。
どうやらこのメールはサーバーに設置されている迷惑メールフィルターを何らなの手段を使い
すり抜けてきたらしいです。

差出人は
『”ヤマト運輸株式会社” <kojima-hironobu@hayashi-kougyou.co.jp>』
皆さんはご存じでしょうか？
この差出人欄は完全に自己申告制で、誰でもウソが書けるフィールド。
ですから、ここは信用できない部分です。
”kojima-hironobu@hayashi-kougyou.co.jp”なんてメールアドレス、どこからどうするとこのような
個人名の入ったものが使えるのでしょうか？
全くヤマト運輸らしさの欠片もない無いアドレスでよすね。

使えないドメイン

では、このメールが悪意のあるメールであることを立証していきましょうか！
まず、このメールのヘッダーソースにある”Received”を確認し調査してみます。
私が愛用のThunderbirdの場合、『表示(V)』⇒『メッセージのソース(O)』と進むと見られますよ。

”127.0.0.1”って記載があります。
これはlocalhostのことですから、この差出人は自身のデバイスにメールサーバーを構築し直接
このメールを配信しているようです。

ここに掲げた”Received”はこのメールが差出人から送信された後最初に通過したサーバーのもので
すなわち差出人が使った送信サーバーの自局情報です。
末尾の4つに区切られた数字の集まりはIPアドレスと呼ばれるいわばインターネット上の住所や電話番号で
同じ数字の集まりは世界中に1つしかありません。
でもこの数字の集まりじゃあまりにも煩雑でわかりにくいので、それに文字を割り当て分かり易くした
ものがドメインと呼ばれるものです。

このIPアドレスが差出人のメールアドレスのドメインに割当てられているものと一致すれば
メールアドレスの偽装は無かったことが証明されますが、そうでない場合、特定電子メール法
違反となり処罰の対象とされます。

※特定電子メール法違反
・個人の場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金
・法人の場合、行為者を罰する

では、メールアドレスにあったドメイン”hayashi-kougyou.co.jp”が差出人本人のものなのかどうかを
調べてみます。

おや？『対応するIPアドレスがありません』ですって？
このドメインはIPアドレスが割り当てられていないようですね。
IPアドレスが割り当てられていないドメインは利用することができないのでこのメールアドレスは
嘘確定です。

”Received”に記載されているIPアドレス”20.44.177.76”は、差出人が利用したメールサーバーの情報で
これを紐解けば差出人の素性が見えてきます。
このIPアドレスを元に送信に使われた回線情報とその割り当て地を確認してみます。

表示された地図上に立てられたピンの位置は『杉並区立和泉二丁目公園』付近です。
そして送信に利用されたのプロバイダーは『Microsoft Corporation』です。
このメールは、この付近に設置されたメールサーバーを介して私に届けられたようです。

意味不明なサイトへ

では引き続き本文。

拝啓　お客様 , ヤマト運輸をご利用いただきありがとうございます。 以下より、お荷物の確認と受取方法の変更ができます。 詳しくはこちら Globespirit Smart Solutions Schedule a call with us today to discover how the latest AI technology other than ChatGPT can transform your business. globespirit.com 著作権 © 2024 ヤマト運輸株式会社

このメールは詐欺メールですから詐欺サイトへのリンクが付けられています。
そのリンクは、本文に直書きされていますが、このURLは単なる通過点で、接続してみると
過ぎに別のURLに転送されるように仕組まれていました。
その転送先のURLの『Nortonセーフウェブレポート』での判定はこのようにレポートされていました。

注意としか書かれておらずあまり危機感は伝わりません。(;^_^A
これじゃ危険なので早急に評価を変更していただけるように私から変更の申請を行っておきます。

このURLで使われているドメインは、サブドメインを含め”pub-d788e28597014c2195c004ee88a5e180.r2.dev”
このドメインにまつわる情報を取得してみます。

カナダの方が取得されているこのドメインを割当てているIPアドレスは”104.18.2.35”
このIPアドレスを元にサイト運営に利用されているホスティングサービスとその割り当て地を確認してみます。

今度地図上にピンが立てられた位置は、カナダの『トロント市庁舎』付近。
そして利用されているホスティングサービスは『Cloudflare』
この辺りに設置されたウェブサーバーに、リンク先の詐欺サイトは構築されているようです。

『Nortonセーフウェブレポート』での危険度評価からすると、リンク先の詐欺サイトは
どこからもブロックされることなく無防備な状態で放置されていると思われます。
そんなサイトに、調査を目的で安全な方法を利用して訪れてみることにします。

開いたのはヤマト運輸とは掛け離れたこんなページ。

荷物問い合わせのユーザーIDとパスワードって知らんがな…(笑)
これじゃ騙されたくても。。。
どうやって騙すつもりなんでしょうね？？

まとめ

恐ろしいことに、今、こうしている間にも大量のフィッシング詐欺メールが発信されたくさんの
フィッシング詐欺サイトが作られ消滅していきます。
次から次に新種のメールが届くので常に意識して被害に遭わないようご注意ください。

いつものことながら、誤字・脱字・意味不明がありましたらお許しください(^-^;