観光庁が支給する補助金を民間企業の『じゃらんnet』が代行??宿・ホテル予約の『じゃらんnet』から『全国旅行支援、冬季補助金』に関する案内が届きました。 30,000円って、そんな補助金あったっけ? なんか読み通してみるとなんとなく引っかかる日本語ですよね? それに国からそんなアナウンスされてたっけ? だいたいそんなのを民間企業の『じゃらんnet』が代行するなんておかしくないでしょうか? 注意書きには『この補助金はじゃらんnetが観光局に代わって支給します』とありますが、元々観光局って 海外に事務所を置き、日本の観光情報発信や直接的なプロモーション活動を行う団体で『全国旅行支援』を 実施しているのは国土交通省内の観光庁が行っているはず! 漢字1つことですが、これは大きな間違いです!! ってなわけでこのメールは何者かが悪意を持って作った詐欺メールです。 では、このメールを解体し詳しく見ていきましょう! まずはプロパティーから見ていきましょう。 件名は『全国旅行支援、冬季30000円の補助金は期間限定で受け取ります。』 ご承知の通り件名欄は、差出人が書き込むものですからいくらでも適当に記入できます。 この件名には”[spam]”とスタンプが付けられているので迷惑メールの類です。 このスタンプはスパムスタンプと呼ばれるサーバーからの注意喚起で、これが付いている ものは全て迷惑メールと判断されたもの。 うちのサーバーの場合注意喚起だけですが、例えばGoogleのGmailサーバーの場合だと 否応なしに『迷惑メール』フォルダーに勝手に保存されるような仕組みもあります。 差出人は 『”じゃらんnet” <point-recruit-co-jp@yhzhuce.com>』 皆さんはご存じでしょうか? この差出人欄は完全に自己申告制で、誰でもウソが書けるフィールド。 ですから、ここは信用できない部分です。 『じゃらん』のオフィシャルサイトでURLを確認すれば一目瞭然ですが、こちらの公式ドメインは ”jalan.net”で間違ってもこのような全く関連性の無い”yhzhuce.com”ではありません。 もっともこのドメインを使ったメールアドレスも眉唾物ですがね。。。
プライべートアドレスのため地域は取得できずでは、このメールが悪意のあるメールであることを立証していきましょうか! まず、このメールのヘッダーソースにある”Received”を確認し調査してみます。 私が愛用のThunderbirdの場合、『表示(V)』⇒『メッセージのソース(O)』と進むと見られますよ。 Received:『from gmp (unknown [10.7.13.173])』 |
ここに掲げた”Received”はこのメールが差出人から送信された後最初に通過したサーバーのもので すなわち差出人が使った送信サーバーの自局情報です。 末尾の4つに区切られた数字の集まりはIPアドレスと呼ばれるいわばインターネット上の住所や電話番号で 同じ数字の集まりは世界中に1つしかありません。 でもこの数字の集まりじゃあまりにも煩雑でわかりにくいので、それに文字を割り当て分かり易くした ものがドメインと呼ばれるものです。 このIPアドレスが差出人のメールアドレスのドメインに割当てられているものと一致すれば メールアドレスの偽装は無かったことが証明されますが、そうでない場合、特定電子メール法 違反となり処罰の対象とされます。 ※特定電子メール法違反 ・個人の場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金 ・法人の場合、行為者を罰する では、メールアドレスにあったドメイン”yhzhuce.com”が差出人本人のものなのかどうかを 調べてみます。 これがドメイン”yhzhuce.com”を割当てているIPアドレスの情報です。 これによると”118.193.45.100”がこのドメインを割当てているIPアドレス。 本来このIPは”Received”のIP”10.7.13.173”と同じ数字の羅列になるはずですが、それが全く異なるので このメールのドメインは”yhzhuce.com”ではありません。 これでアドレスの偽装は確定です! ”Received”に記載されているIPアドレス”10.7.13.173”は、差出人が利用したメールサーバーの情報で これを紐解けば差出人の素性が見えてきます。 このIPアドレスを元に送信に使われた回線情報とその割り当て地を確認してみます。 どうやらこのIPアドレスはプライべートアドレスのため詳しい地域は取得できなかったようです。(;^_^A
金券支給の補助金にどうしてカード情報が必要なの?では引き続き本文。 「全国旅行支援」とは、政府が実施する全国を対象とした観光需要喚起策です。現在、30000円の旅行補助金を受け取ることができます。一人当たり1回だけ受け取ることができます。補助金は金券の形であなたのメールボックスに発行されます。金券は全てのオンライン旅行サイトに適用されます。使用有効期限は2024年1月5日-2024年3月5日です。 補助金申請※この補助金はじゃらんnetが観光局に代わって支給します。 ※.あなたの情報が完全に正しいことを確認してください。 ※あなたの情報は真実で有効でなければならず、私たちは確認します。 ※1人当たり1回だけ資料を完成でき、1回だけ旅行手当を受け取ることができます。何回も受け取らないでください。 |
何度読み返しても翻訳されたような引っかかる日本語ですね… このメールは詐欺メールですから詐欺サイトへのリンクが付けられています。 そのリンクは『補助金申請』って書かれたところに付けられていて、 そのリンク先のURLとトレンドマイクロの『サイトセーフティーセンター』での 危険度評価がこちらです。 あらら、まだあまり出回っていないメールなのでしょうか? こちらではまだ評価の対象になっていないようです。 このようなサイトが野放しになっているのは危険ですから早急に評価を変更していただけるよう 私から変更の申請を行っておきます。 このURLで使われているドメインは”janlannet.henry-studio.com” このドメインにまつわる情報を取得してみます。 中国河北省の方が取得されているこのドメインを割当てているIPアドレスは”66.154.107.172” このIPアドレスを元にサイト運営に利用されているホスティングサービスとその割り当て地を確認してみます。 地図に立てられたピンの位置は、アメリカカリフォルニア州ロサンゼルス付近。 そして利用されているホスティングサービスは、アメリカに拠点を置く『QuadraNet』 この辺りに設置されたウェブサーバーに、リンク先の詐欺サイトは構築されているようです。 トレンドマイクロの『サイトセーフティーセンター』での危険度評価からすると、リンク先の 詐欺サイトは、どこからもブロックされることなく無防備な状態で放置されていると思われます。 そんなサイトに、調査を目的で安全な方法を利用して訪れてみることにします。 『補助金申請』と書かれた黄色いボタンを押してみるとこのようなページが開きました。 個人情報を入力させられるのですね。 でもこれじゃ本人かどうか証明する術がありませんよね? あれれ?それに金券で支給される補助金を申請するのにカード情報がどうして必要なのでしょうか? そりゃそうですよね、このメールはカード情報を盗み出すのが目的なんですから。(;^_^A
まとめ人間心理に付け込んだり、行事や事件などに便乗したり、ほんと実に様々な手口を利用して詐欺を 行おうとしてきますよね。 皆さん騙されないようにご用心ください。 恐ろしいことに、今、こうしている間にも大量のフィッシング詐欺メールが発信されたくさんの フィッシング詐欺サイトが作られ消滅していきます。 次から次に新種のメールが届くので常に意識して被害に遭わないようご注意ください。 いつものことながら、誤字・脱字・意味不明がありましたらお許しください(^-^; |