カード持ってませんが何か御用でしょうか? イオンカード株式会社なる差出人からメールが6通。 イオンカードを持たない私宛に…  お察しの通りこれらのメールは全て悪意を持って送られてきたフィッシング詐欺メールの類。 ではこの中から一番新鮮なものを選んで詳しく見ていきましょう! そのメールがこちら。  このメール 『ご不明点がございましたら、弊社カスタマーサポートへご連絡ください。お客様のセキュリティを守るため全力でサポートいたします。』 と書かれている割には、そのカスタマーサポートの電話番号すら記載されていないとても不親切な メールですね…(;^_^A それに『敬具、』って、今時使いませんよね?(笑) ではまずはプロパティーから見ていきます。 件名は『[spam] 当社からのセキュリティ対策に関するお知らせ』 ご承知の通り件名欄は、差出人が書き込むものですからいくらでも適当に記入できます。 この件名には”[spam]”とスタンプが付けられているので迷惑メールの類です。 このスタンプはスパムスタンプと呼ばれるサーバーからの注意喚起で、これが付いている ものは全て迷惑メールと判断されたもの。 うちのサーバーの場合注意喚起だけですが、例えばGoogleのGmailサーバーの場合だと 否応なしに『迷惑メール』フォルダーに勝手に保存されるような仕組みもあります。 差出人は 『”イオンカード株式会社” <aeon-****@email.aeon.co.jp>』 ”aeon-****”の”****”には私のメールアカウントが記載されていました。 これは何を意味するのでしょう? 皆さんはご存じでしょうか? この差出人欄は完全に自己申告制で、誰でもウソが書けるフィールド。 ですから、ここは信用できない部分です。 確かに”aeon.co.jp”はイオンカードさんの公式なドメインですが、アカウント名に無意味に 私のアカウントが入れられているのでこのメールアドレスは偽装です。 どうしてロシアのドメインが? では、このメールが悪意のあるメールであることを立証していきましょうか! まず、このメールのヘッダーソースにある”Received”を確認し調査してみます。 私が愛用のThunderbirdの場合、『表示(V)』⇒『メッセージのソース(O)』と進むと見られますよ。 Received:『from vds2515592.my-ihor.ru (unknown [91.217.80.89])』 | あれれ?どうしてここに”vds2515592.my-ihor.ru”なんてロシアのドメインが書かれているのでしょうね? これじゃロシアからのメールって丸分かりじゃないですか?!(笑) ここに掲げた”Received”はこのメールが差出人から送信された後最初に通過したサーバーのもので すなわち差出人が使った送信サーバーの自局情報です。 末尾の4つに区切られた数字の集まりはIPアドレスと呼ばれるいわばインターネット上の住所や電話番号で 同じ数字の集まりは世界中に1つしかありません。 でもこの数字の集まりじゃあまりにも煩雑でわかりにくいので、それに文字を割り当て分かり易くした ものがドメインと呼ばれるものです。 このIPアドレスが差出人のメールアドレスのドメインに割当てられているものと一致すれば メールアドレスの偽装は無かったことが証明されますが、そうでない場合、特定電子メール法 違反となり処罰の対象とされます。 ※特定電子メール法違反 ・個人の場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金 ・法人の場合、行為者を罰する もう分かり切ってはいますが、一応儀式なので…(;^_^A ではメールアドレスにあったドメイン”aeon.co.jp”が差出人本人のものなのかどうかを調べてみます。  これがドメイン”aeon.co.jp”を割当てているIPアドレスの情報です。 これによると”23.64.106.91”がこのドメインを割当てているIPアドレス。 本来このIPは”Received”のIP”91.217.80.89”と同じ数字の羅列になるはずですが、それが全く異なるので このメールのドメインは”aeon.co.jp”ではありません。 これでアドレスの偽装は確定です! ”Received”に記載されているIPアドレス”91.217.80.89”は、差出人が利用したメールサーバーの情報で これを紐解けば差出人の素性が見えてきます。 このIPアドレスを元に送信に使われた回線情報とその割り当て地を確認してみます。  地図にピンが立てられたのは、やっぱりロシアで『モスクワ』付近です。 そして送信に利用されたのは、英国のロンドンに拠点を置く『I-servers LTD』と言うプロバイダーです。 このメールは、この付近に設置されたこの「プロバイダーのメールサーバーを介して私に届けられたようです。 リンク先はオフィシャルサイト では引き続き本文。 お客様のセキュリティ強化のため、【イオンカード】の利用情報確認が必要です。ご協力をお願いいたします。 不審な取引が検出されました。【イオンカード】情報を再確認いただく必要があります。 【イオンカード】情報確認を通じ、セキュリティリスクを軽減し、安全にご利用いただけます。 手続きは以下のリンクから行ってください。 こちらから「ご利用確認手続き」 ページへお進みください。 表示される指示に従い、必要な情報をご提供いただきますようお願い申し上げます。 手続き中には、正規のプラットフォームを使用し、不審なメールやリンクに注意してください。 ご不明点がございましたら、弊社カスタマーサポートへご連絡ください。お客様のセキュリティを守るため全力でサポートいたします。 ご協力をお願い申し上げます。 敬具、 | このメールは詐欺メールですから詐欺サイトへのリンクが付けられています。 そのリンクは『ご利用確認手続き』って書かれたところに付けられていて リンク先の『Nortonセーフウェブレポート』での判定はこのようにレポートされていました。  『危険』ではなく『注意』とのみ書かれていますね。 それほど危険性は無いとの判断なのでしょうか? なぜかと思いリンク先を覗いてみると、開いたのはイオンカードのオフィシャルサイトでした。 他5通のメールのリンクも皆同じで何とも人騒がせな野郎です! いったい何が楽しくてこんなメールばらまいているのでしょうか…(-_-;) まとめ 恐ろしいことに、今、こうしている間にも大量のフィッシング詐欺メールが発信されたくさんの フィッシング詐欺サイトが作られ消滅していきます。 次から次に新種のメールが届くので常に意識して被害に遭わないようご注意ください。 いつものことながら、誤字・脱字・意味不明がありましたらお許しください(^-^; |