『詐欺メール』Amazonから『お知らせ』と、来た件

★フィッシング詐欺解体新書★

Amazonがフリーメールで会員宛にメールを？！

日に十数通届くAmazonを騙る詐欺メール、皆さんもさぞ手を焼いていることと思います。
今日も大量に届いたそれらのメールの中から、1通このようなものがありました。

タイトルが『お知らせ』とだけ書かれたシンプルなこのメール。
アマプラ料金の支払いが承認されないと書かれていますが、このようなアマプラ料金の支払いをネタにした
メールは、詐欺メールの歴史と共にあるようなもので、昔から配信されてきたある意味古典的なものです。
これがもし本当のAmazonだとしたら『プライム会員』と書かれた項目は間違いなく私の氏名が書かれて
いるはずですが、なぜだか私のメールアドレスで、それも仕事用のもの。
呆れてものが言えませんです…(;^_^A

では、このメールを解体し詳しく見ていきましょう！
まずはプロパティーから見ていきましょう。

件名は『[spam] お知らせ』
ご承知の通り件名欄は、差出人が書き込むものですからいくらでも適当に記入できます。
この件名には”[spam]”とスタンプが付けられているので迷惑メールの類です。
このスタンプはスパムスタンプと呼ばれるサーバーからの注意喚起で、これが付いている
ものは全て迷惑メールと判断されたもの。
うちのサーバーの場合注意喚起だけですが、例えばGoogleのGmailサーバーの場合だと
否応なしに『迷惑メール』フォルダーに勝手に保存されるような仕組みもあります。

差出人は
『Amazon.co.jp <pmerckvm@hotmail.com>』
皆さんはご存じでしょうか？
この差出人欄は完全に自己申告制で、誰でもウソが書けるフィールド。
ですから、ここは信用できない部分です。

どうしてAmazon足る企業が、Microsoftのフリーメールである”hotmail”を使うのでしょうか？
Amazonさんにはここに書かれている通り、その顔となるような”amazon.co.jp“って公式な
ドメインをお持ちですよ。

シンガポールよりMicrosoftのサーバーを利用して

では、このメールがフィッシング詐欺メールであることを立証していきましょうか！
まず、このメールのヘッダーソースにある”Received”を確認し調査してみます。
私が愛用のThunderbirdの場合、『表示(V)』⇒『メッセージのソース(O)』と進むと見られますよ。

この”Received”に記載のIPアドレスは差出人が利用したメールサーバーのもの。
ここに”outbound.protection.outlook.com”とあるので、この差出人は、Office365を利用して
このメールを送信したことが分かります。

このIPアドレスが差出人のメールアドレスのドメインに割当てられているものと一致すれば
メールアドレスの偽装は無かったことが証明されますが、そうでない場合、特定電子メール法
違反となり処罰の対象とされます。

※特定電子メール法違反
・個人の場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金
・法人の場合、行為者を罰する

では、メールアドレスにあったドメイン”hotmail.com”が差出人本人のものなのかどうかを
調べてみます。

これがドメイン”hotmail.com”の登録情報です。
これによると”204.79.197.212”がこのドメインを割当てているIPアドレス。
本来この4つの数字は”Received”のIPアドレスと同じ数字になるはずですが、比較すると全く異なるので
このメールのドメインは当然”hotmail.com”ではありません。
これでアドレスの偽装は確定です！

”Received”は、このメールが通過してきた各受送信サーバーが自身で刻む
自局のホスト情報です。
記載されている末尾の数字は、そのサーバーのIPアドレスになり、これを紐解けば差出人の素性が
見えてきます。
このIPアドレスを元に送信に使われたホスト情報とその割り当て地を確認してみます。

送信に利用されたプロバイダーは、やはり『Microsoft Corporation』

位置情報は、IPアドレスを元にしているので、かなりアバウトな位置であることを
ご承知いただいた上でご覧ください。

代表地点としてピンが立てられたのは、シンガポールの山中です。
このメールは、この付近に設置されたメールサーバーを介して私に届けられたようです。

2行目の『723』ってなに？

では引き続き本文。

2行目の『723』って何の数字でしょうか…もしかして7月23日っこと？(;^_^A
最終行の著作権表示が『© プライム』ってのも腑に落ちませんね…

このメールは詐欺メールですから詐欺サイトへのリンクが付けられています。
そのリンクは『ログイン』って書かれたところに付けられていて
リンク先のNorton『Safe Web』での危険度評価がこちらです。

既にしっかりブラックリストに登録済みですね。
リンクへ移動してもサイトはブロックされるでしょう。

このURLで使われているドメインは”ourlittlefarms.com”
このドメインにまつわる情報を取得してみます。

これによるとこのドメインは、兵庫県の方が管理されているようですね。
割当てているIPアドレスは”107.173.15.152”
このIPアドレスを元にサイト運営に利用されているホスト情報とその割り当て地を確認してみます。

サイト運営に利用されているホストは『ColoCrossing』

こちらもIPアドレスを元にしているので、アバウトな位置であることをご承知いただいた上で
ご覧ください。
地図上にピンが立てられたのは、テキサス州『ダラス』付近。
この辺りに設置されたウェブサーバーに、リンク先の詐欺サイトは構築されているようです。

この手のメールのリンク先は、PCとタブレット系のブラウザで接続先が切り替わるように設定されていて
私のようなPCから接続されると都合の悪いことでもあるのか、なぜかこのようにlocalhostに接続されて
エラーとなってしまいます。

スマホやタブレットだと、環境的にPCより危険なので私はわざわざ確認にはいきません。

まとめ

メールの手口としてはたいへん昔からあるものですが、メールの本文のデザインが新しいものでしたので
改めてご紹介させていただきました。
アマプラ費用なんてほとんどの方が年間一括でカードからの引き落としなので、急に払えなくなったと
わざわざ月額の費用を表示させて送られてくることに対し不信感しか感じません。

恐ろしいことに、今、こうしている間にも大量のフィッシング詐欺メールが発信されたくさんの
フィッシング詐欺サイトが作られ消滅していきます。
次から次に新種のメールが届くので常に意識して被害に遭わないようご注意ください。

いつものことながら、誤字・脱字・意味不明がありましたらお許しください(^-^;