脅しのような件名
「モバイルSuica」からこのようなメールが届きました。
なんかゴチャゴチャと書いてありますが、私、こちらのアカウント持っていませんけどね(笑)
では、このメールを解体し詳しく見ていきましょう!
まずはプロパティーから見ていきましょう。
件名は「[spam] [最終警告]モバイルSuicaから情報を更新してください」
ご承知の通り件名欄は、差出人が書き込むものですからいくらでも適当に記入できます。
それにしても『[最終警告]』なんて脅しのような仰々しい言葉が使われています。(-_-;)
この件名には”[spam]”とスタンプが付けられているので迷惑メールの類です。
このスタンプはスパムスタンプと呼ばれるサーバーからの注意喚起で、これが付いている
ものは全て迷惑メールと判断されたもの。
うちのサーバーの場合注意喚起だけですが、例えばGoogleのGmailサーバーの場合だと
否応なしに「迷惑メール」フォルダーに勝手に保存されるような仕組みもあります。
差出人は
「"Mobile Suica" <info-xlmssaywbtpnkpp@mobilesuica.com>」
皆さんはご存じでしょうか?
この差出人欄は完全に自己申告制で、誰でもウソが書けるフィールド。
ですから、ここは信用できない部分です。
それにしても何ですかこの”info-xlmssaywbtpnkpp”なんてアカウント名。
企業がこのような無茶苦茶なアカウント使用しますかね?(笑)
”mobilesuica.com”は一応モバイルsuicaさんのドメインのようですが…
発信地は韓国のソウル
では、このメールがフィッシング詐欺メールであることを立証していきましょうか!
まず、このメールのヘッダーソースを確認し調査してみます。
私が愛用のThunderbirdの場合、「表示(V)」⇒「メッセージのソース(O)」と進むと見られますよ。
ソースから抜き出した「フィールド御三家」がこちらです。
Return-Path: 「info-xlmssaywbtpnkpp@mobilesuica.com」
”Return-Path”は、このメールが何らかの障害で不達に終わった際に返信される
メールアドレスです。
一般的には、差出人と同じメールアドレスが記載されますが、ここは誰でも簡単に
偽装可能なフィールドなのであてにできません。
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Message-ID:「9bdb01f1881c2c4c31f835c29f9115b3@152.32.139.42」
”Message-ID”は、そのメールに与えられた固有の識別因子。
このIDは世の中に1つしかありません。
”@”以降は、メールアドレスと同じドメインか若しくはデバイス名が入ります。
ここも偽装可能で鵜呑みにはできません。
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Received:「from 10-33-36-64.localdomain (unknown [152.32.139.42])」
”Received”は、このメールが通過してきた各受送信サーバーが自身で刻む
自局のホスト情報です。
ここに掲げた”Received”はこのメールが最初に通過したサーバーのもの。
すなわち、差出人が使った送信サーバーの自局情報。
記載されている末尾の数字は、そのサーバーのIPアドレスになります。
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先に書いた通り”Received”に記載のIPアドレスは差出人が利用したメールサーバーのもの。
このIPアドレスが差出人のメールアドレスのドメインに割当てられているものと一致すれば
メールアドレスの偽装は無かったことが証明されますが、そうでない場合、特定電子メール法
違反となり処罰の対象とされます。
※特定電子メール法違反
・個人の場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金
・法人の場合、行為者を罰する
では、メールアドレスにあったドメイン”mobilesuica.com”について調べてみます。
これによると”157.72.65.130”がこのドメインを割当てているIPアドレス。
本来同じでなけれならない”Received”のIPアドレスが”152.32.139.42”ですから全く異なります。
これでアドレス偽装は確定。
やっぱりウソのメールアドレスだったんですね!
この方にはしっかり罪を償っていただかなければなりませんね!
「フィールド御三家」の中で一番重要なのは”Received”
これを紐解けば差出人の素性が見えてきます。
”Received”のIPアドレス”152.32.139.42”は、差出人が利用しているメールサーバーのもの。
このIPアドレスを元に通信使われたホスト情報とその割り当て地を確認してみます。
メール送信に使われたホストの情報は「Ucloud Information Technology」と
中国のホスティングサービスのようです。
位置情報は、IPアドレスを元にしているので、かなりアバウトな位置であることを
ご承知いただいた上でご覧ください。
代表地点としてピンが立てられたのは、「ソウル」付近です。
このメールは、この付近に設置されたメールサーバーを介して私に届けられたようです。
詐欺サイトは既に閉鎖
では引き続き本文。
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敬具、
モバイルSuicaカスタマーサポート |
まあ詐欺メールではありがちの文面ですね。
このメールは詐欺メールですから詐欺サイトへのリンクが付けられています。
そのリンクは「アカウント情報の更新ページへ」って書かれたところに付けられていて、そのリンク先へ
接続してみるとこのように表示されました。
原因は不明ですがどうやら閉鎖されてしまったようですね。
使われていたドメインは”arkrist.shop”のようですので、このドメインの情報を取得してみましたが
このドメイン自体すでに破棄されたようです。
まとめ
詐欺犯が危険を察知して自主的に閉鎖したのか、それともホスティングサービス側が強制的に
遮断したのかは定かではありませんが、このドメインで詐欺サイトを再開することは
どうやらなさそうなので一安心ですね。
恐ろしいことに、今、こうしている間にも大量のフィッシング詐欺メールが発信されたくさんの
フィッシング詐欺サイトが作られ消滅していきます。
次から次に新種のメールが届くので常に意識して被害に遭わないようご注意ください。
いつものことながら、誤字・脱字・意味不明がありましたらお許しください(^-^; |