メールアカウント名が数字の羅列とは…
イオンからなんだかおかしなメールが届きましたよ。
冒頭「イオン会員様へ、」から始まるこのメール。
もちろん詐欺メールです。
なんでも私のイオンアカウントにいくつかの問題が発生しているようですが
解決策の説明が「お客様には、イオンの公式ウェブサイトにアクセスし」の後リンクのURLで
終わっているのでどうしたら良いのかわかりません。
更に「他のプラットフォームや方法でパスワードをリセットしないでください。」とリンク先以外の
スマホアプリからアクセスしないようにするための1行が書かれています。
では、このメールを解体し詳しく見ていきましょう!
まずはプロパティーから見ていきましょう。
件名は
「[spam] あなたのイオンアカウントに問題が発生したお知らせ」
ご承知の通り件名欄は、差出人が書き込むものですからいくらでも適当に記入できます。
この件名には”[spam]”とスタンプが付けられているので迷惑メールの類です。
このスタンプはスパムスタンプと呼ばれるサーバーからの注意喚起で、これが付いている
ものは全て迷惑メールと判断されたもの。
うちのサーバーの場合注意喚起だけですが、例えばGoogleのGmailサーバーの場合だと
否応なしに「迷惑メール」フォルダーに勝手に保存されるような仕組みもあります。
差出人は
「イオンカード <info-037190157043009660@aeon.co.jp>」
皆さんはご存じでしょうか?
この差出人欄は完全に自己申告制で、誰でもウソが書けるフィールド。
ですから、ここは信用できない部分です。
「」さんには、””って正規ドメインをお持ちです。
正規ドメインが有るのにそれ以外のこのようなでたらめなドメインを使ったメールアドレスで
ユーザーさんにメールを送るなんて信用問題に関わる大きな問題です。
”aeon.co.jp”は確かに「イオン」さんのドメインですが、どこの企業がinfoアカウントに
18桁もの数字を使うのでしょうか…(;^_^A
絶対にあり得ません。
更に件名に”[spam]”とあるのでこのメールは詐欺メール故に偽装の疑いがあります。
その辺りを含め、次の項で見ていくことにしましょう。
自身のデバイスにメールサーバーを構築
では、このメールがフィッシング詐欺メールであることを立証していきましょうか!
まず、このメールのヘッダーソースを確認し調査してみます。
私が愛用のThunderbirdの場合、「表示(V)」⇒「メッセージのソース(O)」と進むと見られますよ。
ソースから抜き出した「フィールド御三家」がこちらです。
Return-Path: 「info-037190157043009660@aeon.co.jp」
”Return-Path”は、このメールが何らかの障害で不達に終わった際に返信される
メールアドレスです。
一般的には、差出人と同じメールアドレスが記載されますが、ここは誰でも簡単に
偽装可能なフィールドなのであてにできません。
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Message-ID:「8c76da19f43921cdd38da1230073236d@165.154.19.204」
”Message-ID”は、そのメールに与えられた固有の識別因子。
このIDは世の中に1つしかありません。
”@”以降は、メールアドレスと同じドメインか若しくはデバイス名が入ります。
ここも偽装可能で鵜呑みにはできません。
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Received:「from 10-40-55-4.localdomain (unknown [165.154.19.204])」
”Received”は、このメールが通過してきた各受送信サーバーが自身で刻む
自局のホスト情報です。
ここに掲げた”Received”はこのメールが最初に通過したサーバーのもの。
すなわち、差出人が使った送信サーバーの自局情報。
記載されている末尾の数字は、そのサーバーのIPアドレスになります。
最近この”localdomain”っての多いですね。
これは、この差出人はレンタルサーバーなどを利用せずメールを書いている
デバイス自体に稼働させているメールサーバーを利用したことになります。
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この差出人は、あくまで自分のドメインは”aeon.co.jp”と言い張るようですね。
ならばその鼻っ柱をへし折ってやりましょうか!
先に書いた通り”Received”に記載のIPアドレスは差出人が利用したメールサーバーのもの。
このIPアドレスが差出人のメールアドレスのドメインに割当てられているものと一致すれば
メールアドレスの偽装は無かったことが証明されますが、そうでない場合、特定電子メール法
違反となり処罰の対象とされます。
※特定電子メール法違反
・個人の場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金
・法人の場合、行為者を罰する
では、メールアドレスにあったドメイン”aeon.co.jp”について調べてみます。
ドメインの取得者は「エー・シー・エス債権管理回収株式会社」と書かれていますが
これはイオンフィナンシャルサービス株式会社の子会社です。
そして”104.78.90.191”がこのドメインを割当てているIPアドレス。
本来同じでなけれならない”Received”のIPアドレスが”165.154.19.204”ですから全く異なります。
これでアドレス偽装は確定。
この方にはしっかり罪を償っていただかなければなりませんね!
「フィールド御三家」の中で一番重要なのは”Received”
これを紐解けば差出人の素性が見えてきます。
”Received”のIPアドレス”165.154.19.204”は、差出人が利用しているメールサーバーのもの。
このIPアドレスを元にその割り当て地を確認してみます。
IPアドレスを元にしているので、かなりアバウトな位置であることをご承知いただいた上でご覧ください。
代表地点としてピンが立てられたのは、フィッシング詐欺メールの国内一大生産地の
東京都杉並区和泉付近です。
先程書いたように、この差出人はレンタルサーバーなどを利用せずメールを書いている
デバイス自体に稼働させているメールサーバーを利用したようなので、差出人自体がこの付近に
アジトを構えているようです。
宛名が「イオン会員様へ、」って違和感しかない
では引き続き本文。
イオン会員様へ、
こんにちは!いつもイオンをご利用いただき、誠にありがとうございます。日常のシステムメンテナンス中に、お客様のイオンアカウントにいくつかの問題が発生していることがわかりました。アカウントの安全を確保し、イオンでのショッピング体験に影響を与えないようにするため、お客様のご協力が必要です。
問題の概要:
アカウントに異常な取引履歴があることが判明しました。これは、アカウント情報が他人に取得されたか、システムに障害が発生した可能性があります。お客様の財産の安全を確保するため、アカウントは一時的に凍結されています。
解決策:お客様には、イオンの公式ウェブサイトにアクセスし
https://www.aeon.co.jp/
アカウントの安全を確保するため、他のプラットフォームや方法でパスワードをリセットしないでください。質問やサポートが必要な場合は、いつでもカスタマーサポートチームにお問い合わせください。
お客様にご迷惑をおかけして申し訳ございません。ご理解とご協力をいただき、ありがとうございます。問題が解決されると、イオンの質の高いサービスとショッピング体験を引き続きお楽しみいただけます。
どうぞよろしくお願いいたします。
イオン株式会社
カスタマーサポート部 |
だいたい冒頭の書き出しが「イオン会員様へ、」って違和感の塊。
会員の氏名を知っているイオンですから宛名はその氏名となるはず。
それがこのような書き出しになるということは、差出人は私の氏名を知らないということですよね。
このメールは、フィッシング詐欺メールなので詐欺サイトへのリンクが付けられています。
そのリンクは本文に”aeon.co.jp”とイオングループのドメインのURLが書かれていますが
もちろんこんなのは偽装されていて嘘のULRです。
試しにクリックしてみると…
ね、実際のリンク先は”7pl3vqw.asia”と書かれています。
危険を承知で接続してみると…
利用したブラウザChromeの警告です。
あれ?よく見ると”qsxdfewr.americanunfinished.com”と書かれており更に別のURLに切り替わって
いるようですね。
では、更にこの別のURLのサイトに危険を承知で接続してみると…
ウイルスバスターに阻止されてこれ以上先に進むことはできませんでした。(;^_^A
無料のドメインで詐欺サイトを運営
接続しようとしているURLをトレンドマイクロの「サイトセーフティーセンター」での危険度評価で
確認してみるとこのような結果が表示されました。
やはりブラックリストに登録済みでそのカテゴリは「フィッシング」と書かれています。
このURLで使われているドメインは、サブドメインを含め”qsxdfewr.americanunfinished.com”
このドメインにまつわる情報を取得してみます。
このドメインの持ち主は、無料でダイナミックDNSを貸し出していることで有名なアメリカの「ChangeIP」
姑息にもこの詐欺サイト運営者は、無料のドメインを使っているようです。
そして更にこのドメインを割り当てているIPアドレスを割り出してみます。
このドメインを割当てているIPアドレスは”155.94.196.159”と出ました。
このIPアドレスに対してもその割り当て地を確認してみます。
こちらもIPアドレスを元にしているので、アバウトな位置であることをご承知いただいた上で
ご覧ください。
代表地点としてピンが立てられのは、詐欺サイトのメッカ、ロサンゼルス近郊のリトルトーキョーに
程近い場所。
フィッシング詐欺サイトは、この付近に密集しています!
この辺りに設置されたウェブサーバーに、リンク先の詐欺サイトは構築されているようですね。
まとめ
残念ながらどのような詐欺サイトを閲覧することはできませんでしたが、きっとイオンアカウントへの
ログイン画面の偽サイトが表示されたことでしょう。
犯人は、そこでアカウントのログイン情報や更には個人情報とカード情報を詐取するのでしょうね。
恐ろしいことに、今、こうしている間にも大量のフィッシング詐欺メールが発信されたくさんの
フィッシング詐欺サイトが作られ消滅していきます。
次から次に新種のメールが届くので常に意識して被害に遭わないようご注意ください。
いつものことながら、誤字・脱字・意味不明がありましたらお許しください(^-^; |