クレカの情報が正確でないって
今回は、久しぶりに「えきねっと」を騙る詐欺メールのご紹介です。
このメールの件名は「【重要】えきねっと更新のお知らせ。」ですが
全くこれと同じ内容で「【重要】えきねっとのお知らせ、情報を更新してください。」と言う
ものも届いております。
「えきねっと」は、JR東日本が運営管理するインターネット上の指定券予約サービス等を提供する
ウェブサイトです。
この「えきねっと」の詐欺メールでよくあるのは、リニューアルに伴う自動退会をネタに
ログインをするように促しリンクに誘い込むものがほとんどでしたが、今回はそれとは違い
クレカの情報が間違っているためリンクから情報更新を促すものとなっています。
では、このメールを解体し詳しく見ていきましょう!
まずはプロパティーから見ていきましょう。
件名は
「[spam] 【重要】えきねっと更新のお知らせ。メール番号:Ea-9150-00859」
ご承知の通り件名欄は、差出人が書き込むものですからいくらでも適当に記入できます。
末尾のメール番号は、ランダム関数が導き出した適当な数字の羅列です。
この件名には”[spam]”とスタンプが付けられているので迷惑メールの類です。
このスタンプはスパムスタンプと呼ばれるサーバーからの注意喚起で、これが付いている
ものは全て迷惑メールと判断されたもの。
うちのサーバーの場合注意喚起だけですが、例えばGoogleのGmailサーバーの場合だと
否応なしに「迷惑メール」フォルダーに勝手に保存されるような仕組みもあります。
差出人は
「"えきねっとサポートセンター" <support@service.chnbgbt.cn>」
皆さんはご存じでしょうか?
この差出人欄は完全に自己申告制で、誰でもウソが書けるフィールド。
ですから、ここは信用できない部分です。
もうこのお話は、うちのサイトで何度も何度も説明してきましたが。
「えきねっと」さんには、”eki-net.com”って正規ドメインをお持ちです。
正規ドメインが有るのにそれ以外のこのようなでたらめな中国のドメインを使ったメールアドレスで
ユーザーさんにメールを送るなんて信用問題に関わる大きな問題です。
IPアドレスの危険性を示す脅威レベルは「高」
では、このメールがフィッシング詐欺メールであることを立証していきましょうか!
まず、このメールのヘッダーソースを確認し調査してみます。
私が愛用のThunderbirdの場合、「表示(V)」⇒「メッセージのソース(O)」と進むと見られますよ。
ソースから抜き出した「フィールド御三家」がこちらです。
Return-Path: 「support@service.chnbgbt.cn」
”Return-Path”は、このメールが何らかの障害で不達に終わった際に返信される
メールアドレスです。
一般的には、差出人と同じメールアドレスが記載されますが、ここは誰でも簡単に
偽装可能なフィールドなのであてにできません。
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Message-ID:「20230420063009562881@service.chnbgbt.cn」
”Message-ID”は、そのメールに与えられた固有の識別因子。
このIDは世の中に1つしかありません。
”@”以降は、メールアドレスと同じドメインか若しくはデバイス名が入ります。
ここも偽装可能で鵜呑みにはできません。
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Received:「from service.chnbgbt.cn (unknown [23.247.42.34])」
”Received”は、このメールが通過してきた各受送信サーバーが自身で刻む
自局のホスト情報です。
ここに掲げた”Received”はこのメールが最初に通過したサーバーのもの。
すなわち、差出人が使った送信サーバーの自局情報。
記載されている末尾の数字は、そのサーバーのIPアドレスになります。
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では、メールアドレスにあったドメイン”service.chnbgbt.cn”について調べてみます。
”23.247.42.34”がこのドメインを割当てているIPアドレス。
”Received”に記載のIPアドレスと全く同じなので「えきねっと」さんのメールアドレスではないものの
偽装は行われていませんでした。
「フィールド御三家」の中で一番重要なのは”Received”
これを紐解けば差出人の素性が見えてきます。
”Received”のIPアドレス”23.247.42.34”は、差出人が利用しているメールサーバーのもの。
このIPアドレスを元にその危険性と割り当て地を確認してみます。
まず危険性を示す脅威レベルは「高」で、その種類はメールによるサイバーアタックとされていますから
既にこのIPアドレスはブラックリスト入りしています。
続いて位置情報。
IPアドレスを元にしているので、かなりアバウトな位置であることをご承知いただいた上でご覧ください。
代表地点としてピンが立てられたのは、アメリカロサンゼルスにあるカリフォルニア交通局付近です。
このメールは、この付近に設置されたメールサーバーを介して私に届けられたようです。
”eki-net”じゃなく”eki-nat”ですって…
では引き続き本文。
平素、「えきねっと」をご利用いただきまして誠にありがとうございます。
「えきねっと」 会員様、弊社にお預かりする「クレジットカードのお客様情報」は正確な情報ではないため、
弊社では、クレジットカード会社や銀行の決済規則に基づき、要件を満たしていないお客様に対して制限措置をさせて頂きます。
ご利用に支障をきたさないよう、お早めに下記のリンクをクリックして、正しい情報をご記入ください。
⇒ログインはこちら
※このURLの有効期間は手続き受付時より48時間です。
(有効期限 2023/04/22 23:59)
※URLが無効の場合は、恐れ入りますが、改めてパスワードの再登録手続きをお願いいたします。 |
『「えきねっと」 会員様』なんて宛名、おかしいと思いませんか?
これは詐欺メール全般に言えることですが、ユーザー登録時に氏名を入力しているはずなので
このような抽象的な宛名なのは違和感があります。
それにクレジットカードの情報が正確ではないと記載されていますが、そのような情報が急に
変わってしまうのにも違和感を覚えます。
ま、詐欺メールに対してそんな事を言っても仕方ありませんがね…(;^_^A
このメールは、フィッシング詐欺メールなので詐欺サイトへのリンクが付けられています。
そのリンクは「ログインはこちら」って書かれたところに張られていて、リンク先の
URLとトレンドマイクロの「サイトセーフティーセンター」での危険度評価がこちらです。
おっと、まだ「未評価」のようです。
このようなフィッシング詐欺サイトがこの評価ではあまりにも危険すぎます。
評価を変更していただけるよう早速申請しておきます。
このURLで使われているドメインは、サブドメインを含め”eki-nat.member.ecofriendlyhomebuilder.com”
”eki-net”じゃなく”eki-nat”ですって…
相変わらず「えきねっと」には全く関連性の無い異様に長いドメインです。
このドメインにまつわる情報を取得してみます。
ドメインの申請取得者は、中国広東省の方。
このドメインを割当てているIPアドレスは”35.221.118.52”
このIPアドレスを元にその割り当て地を確認してみます。
こちらもIPアドレスを元にしているので、アバウトな位置であることをご承知いただいた上で
ご覧ください。
代表地点としてピンが立てられのは、国内の詐欺サイトのメッカである東京都杉並区和泉付近。
この辺りに設置されたウェブサーバーに、リンク先の詐欺サイトは構築されているようです。
トレンドマイクロの「サイトセーフティーセンター」での危険度評価からすると、リンク先の詐欺サイトは
どこからもブロックされることなく無防備に放置されているとおもわれます。
そんな詐欺サイトへ安全な方法で訪れてみました。
開いたのは、詐欺サイトの調査では見慣れた「えきねっと」へのログインページ。
URLのドメインが示すように「えきねっと」には全く関係の無いサイトですから絶対にログインしないで
くださいよ!
まとめ
「えきねっと」を騙る詐欺メールは、馬鹿の一つ覚えのように「自動退会」を謳うものでしたが
今回はそれとは内容が異なったのでご紹介させていただきました。
恐ろしいことに、今、こうしている間にも大量のフィッシング詐欺メールが発信されたくさんの
フィッシング詐欺サイトが作られ消滅していきます。
次から次に新種のメールが届くので常に意識して被害に遭わないようご注意ください。
いつものことながら、誤字・脱字・意味不明がありましたらお許しください(^-^; |