私から私へ
私から私宛にクレジットカード会社「アメリカンエキスプレス」を名乗る不思議なメールが
届きました。
確たる理由も無くカードの利用が一時停止された旨が書かれています。
なんくせ付ける気はありませんが「現在カードのご利用が一時停止されました。」って、
現在進行形なのに「されました」って日本語としてちょっと…(笑)
それに、さも私がこのカードを持っているように書かれていますが、残念ながら私、こちらのカード
持ち合わせていません。(^^;)
では、このメールを解体し詳しく見ていきましょう!
まずはプロパティーから見ていきましょう。
件名は
「[spam] 【アメリカン・エキスプレスカード】の一時利用停止は解除されます」
ご承知の通り件名欄は、差出人が書き込むものですからいくらでも適当に記入できます。
この件名には”[spam]”とスタンプが付けられているので迷惑メールの類です。
このスタンプはスパムスタンプと呼ばれるサーバーからの注意喚起で、これが付いている
ものは全て迷惑メールと判断されたもの。
うちのサーバーの場合注意喚起だけですが、例えばGoogleのGmailサーバーの場合だと
否応なしに「迷惑メール」フォルダーに勝手に保存されるような仕組みもあります。
差出人は「自分」とされています。
何が楽しくてクレジットカードの一時停止案内を自分から自分に送るの?
マジでバカバカしくてやってられません!(-_-;)
メールは自身が運営するサーバーから発信
では、このメールがフィッシング詐欺メールであることを立証していきましょうか!
まず、このメールのヘッダーソースを確認し調査してみます。
私が愛用のThunderbirdの場合、「表示(V)」⇒「メッセージのソース(O)」と進むと見られますよ。
ソースから抜き出した「フィールド御三家」がこちらです。
Return-Path: 「***@*****.***」
”Return-Path”は、このメールが何らかの障害で不達に終わった際に返信される
メールアドレスです。
一般的には、差出人と同じメールアドレスが記載されますが、ここも私の
メールアドレスが記載されています。
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Message-ID:「dde06854c868f3c590b07ce287c39f51@118.194.230.113」
”Message-ID”は、そのメールに与えられた固有の識別因子。
このIDは世の中に1つしかありません。
”@”以降は、メールアドレスと同じドメインか若しくはデバイス名が入ります。
ここも偽装可能で鵜呑みにはできません。
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Received:「from 10-40-186-251.localdomain (unknown [118.194.230.113])」
”Received”は、このメールが通過してきた各受送信サーバーが自身で刻む
自局のホスト情報です。
ここに掲げた”Received”はこのメールが最初に通過したサーバーのもの。
すなわち、差出人が使った送信サーバーの自局情報。
記載されている末尾の数字は、そのサーバーのIPアドレスになります。
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”Received”に”localdomain”と書いてあるので、この差出人はレンタルサーバーなどではなく
自身が持つサーバーを利用してこのメールを送ってきているようです。
「フィールド御三家」の中で一番重要なのは”Received”
これを紐解けば差出人の素性が見えてきます。
”Received”のIPアドレス”118.194.230.113”は、差出人が利用しているメールサーバーのもの。
このIPアドレスを元にその割り当て地を確認してみます。
IPアドレスを元にしているので、かなりアバウトな位置であることをご承知いただいた上でご覧ください。
代表地点としてピンが立てられたのは、「東京都杉並区和泉」付近です。
このメールは、この付近に設置されたメールサーバーを介して私に届けられたようです。
詐欺サイトは一時的に閉鎖か?
では引き続き本文。
現在カードのご利用が一時停止されました。
2023年05月1日 まで、カードの利用が一時停止されました。
カードの一時利用停止:
カードの利用を一時停止することにより、今後カードを端末に通すご利用はできなくなります。しかしながら、以下のご利用は止まりませんのでご注意ください。
・定期的なお支払い(公共料金、サブスクリプション料金)
・デジタルウォレットに登録済みのカード利用
・一時停止したカード以外のご利用分
また、カードの一時利用停止中でも次のご利用は可能な
場合があります。
・オンライン決済
・デジタルウォレットにカード情報を登録する
カードの一時利用停止を解除すると、以前と同様にカードを利用できます。カードの一時利用停止を解除する場合は、
こちら。
カードの一時利用停止を解除する
カードを紛失・盗難された場合、心当たりのない利用履歴がある場合は、すぐにご連絡ください。カードを再発行いたします。 |
停止理由が全く書かれていませんが、どうやら実体のない私のものとされるカードは
5月1日まで停止されるようです。(笑)
このメールは、フィッシング詐欺メールなので詐欺サイトへのリンクが付けられています。
そのリンクは「カードの一時利用停止を解除する」って書かれたところに張られていて、リンク先の
URLとトレンドマイクロの「サイトセーフティーセンター」での危険度評価がこちらです。
おや?まさかの安全宣言ですか…
これは見逃すことは到底できません。
このようなフィッシング詐欺サイトがこの評価ではあまりにも危険すぎます。
評価を変更していただけるよう早速申請しておきます。
このURLで使われているドメインは、サブドメインを含め”xslaksalfj.mrbonus.com”
このドメインにまつわる情報を取得してみます。
申請登録は、無料ダイナミックDNSで有名なアメリカの「ChangeIP」が行っています。
ということは、このサイトの運営者は自身が持つドメインではなく、姑息にも無料で借りた
ドメインを使って詐欺サイトを立ち上げたようですね。
このドメインを割当てているIPアドレスは”194.124.216.11”
このIPアドレスを元にその割り当て地を確認してみます。
代表地点としてピンが立てられのは、オランダの首都アムステルダムにあるユダヤ歴史資料館付近。
この辺りに設置されたウェブサーバーに、リンク先の詐欺サイトは構築されているようです。
トレンドマイクロの「サイトセーフティーセンター」での危険度評価からすると、詐欺サイトは
どこからもブロックされることなく無防備な状態で放置されていると思われますが、安全な方法で
注意しながら訪れてみました。
なんだ、既にGoogleでは危険なサイトとして周知されているようで、真っ赤な画面で注意喚起されました。
構わず先に進んでみると「404 Not Found」と表示されました。
どうやら詐欺犯はミッションを達成したのか、それとも当局を恐れたのか既に雲隠れしたようです。
詐欺サイトは、捜査の手が及ぶのを恐れ、えてして時々姿をくらまします。
こうすることで少しでも捜査の手から逃れようとしているのです。
先程ご覧いただいた通り、IPアドレスとドメインは紐づけされたままなのでサイトは簡単に
復活することが可能な状態です。
まとめ
詐欺サイトの旬は短くて、見に行くのがちょっと遅かったようです。
恐ろしいことに、今、こうしている間にも大量のフィッシング詐欺メールが発信されたくさんの
フィッシング詐欺サイトが作られ消滅していきます。
次から次に新種のメールが届くので常に意識して被害に遭わないようご注意ください。
いつものことながら、誤字・脱字・意味不明がありましたらお許しください(^-^; |