規制日と回答期限が同じ日とは…
このところ「三井住友信託銀行」系の詐欺メールを何度か取り上げていますが、今日も同じような
メールがたくさん届いています。
あまりの多さに「三井住友信託銀行」さんのサイトでもいよいよ注意喚起が発せられたようですね。
今回取り上げるのはこのメール。
唐突に取引規制がされたとの連絡です。
私、「三井住友信託銀行」に口座持っていないのにね…(;’∀’)
この規制が発せられたのが3月24日で、回答制限日も同日って…
そんなに焦らんでもいいのに(笑)
では、このメールを解体し詳しく見ていきましょう!
まずはプロパティーから見ていきましょう。
件名は
「[spam] 【三井住友信託銀行】取引を規制いたしました。」
ご承知の通り件名欄は、差出人が書き込むものですからいくらでも適当に記入できます。
この件名には”[spam]”とスタンプが付けられているので迷惑メールの類です。
このスタンプはスパムスタンプと呼ばれるサーバーからの注意喚起で、これが付いている
ものは全て迷惑メールと判断されたもの。
うちのサーバーの場合注意喚起だけですが、例えばGoogleのGmailサーバーの場合だと
否応なしに「迷惑メール」フォルダーに勝手に保存されるような仕組みもあります。
差出人は
「"三井住友信託銀行" <sdfgaypltw@direct.smtb.jp>」
皆さんはご存じでしょうか?
この差出人欄は完全に自己申告制で、誰でもウソが書けるフィールド。
ですから、ここは信用できない部分です。
ちょっと学習したようですね、先日まではGmailや別のドメインメールでしたが
今回はちゃんと「三井住友信託銀行」さんのドメインメールに変えてきましたね。(笑)
でも、件名に”[spam]”とあるのでこのメールは詐欺メール故に偽装の疑いがあります。
その辺りを含め、次の項で見ていくことにしましょう。
差出したのはカゴヤジャパンに関わりのある人?
では、このメールがフィッシング詐欺メールであることを立証していきましょうか!
まず、このメールのヘッダーソースを確認し調査してみます。
私が愛用のThunderbirdの場合、「表示(V)」⇒「メッセージのソース(O)」と進むと見られますよ。
ソースから抜き出した「フィールド御三家」がこちらです。
Return-Path: 「sdfgaypltw@direct.smtb.jp」
”Return-Path”は、このメールが何らかの障害で不達に終わった際に返信される
メールアドレスです。
一般的には、差出人と同じメールアドレスが記載されますが、ここは誰でも簡単に
偽装可能なフィールドなのであてにできません。
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Message-ID:「8A93B7F4026DAE172A8F4B52835E1E00@direct.smtb.jp」
”Message-ID”は、そのメールに与えられた固有の識別因子。
このIDは世の中に1つしかありません。
”@”以降は、メールアドレスと同じドメインか若しくはデバイス名が入ります。
ここも偽装可能で鵜呑みにはできません。
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Received:「from direct.smtb.jp (v133-18-225-31.vir.kagoya.net [133.18.225.31])」
ん?”kagoya.net”
これ、大手レンタルサーバの「カゴヤジャパン」さんのドメインですね。
ということは、差出人はカゴヤさんのサーバーを介してこのメールを送ったって
ことでしょうか。
”Received”は、このメールが通過してきた各受送信サーバーが自身で刻む
自局のホスト情報です。
ここに掲げた”Received”はこのメールが最初に通過したサーバーのもの。
すなわち、差出人が使った送信サーバーの自局情報。
記載されている末尾の数字は、そのサーバーのIPアドレスになります。
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この差出人は、あくまで自分のドメインは”smtb.jp”と言い張るようですね。
ならばその鼻っ柱をへし折ってやりましょうか!
先に書いた通り”Received”に記載のIPアドレスは差出人が利用したメールサーバーのもの。
このIPアドレスが差出人のメールアドレスのドメインに割当てられているものと一致すれば
メールアドレスの偽装は無かったことが証明されますが、そうでない場合、特定電子メール法
違反となり処罰の対象とされます。
※特定電子メール法違反
・個人の場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金
・法人の場合、行為者を罰する
では、メールアドレスにあったドメイン”smtb.jp”について調べてみます。
当然ちゃんと「三井住友信託銀行」さんの持ち物です。
そして”23.62.106.120”がこのドメインを割当てているIPアドレス。
本来同じでなけれならない”Received”のIPアドレスが”133.18.225.31”ですから全く異なります。
これでアドレス偽装は確定。
この方にはしっかり罪を償っていただかなければなりませんね!
因みにこのIPアドレスが”133.18.225.31”について調べるとこのような情報を得ることができました。
やはり何らかの形でカゴヤさんに関係のある方のようです。
この「京都高度技術研究所」ってところ、ちょいちょい詐欺メール調査で出くわしますね。
「フィールド御三家」の中で一番重要なのは”Received”
これを紐解けば差出人の素性が見えてきます。
”Received”のIPアドレス”133.18.225.31”は、差出人が利用しているメールサーバーのもの。
このIPアドレスを元にその割り当て地を確認してみます。
IPアドレスを元にしているので、かなりアバウトな位置であることをご承知いただいた上でご覧ください。
代表地点としてピンが立てられたのは、詐欺メールの国内一大生産地の「JR神田駅」付近です。
このメールは、この付近に設置されたメールサーバーを介して私に届けられたようです。
詐欺サイトは無防備に放置
では引き続き本文。
三井住友信託ダイレクトをご利用いただき、誠にありがとうございます。
お客さまのお取引を規制させていただきましたので、お知らせします。
規制内容は下記をご確認ください。
取引規制日時:2023/03/24
取引規制内容
・出金規制
・入金規制
規制解除するには下記へアクセスし、お手続きしてください。
> 規制解除 h**ps://www.dlrect-smtb.jp.ap1.ib.gtjunancs.com
※取引制限について 2023/03/24 までにご回答いただけない場合、
お客様のご回答に著しい不足がある場合、 もしくは
ご回答から当社規約第8条(禁止事項)に抵触すると判断した場合、
やむを得ず、お客様の口座を解約させていただくことがございますので、あらかじめご了承ください。 |
何と書こうが詐欺メール、全てウソの塊です。
このメールは、フィッシング詐欺メールなので詐欺サイトへのリンクが付けられています。
そのリンクは、本文内に直書きされていて、リンク先のURLとトレンドマイクロの
「サイトセーフティーセンター」での危険度評価がこちらです。
おっと、まだ「未評価」のようです。
このようなフィッシング詐欺サイトがこの評価ではあまりにも危険すぎます。
評価を変更していただけるよう早速申請しておきます。
このURLで使われているドメインは、サブドメインを含め”www.dlrect-smtb.jp.ap1.ib.gtjunancs.com”
このドメインにまつわる情報を取得してみます。
申請登録は、東京とされていますが、それ以外の詳しい情報はプライバシー保護でマスクされています。
このドメインを割当てているIPアドレスは”107.150.4.52”
このIPアドレスを元にその割り当て地を確認してみます。
こちらもIPアドレスを元にしているので、アバウトな位置であることをご承知いただいた上で
ご覧ください。
代表地点としてピンが立てられのは、詐欺サイトのメッカ、ロサンゼルス近郊のリトルトーキョーに程近い場所。
フィッシング詐欺サイトは、この付近に密集しています!
この辺りに設置されたウェブサーバーに、リンク先の詐欺サイトは構築されているようです。
トレンドマイクロの「サイトセーフティーセンター」での危険度評価からすると、リンク先の詐欺サイトは
どこからもブロックされることなく無防備な状態で放置されているものと思われます。
安全な方法でリンク先の詐欺サイトに調査目的で訪れてみました。
開いたのは、先日来ご紹介しているサイトと同じ「三井住友信託銀行」へのログイン画面です。
店番、口座番号、会員番号、パスワードをここで盗み取ろうとしていますね。
まとめ
「三井住友信託銀行」を騙る詐欺メール、しばらく続きそうですね。
こちらのユーザーの方は、くれぐれもご用心ください。
恐ろしいことに、今、こうしている間にも大量のフィッシング詐欺メールが発信されたくさんの
フィッシング詐欺サイトが作られ消滅していきます。
次から次に新種のメールが届くので常に意識して被害に遭わないようご注意ください。
いつものことながら、誤字・脱字・意味不明がありましたらお許しください(^-^; |