どうしてNHKが私のアドレスを?
最近またNHKを騙った詐欺メールが再流行しているようですね。
今日もこのように、NHK+のアップグレードを促す詐欺メールが届いています。
書いてある内容はいつも同じなんですけどね。
それにしても、NHKに縁も所縁も無いのに何で私のメールアドレスを知っているんでしょうかね?(笑)
では、このメールを解体し詳しく見ていきましょう!
まずはプロパティーから見ていきましょう。
件名は
「[spam] 〔NHK放送受信料〕24時間以内にご確認いただければ、12か月間NHKプラスが無料でお楽しみいただけます」
ご承知の通り件名欄は、差出人が書き込むものですからいくらでも適当に記入できます。
『〔NHK放送受信料〕』なんて書かれていますが、メールの内容に受信料なんて全く関係ありませんよね。
この件名には”[spam]”とスタンプが付けられているので迷惑メールの類です。
このスタンプはスパムスタンプと呼ばれるサーバーからの注意喚起で、これが付いている
ものは全て迷惑メールと判断されたもの。
うちのサーバーの場合注意喚起だけですが、例えばGoogleのGmailサーバーの場合だと
否応なしに「迷惑メール」フォルダーに勝手に保存されるような仕組みもあります。
差出人は
「"NHK放送受信料" <nhkplus-info@mail.nhk-cs.jp>」
皆さんはご存じでしょうか?
この差出人欄は完全に自己申告制で、誰でもウソが書けるフィールド。
ですから、ここは信用できない部分です。
”mail.nhk-cs.jp”は確かに「NHK」が取得済みのドメインですが、件名に”[spam]”とあるので
このメールは詐欺メール故に偽装の疑いがあります。
その辺りを含め、次の項で見ていくことにしましょう。
NHKさんがアメリカのサーバーからメールをね…
では、このメールがフィッシング詐欺メールであることを立証していきましょうか!
まず、このメールのヘッダーソースを確認し調査してみます。
私が愛用のThunderbirdの場合、「表示(V)」⇒「メッセージのソース(O)」と進むと見られますよ。
ソースから抜き出した「フィールド御三家」がこちらです。
Return-Path: 「nhkplus-info@mail.nhk-cs.jp」
”Return-Path”は、このメールが何らかの障害で不達に終わった際に返信される
メールアドレスです。
一般的には、差出人と同じメールアドレスが記載されますが、ここは誰でも簡単に
偽装可能なフィールドなのであてにできません。
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Message-ID:「C66A088EEB9B50B75F804B9E4EAD7638@svckmkg」
”Message-ID”は、そのメールに与えられた固有の識別因子。
このIDは世の中に1つしかありません。
”@”以降は、メールアドレスと同じドメインか若しくはデバイス名が入ります。
ここも偽装可能で鵜呑みにはできません。
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Received:「from svckmkg (unknown [172.81.104.37])」
”Received”は、このメールが通過してきた各受送信サーバーが自身で刻む
自局のホスト情報です。
ここに掲げた”Received”はこのメールが最初に通過したサーバーのもの。
すなわち、差出人が使った送信サーバーの自局情報。
記載されている末尾の数字は、そのサーバーのIPアドレスになります。
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この差出人は、あくまで自分のドメインは”nhk-cs.jp”と言い張るようですね。
ならばその鼻っ柱をへし折ってやりましょうか!
先に書いた通り”Received”に記載のIPアドレスは差出人が利用したメールサーバーのもの。
このIPアドレスが差出人のメールアドレスのドメインに割当てられているものと一致すれば
メールアドレスの偽装は無かったことが証明されますが、そうでない場合、特定電子メール法
違反となり処罰の対象とされます。
※特定電子メール法違反
・個人の場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金
・法人の場合、行為者を罰する
では、メールアドレスにあったドメイン”nhk-cs.jp”について調べてみます。
当然ちゃんと「NHK」さんの持ち物です。
そして”203.136.136.170”がこのドメインを割当てているIPアドレス。
本来同じでなけれならない”Received”のIPアドレスが”172.81.104.37”ですから全く異なります。
これでアドレス偽装は確定。
この方にはしっかり罪を償っていただかなければなりませんね!
「フィールド御三家」の中で一番重要なのは”Received”
これを紐解けば差出人の素性が見えてきます。
”Received”のIPアドレス”172.81.104.37”は、差出人が利用しているメールサーバーのもの。
このIPアドレスを元にその割り当て地を確認してみます。
IPアドレスを元にしているので、かなりアバウトな位置であることをご承知いただいた上でご覧ください。
へぇ~っ、NHKさんがアメリカのサーバーからメールをね…
代表地点としてピンが立てられたのは、カリフォルニア州のフリーモント付近です。
このメールは、この付近に設置されたメールサーバーを介して私に届けられたようです。
リンク偽装
では引き続き本文。
**********************************************************************
NHKのサービスをご利用いただきありがとうございます、.
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NHKプラスのご利用手続きありがとうございます.
以下のURLをクリックし、必要な項目の入力をお願いいたします.
h**ps://pid.nhk.or.jp/account/regist/id/input1.do?receiptid=eac2a3dcb5b99b40c4ed1ed2ebb96af2
==========
本メールは重要なお知らせのため、配信停止はできません。
本メールは配信専用のアドレスからお送りしております。
本メールに返信いただいても、お問合せにお答えすることができません。
==========
日本放送協会
〒150-8001 東京都渋谷区神南2-2-1
========== |
句読点が嫌に気になりますね。(笑)
「。」のほとんどが「.」になっていますが、これは何を意味するのでしょうか?
それに途中「16px;="" font-family:="" arial?="">」なんてタグも露出していますし。
このメールは、フィッシング詐欺メールなので詐欺サイトへのリンクが付けられています。
そのリンクは、本文内に直書きれていますが、このURLはウソです。
実際のリンク先は、これと全く異なるもので、そのURLとトレンドマイクロの
「サイトセーフティーセンター」での危険度評価がこちらです。
このように既に危険サイトと認識されており、ブラックリストに登録済み。
そのカテゴリは「フィッシング」と書かれています。
おっと、まだ「未評価」のようです。
このようなフィッシング詐欺サイトがこの評価ではあまりにも危険すぎます。
評価を変更していただけるよう早速申請しておきます。
このURLで使われているドメインは、サブドメインを含め”www.nhk-or.jp.signup.tianwangmo.cn”
このドメインにまつわる情報を取得してみます。
申請登録は、私には読むことのできない文字を含む漢字3文字の氏名の方。
このドメインを割当てているIPアドレスは”101.36.105.185”
このIPアドレスを元にその割り当て地を確認してみます。
こちらもIPアドレスを元にしているので、アバウトな位置であることをご承知いただいた上で
ご覧ください。
代表地点としてピンが立てられのは、詐欺サイトの国内メッカ、東京都杉並区和泉付近。
フィッシング詐欺サイトは、この付近に密集しています!
この辺りに設置されたウェブサーバーに、リンク先の詐欺サイトは構築されているようです。
トレンドマイクロの「サイトセーフティーセンター」での危険度評価からすると
恐らくどこからもブロックされることなく無防備な状態で放置されているであろう詐欺サイトへ
安全な方法で訪れてみました。
本物のNHK+への登録サイトを丸ごとコピーされているので、恐ろしく巧妙に作られていますが
このサイトは真っ赤な偽物。
絶対にログイン登録したりしないでください!
まとめ
詐欺メールには流行り廃りがあります。
今、NHK+に関する詐欺メールが流行の兆しと言った感じでしょうか。
皆さんも十分お気を付けください。
恐ろしいことに、今、こうしている間にも大量のフィッシング詐欺メールが発信されたくさんの
フィッシング詐欺サイトが作られ消滅していきます。
次から次に新種のメールが届くので常に意識して被害に遭わないようご注意ください。
いつものことながら、誤字・脱字・意味不明がありましたらお許しください(^-^; |