「本人確認」と書かれたメールはろくなもんじゃない
いや~、先週末の大雪には驚きました。
あまり雪が積もることのない地域なので交通網は大混乱。
何を隠そう仕事の予定だった私も出社することができず、お陰で大掃除がはかどってしまいました(笑)
さて、今回は久々に三菱UFJ銀行にを騙るフィッシング詐欺メールのご紹介です。
そのメールがこちら。
詐欺メールにも流行り廃りがあるようで、ここ最近はAmazonを騙るものが急増し、同じものが
日に何通も届くのが日常となっていましたので、三菱UFJという差出人名がとても新鮮に見え
思わずブログネタにしてしまいました。(笑)
それにしてもユーザーにとってこのような大切なメールの署名が、会社名だけってのもおかしなもので
これじゃビジネスメールとしてはマナー違反で失格です。
では、このメールを解体し詳しく見ていきましょう!
まずはプロパティーから見ていきましょう。
件名は
「[spam] 【重要】三菱UFJ銀行本人確認のお知らせ」
ご承知の通り件名欄は、差出人が書き込むものですからいくらでも適当に記入できます。
まあ「本人確認」と件名に書かれたメールでろくなメールだったことはありません!(笑)
この件名には”[spam]”とスタンプが付けられているので迷惑メールの類です。
このスタンプはスパムスタンプと呼ばれるサーバーからの注意喚起で、これが付いている
ものは全て迷惑メールと判断されたもの。
うちのサーバーの場合注意喚起だけですが、例えばGoogleのGmailサーバーの場合だと
否応なしに「迷惑メール」フォルダーに勝手に保存されるような仕組みもあります。
差出人は
「"三菱UFJ銀行" <info@bk.mufg.jp>」
皆さんはご存じでしょうか?
この差出人欄は完全に自己申告制で、誰でもウソが書けるフィールド。
ですから、ここは信用できない部分です。
ん~、”mufg.jp”は確かに「三菱UFJ銀行」のドメインですが、件名に”[spam]”とあるので
このメールは詐欺メール故に偽装の疑いがあります。
その辺りを含め、次の項で見ていくことにしましょう。
嘘を見抜く
では、このメールがフィッシング詐欺メールであることを立証していきましょうか!
まず、このメールのヘッダーソースを確認し調査してみます。
私が愛用のThunderbirdの場合、「表示(V)」⇒「メッセージのソース(O)」と進むと見られますよ。
ソースから抜き出した「フィールド御三家」がこちらです。
Return-Path: 「info@rdjbpua.cn」
”Return-Path”は、このメールが何らかの障害で不達に終わった際に返信される
メールアドレスです。
一般的には、差出人と同じメールアドレスが記載されますが、ここに記載されているのは
”rdjbpua.cn”なんて”mufg.jp”とは全く異なるもの。
これで偽装の容疑が高まりましたね!
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Message-ID:「20221225170111677602@rdjbpua.cn」
”Message-ID”は、そのメールに与えられた固有の識別因子。
このIDは世の中に1つしかありません。
”@”以降は、メールアドレスと同じドメインか若しくはデバイス名が入ります。
ここも”rdjbpua.cn”なんて”mufg.jp”とは全く異なるドメインです。
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Received:「from rdjbpua.cn (rdjbpua.cn [106.75.239.248])」
”Received”は、このメールが通過してきた各受送信サーバーが自身で刻む
自局のホスト情報です。
ここに掲げた”Received”はこのメールが最初に通過したサーバーのもの。
すなわち、差出人が使った送信サーバーの自局情報。
記載されている末尾の数字は、そのサーバーのIPアドレスになります。
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どうやらこの差出人は、メールアドレスを偽ってこのメールを送ってきた形跡があります。
先に書いた通り”Received”に記載のIPアドレスは差出人が利用したメールサーバーのもの。
このIPアドレスが差出人のメールアドレスのドメインに割当てられているものと一致すれば
メールアドレスの偽装は無かったことが証明されますが、そうでない場合、特定電子メール法
違反となり処罰の対象とされます。
※特定電子メール法違反
・個人の場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金
・法人の場合、行為者を罰する
では、メールアドレスにあったドメイン”bk.mufg.jp”について調べてみます。
当然ちゃんと「三菱UFJフィナンシャル・グループ」さんの持ち物です。
そして”203.178.124.177”がこのドメインを割当てているIPアドレス。
本来同じでなけれならない”Received”のIPアドレスが”106.75.239.248”ですから全く異なります。
これでアドレス偽装は確定。
この方にはしっかり罪を償っていただかなければなりませんね!
「フィールド御三家」の中で一番重要なのは”Received”
これを紐解けば差出人の素性が見えてきます。
”Received”のIPアドレス”106.75.239.248”は、差出人が利用しているメールサーバーのもの。
このIPアドレスについてどのようなドメインが割り当てられているか確認してみます。
やはり思った通り。
このIPアドレスには”Return-Path”や”Message-ID”に記載のあったドメインが割り当てられている
ようなので、この差出人の本当のメールアドレスは”info@rdjbpua.cn”で”info@bk.mufg.jp”では
ありませんね!
では、このIPアドレスを元にその割り当て地を確認してみます。
IPアドレスを元にしているので、かなりアバウトな位置であることをご承知いただいた上でご覧ください。
ピンが立てられたのは、フィッシング詐欺メールの一大生産地の北京にある「天安門広場東側」付近です。
このメールは、この付近に設置されたメールサーバーを介して私に届けられたようです。
どうしても中国に結び付く
では引き続き本文。
三菱UFJダイレクトをご利用いただき、誠にありがとうございま す。
口座の資金安全を確保するために三菱UFJ銀行の口座が一時利用停止されました。
ご利用環境が本人の確認してから、下記のURL を再開手続きの設定してださい。
続けるにはこちらをクリック
※普段と異なる環境からのアクセスと判定された場合など、ご本人 からのアクセスであることを確認するために本メールをお送りしています。 |
このメールは、フィッシング詐欺メールなので詐欺サイトへのリンクが付けられています。
そのリンクは「続けるにはこちらをクリック」って書かれたところに張られていて
リンク先のURLとトレンドマイクロの「サイトセーフティーセンター」での危険度評価がこちらです。
このように既に危険サイトと認識されており、ブラックリストに登録済み。
そのカテゴリは「フィッシング」と書かれています。
このURLで使われているドメインは、サブドメインを含め”bk.mufg.erwaasd.com”
このドメインにまつわる情報を取得してみます。
”Registrar URL: http://www.alibabacloud.com”と書かれているので、このドメインを
インターネットレジストリに登録を行った業者は、中国の「アリババクラウド」
こういったメールはどうしても中国に結び付くのは気のせいでしょうか?
そしてこのドメインを割当てているIPアドレスは”155.94.158.65”
このIPアドレスを元にその割り当て地を確認してみます。
こちらもIPアドレスを元にしているので、アバウトな位置であることをご承知いただいた上で
ご覧ください。
ピンが立てられのは、詐欺サイトのメッカ、ロサンゼルス近郊のリトルトーキョーに程近い場所。
フィッシング詐欺サイトは、この付近に密集しています!
この辺りに設置されたウェブサーバーに、リンク先の詐欺サイトは構築されているようです。
危険と言われると見に行きたくなるのが人情と言うもの。
安全な方法でリンク先の詐欺サイトに調査目的で訪れてみました。
当然のように開いたのは、「MUFG 三菱UFJ銀行」と書かれたログインページ。
もちろん偽サイトですから絶対にログインしないでください!
まとめ
久しぶりの三菱UFJ銀行を騙る詐欺メールのご紹介でしたが、今回のはメールサーバーが
天安門広場付近で詐欺サイトのウェブサーバーがロサンゼルス近郊と、詐欺メールの王道を行くものでした。
きっとそれなりの大きな組織があるのでしょうね。
恐ろしいことに、今、こうしている間にも大量のフィッシング詐欺メールが発信されたくさんの
フィッシング詐欺サイトが作られ消滅していきます。
次から次に新種のメールが届くので常に意識して被害に遭わないようご注意ください。
いつものことながら、誤字・脱字・意味不明がありましたらお許しください(^-^; |