請求額案内が洋菓子屋さんのメールアドレスで?! 今回は久しぶりに「American Expressカード」を騙るフィッシング詐欺メールのご紹介です。 長文メールでしたのでキャプチャー画像は2つに分けて掲載させていただきます。 まず、前半のメールがこちらです。  そしてこちらが後半  先に言っておきますが、私、「American Expressカード」のユーザーではありません。 このメール「American Express」からのはずが、いつの間にかお問い合わせ先や署名が JR西日本が運営する「JRおでかけネット」にすり替わっています。。。(;^_^A なぁ~んか最近このようないい加減な詐欺メール多いような気がします… でも「三菱UFJニコス株式会社は、西日本旅客鉄道株式会社の業務を代行」ってのは どうやら本当らしいです。 では、このメールを解体し詳しく見ていきましょう! まずはプロパティーから見ていきましょう。 件名は 「[spam] 【American Expressカード】ご請求額確定のご案内[2022年11月請求]」 ご承知の通り件名欄は、差出人が書き込むものですからいくらでも適当に記入できます。 この件名には”[spam]”とスタンプが付けられているので迷惑メールの類です。 このスタンプはスパムスタンプと呼ばれるサーバーからの注意喚起で、これが付いている ものは全て迷惑メールと判断されたもの。 うちのサーバーの場合注意喚起だけですが、例えばGoogleのGmailサーバーの場合だと 否応なしに「迷惑メール」フォルダーに勝手に保存されるような仕組みもあります。 差出人は 「”American Express” <wvnlvyiss@cafe-ginza-miyukikan.com>」 皆さんはご存じでしょうか? この差出人欄は完全に自己申告制で、誰でもウソが書けるフィールド。 ですから、ここは信用できない部分です。 ”cafe-ginza-miyukikan.com”って東京銀座で自家製ケーキや焼き菓子を提供する 「銀座みゆき館」さんのもの。 なんで「American Expressカード」が洋菓子屋さんのメールアドレスで請求金額確定の 案内メールを送るの?? 余りにもおかしすぎるでしょ…(笑) もちろんこのメールアドレスも偽装されていることでしょうね! その辺りは次項でじっくりと調べてみることにいたします。 利用されたメールサーバーはソウルに では、このメールがフィッシング詐欺メールであることを立証していきましょうか! まず、このメールのヘッダーソースを確認し調査してみます。 私が愛用のThunderbirdの場合、「表示(V)」⇒「メッセージのソース(O)」と進むと見られますよ。 ソースから抜き出した「フィールド御三家」がこちらです。 Return-Path: 「wvnlvyiss@cafe-ginza-miyukikan.com」 ”Return-Path”は、このメールが何らかの障害で不達に終わった際に返信される メールアドレスです。 一般的には、差出人と同じメールアドレスが記載されますが、ここは誰でも簡単に 偽装可能なフィールドなのであてにできません。 | Message-ID:「50206462557EA622FFCC5EB416D7DB18@cafe-ginza-miyukikan.com」 ”Message-ID”は、そのメールに与えられた固有の識別因子。 このIDは世の中に1つしかありません。 ”@”以降は、メールアドレスと同じドメインか若しくはデバイス名が入ります。 ここも偽装可能で鵜呑みにはできません。 | Received:「from cafe-ginza-miyukikan.com (unknown [103.138.83.200])」 ”Received”は、このメールが通過してきた各受送信サーバーが自身で刻む 自局のホスト情報です。 ここに掲げた”Received”はこのメールが最初に通過したサーバーのもの。 すなわち、差出人が使った送信サーバーの自局情報。 記載されている末尾の数字は、そのサーバーのIPアドレスになります。 | 先に書いた通り”Received”に記載のIPアドレスは差出人が利用したメールサーバーのもの。 このIPアドレスが差出人のメールアドレスのドメインに割当てられているものと一致すれば メールアドレスの偽装は無かったことが証明されますが、そうでない場合、特定電子メール法 違反となり処罰の対象とされます。 ※特定電子メール法違反 ・個人の場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金 ・法人の場合、行為者を罰する では、メールアドレスにあったドメイン”cafe-ginza-miyukikan.com”について調べてみます。  個人名できちんと申請登録されているドメインです。 そして”157.7.144.5”がこのドメインを割当てているIPアドレス。 本来同じでなけれならない”Received”のIPアドレスが”103.138.83.200”ですから全く異なります。 これでアドレス偽装は確定。 「銀座みゆき館」さんもある意味犠牲者だったんです。 この方にはしっかり罪を償っていただかなければなりませんね! 「フィールド御三家」の中で一番重要なのは”Received” これを紐解けば差出人の素性が見えてきます。 ”Received”のIPアドレス”103.138.83.200”は、差出人が利用しているメールサーバーのもの。 このIPアドレスを元にその割り当て地を確認してみます。  IPアドレスを元にしているので、かなりアバウトな位置であることをご承知いただいた上でご覧ください。 ピンが立てられたのは、隣国の首都ソウル付近です。 このメールは、この付近に設置されたメールサーバーを介して私に届けられたようです。 詐欺サイトもソウルに では引き続き本文のリンク先について。 このメールは、フィッシング詐欺メールなので詐欺サイトへのリンクが付けられています。 そのリンクは本文内に数か所直書きされていて、リンク先のURLがこちら。  このリンク先サイトのトレンドマイクロでの「サイトセーフティーセンター」評価がこちらです。  おっと、まだ「未評価」のようです。 このようなフィッシング詐欺サイトがこの評価ではあまりにも危険すぎます。 評価を変更していただけるよう早速申請しておきます。 このURLで使われているドメインは、サブドメインを含め”amex-so-net.wlwxds.com” このドメインを割当てているIPアドレスを取得してみます。  このドメインを割当てているIPアドレスは”115.144.69.83” このIPアドレスを元にその割り当て地を確認してみます。  こちらもIPアドレスを元にしているので、アバウトな位置であることをご承知いただいた上で ご覧ください。 ピンが立てられのは”Received”のIPアドレス”103.138.83.200”と全く同じソウル付近。 この辺りに設置されたウェブサーバーに、リンク先の詐欺サイトは構築されているようです。 危険と言われると見に行きたくなるのが人情と言うもの。 安全な方法でリンク先の詐欺サイトに調査目的で訪れてみました。 すると真っ赤な画面で真っ先にChromeがブロックしてきました。  気にせず先に足を踏み入れてみます。 すると開いたのは「American Expressカード」のトップページのクーロン。 もちろん偽サイトですから絶対にログインしないでください!  まとめ 差出人のメールアドレスはおかしいし、お問い合わせ先の電話番号も間違っていましたが 気が付かず騙されてしまう人もいるんでしょうね。(-_-;) 恐ろしいことに、今、こうしている間にも大量のフィッシング詐欺メールが発信されたくさんの フィッシング詐欺サイトが作られ消滅していきます。 次から次に新種のメールが届くので常に意識して被害に遭わないようご注意ください。 いつものことながら、誤字・脱字・意味不明がありましたらお許しください(^-^; |