無理やり「本人認証サービス」に登録させようとする
今年も残すところ1か月余りとなりましたね。
やり残したことが無いように残りの12月も日々精進しようと思います。
なんて、たるんでいる自分に気合入れたりしている今日この頃ですw
さて、今回もご多分に漏れずフィッシング詐欺メールのお話。
取り上げるのは「株式会社アプラス」に成りすまし、アプラスカード利用者は「本人認証サービス」が
必要だと無理やりに詐欺サイトに連れ込もうとするものです。
では、このメールを解体し詳しく見ていきましょう!
まずはプロパティーから見ていきましょう。
件名は
「[spam] [NETstation*APLUS]会員のお知らせ」
ご承知の通り件名欄は、差出人が書き込むものですからいくらでも適当に記入できます。
この件名には”[spam]”とスタンプが付けられているので迷惑メールの類です。
このスタンプはスパムスタンプと呼ばれるサーバーからの注意喚起で、これが付いている
ものは全て迷惑メールと判断されたもの。
うちのサーバーの場合注意喚起だけですが、例えばGoogleのGmailサーバーの場合だと
否応なしに「迷惑メール」フォルダーに勝手に保存されるような仕組みもあります。
差出人は
「netstation@aplus.co.jp」
皆さんはご存じでしょうか?
この差出人欄は完全に自己申告制で、誰でもウソが書けるフィールド。
ですから、ここは信用できない部分です。
上手く化けたつもりしょうか?…
”aplus.co.jp”は確かに「株式会社アプラス」のドメインですが、件名に”[spam]”とあるので
このメールは詐欺メール故に偽装の疑いがあります。
その辺りを含め、次の項で見ていくことにしましょう。
この方の本当のメアドが判明!
では、このメールがフィッシング詐欺メールであることを立証していきましょうか!
まず、このメールのヘッダーソースを確認し調査してみます。
私が愛用のThunderbirdの場合、「表示(V)」⇒「メッセージのソース(O)」と進むと見られますよ。
ソースから抜き出した「フィールド御三家」がこちらです。
Return-Path: 「aplus-update-account@cyepw.shop」
あらま…
メールアドレスのドメインが”aplus.co.jp”だったのにここでは”cyepw.shop”なんて
ドメインに切り替わっていますね。
”Return-Path”は、このメールが何らかの障害で不達に終わった際に返信される
メールアドレスです。
一般的には、差出人と同じメールアドレスが記載されるはずです。
なのにそれと異なるメールアドレスって事は…(;^_^A
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Message-ID:「20221125024321713707@cyepw.shop」
”Message-ID”は、そのメールに与えられた固有の識別因子。
このIDは世の中に1つしかありません。
”@”以降は、メールアドレスと同じドメインか若しくはデバイス名が入ります。
ここも偽装可能で鵜呑みにはできません。
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Received:「from cyepw.shop (cyepw.shop [106.75.181.4])」
”Received”は、このメールが通過してきた各受送信サーバーが自身で刻む
自局のホスト情報です。
ここに掲げた”Received”はこのメールが最初に通過したサーバーのもの。
すなわち、差出人が使った送信サーバーの自局情報。
記載されている末尾の数字は、そのサーバーのIPアドレスになります。
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どうやらこの差出人の本当のメールアドレスは”aplus-update-account@cyepw.shop”の
ようですね。
もうこの時点で差出人のメールアドレスの偽装は明らかですが、更に確信を深めるため
少しだけ調査をしてみます。
メールアドレスの@より後半はドメインと呼ばれる部分で、ネットワーク上の機器に割り当てられる
インターネット上の住所であるIPアドレスを分かりやすくするために文字を割り振ったもの。
このドメインを調べることで、その持ち主の割出しや割当てているIPアドレスを調べることで、
その利用地なども調べることが可能です。
先に書いた通り”Received”に記載のIPアドレスは差出人が利用したメールサーバーのもの。
このIPアドレスが差出人のメールアドレスのドメインに割当てられているものと一致すれば
メールアドレスの偽装は無かったことが証明されますが、そうでない場合、特定電子メール法
違反となり処罰の対象とされます。
※特定電子メール法違反
・個人の場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金
・法人の場合、行為者を罰する
では、メールアドレスにあったドメイン”cyepw.shop”について調べてみます。
これによると、このドメインの持ち主は、アリババクラウドに登録代行を依頼したようです。
”106.75.181.4”がこのドメインを割当てているIPアドレス。
”Received”のIPアドレスと全く同じですから、このドメインが差出人の利用するメールアドレスで
使われているもので間違いありません。
これでアドレス偽装は確定。
この方にはしっかり罪を償っていただかなければなりませんね!
「フィールド御三家」の中で一番重要なのは”Received”
これを紐解けば差出人の素性が見えてきます。
”Received”のIPアドレス”106.75.181.4”は、差出人が利用しているメールサーバーのもの。
このIPアドレスを元にその割り当て地を確認してみます。
IPアドレスを元にしているので、かなりアバウトな位置であることをご承知いただいた上でご覧ください。
ピンが立てられたのは、フィッシング詐欺メールの一大生産地の北京にある「天安門広場東側」付近です。
このメールは、この付近に設置されたメールサーバーを介して私に届けられたようです。
詐欺サイトは閉鎖中
では引き続き本文。
「本人認証サービス」受付のお知らせ
いつも会員専用ネットサービスをご利用いただき、誠にありがとうございます。
「本人認証サービス」のご登録が必須となります。※
「本人認証サービス」とはインターネット上でのお買い物をより安全に行うための追加認証サービスです。
対象商品
【NETstationAPLUS】(クレジットカード)
※本人認証サービスの反映には、処理の状況により最大60分程度かかります
会員専用ネットサービスログイン
h**ps://www.netation2-aplus.com/signup.php
上記 URLは24時間有効です。24時間以上経過した場合には、本登録のお手続きが
できません。 |
このメールは、フィッシング詐欺メールなので詐欺サイトへのリンクが付けられています。
そのリンクは、本文内に直書きされていて、リンク先のURLがこちらです。
このサイトの危険性をトレンドマイクロの「サイトセーフティーセンター」で確認してみます。
このように既に危険サイトと認識されており、ブラックリストに登録済み。
そのカテゴリは「詐欺サイト」と書かれています。
このURLで使われているドメインは、サブドメインを含め”www.netation2-aplus.com”
このドメインにまつわる情報を取得してみます。
申請者の住所は、京都とされていますね。
そしてこのドメインを割当てているIPアドレスは”96.62.102.130”
このIPアドレスを元にその割り当て地を確認してみます。
こちらもIPアドレスを元にしているので、アバウトな位置であることをご承知いただいた上で
ご覧ください。
ピンが立てられのは、テキサス州のダラス付近。
この辺りに設置されたウェブサーバーに、リンク先の詐欺サイトは構築されているようです。
危険と言われると見に行きたくなるのが人情と言うもの。
安全な方法でリンク先の詐欺サイトに調査目的で訪れてみました。
…残念ですが、既に閉鎖されていました。
詐欺サイトは、捜査の手が及ぶのを恐れ、えてして時々姿をくらまします。
こうすることで少しでも捜査の手から逃れようとしているのです。
先程ご覧いただいた通り、IPアドレスとドメインは紐づけされたままなのでサイトは簡単に
復活することが可能な状態です。
まとめ
最近三井住友カードの詐欺メールが不気味なほど息をひそめていますね。
詐欺メールには結構波が有るもので、またそのうち一気に放出されるものと想像されます。
奴らは次から次へと手を変え品を変え襲ってくるので注意が必要ですね。
恐ろしいことに、今、こうしている間にも大量のフィッシング詐欺メールが発信されたくさんの
フィッシング詐欺サイトが作られ消滅していきます。
次から次に新種のメールが届くので常に意識して被害に遭わないようご注意ください。
いつものことながら、誤字・脱字・意味不明がありましたらお許しください(^-^; |