メアドのアカウントがAmazonだったりして(笑) 「スルガ銀行」さんから、な~んか、どこかで見たような件名のメールが届きました。  この件名って、この時と同じですよね?(笑) 『詐欺メール』「[楽天e-NAVI]急ぎの業務がありますのでご注意ください。」と、来た件 だいたい、口座も開いていない「スルガ銀行」から私に対して急ぎの業務ってどうかと思うのですが… で、書かれている内容と言えば、そんなこととは全く関係の無い「マネー・ロンダリング」について。 最近、フィッシング詐欺メール界ではこのワードがトレンドのようです。 では、このメールを解体し詳しく見ていきましょう! まずはプロパティーから見ていきましょう。 件名は 「[spam] 【スルガ銀行|SURUGA bank】急ぎの業務がありますのでご注意ください。」 ご承知の通り件名欄は、差出人が書き込むものですからいくらでも適当に記入できます。 こんな件名にして誰かを騙せると思っているのでしょうか? それとも愉快犯の仕業? この件名には”[spam]”とスタンプが付けられているので迷惑メールの類です。 このスタンプはスパムスタンプと呼ばれるサーバーからの注意喚起で、これが付いている ものは全て迷惑メールと判断されたもの。 うちのサーバーの場合注意喚起だけですが、例えばGoogleのGmailサーバーの場合だと 否応なしに「迷惑メール」フォルダーに勝手に保存されるような仕組みもあります。 差出人は 「”スルガ銀行株式会社” <amazonz-acccount-updater@zhaofw13.top>」 皆さんはご存じでしょうか? この差出人欄は完全に自己申告制で、誰でもウソが書けるフィールド。 ですから、ここは信用できない部分です。 それにしても大胆にもAmazonっぽいアカウント名のメールアドレス使ってきましたね。(笑) それに「スルガ銀行」さんには、”surugabank.co.jp”って正規ドメインをお持ちです。 正規ドメインが有るのにそれ以外のこのようなでたらめなドメインを使ったメールアドレスで ユーザーさんにメールを送るなんて信用問題に関わる大きな問題です。 使用できないドメインのメールアドレス では、このメールがフィッシング詐欺メールであることを立証していきましょうか! まず、このメールのヘッダーソースを確認し調査してみます。 私が愛用のThunderbirdの場合、「表示(V)」⇒「メッセージのソース(O)」と進むと見られますよ。 ソースから抜き出した「フィールド御三家」がこちらです。 Return-Path: 「amazonz-acccount-updater@zhaofw13.top」 ”Return-Path”は、このメールが何らかの障害で不達に終わった際に返信される メールアドレスです。 一般的には、差出人と同じメールアドレスが記載されますが、ここは誰でも簡単に 偽装可能なフィールドなのであてにできません。 | Message-ID:「EF81FB83F23AB84059971B33B93C164E@nlgl」 ”Message-ID”は、そのメールに与えられた固有の識別因子。 このIDは世の中に1つしかありません。 ”@”以降は、メールアドレスと同じドメインか若しくはデバイス名が入ります。 ここも偽装可能で鵜呑みにはできません。 | Received:「from mail.zhaofw13.top (unknown [113.16.195.247])」 ”Received”は、このメールが通過してきた各受送信サーバーが自身で刻む 自局のホスト情報です。 ここに掲げた”Received”はこのメールが最初に通過したサーバーのもの。 すなわち、差出人が使った送信サーバーの自局情報。 記載されている末尾の数字は、そのサーバーのIPアドレスになります。 | この差出人は、あくまで自分のドメインは”zhaofw13.top”と言い張るようですね。 ならばその鼻っ柱をへし折ってやりましょうか! 先に書いた通り”Received”に記載のIPアドレスは差出人が利用したメールサーバーのもの。 このIPアドレスが差出人のメールアドレスのドメインに割当てられているものと一致すれば メールアドレスの偽装は無かったことが証明されますが、そうでない場合、特定電子メール法 違反となり処罰の対象とされます。 ※特定電子メール法違反 ・個人の場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金 ・法人の場合、行為者を罰する では、メールアドレスにあったドメイン”zhaofw13.top”について調べてみます。  「対応するIPアドレスがありません」と書かれているので、現在このドメインはどのIPアドレスにも 割り当てられていないようです。 IPアドレスに割当てられていないドメインは利用できませんからそのようなドメインを使った メールアドレスの利用もできません。 もしかして、空きドメインではないかと「お名前.com」さんで調べてみたところ、このドメインは 取得済みの物でした。  ということで、このアドレス偽装は確定。 この方にはしっかり罪を償っていただかなければなりませんね! 「フィールド御三家」の中で一番重要なのは”Received” これを紐解けば差出人の素性が見えてきます。 ”Received”のIPアドレス”113.16.195.247”は、差出人が利用しているメールサーバーのもの。 このIPアドレスを元にその割り当て地を確認してみます。  IPアドレスを元にしているので、かなりアバウトな位置であることをご承知いただいた上でご覧ください。 ピンが立てられたのは、中国の山奥にある広西チワン族自治区 来賓市付近です。 このメールは、この付近に設置されたメールサーバーを介して私に届けられたようです。 シカゴに設置されたサーバーで詐欺サイトを運営 では引き続き本文。 平素より、スルガ銀行をご利用いただきありがとうございます。 スルガ銀行では2019年6月より金融庁の「マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に 関するガイドライン」に基づき、お客さま情報やお取引の目的等を定期的に確認させて いただいております。 お客さまにはお手数をおかけいたしますが、何卒ご理解とご協力をお願い申しあげます。 ※なお、確認させていただく時期はお客さまごとに異なります。 ※2022年09月29日までに「▼ご本人確認」より、お取引の目的等のご確認をお願いいたします。 ▼ご本人確認 ※回答が完了しますと、通常どおりログイン後のお手続きが可能になります。 ※一定期間ご確認いただけない場合、口座取引を一部制限させていただきます。 【ご注意】 ・お客さま個別の事由で口座のお取引が制限されている場合、本件のお手続きを完了しても制限は 解除されません。 ・その他重要なお手続きのご案内が表示される場合があります。ご案内を確認後、回答画面が表示されます。 お客さまにはお手数をおかけいたしますが、何とぞご理解、ご協力のほどお願いいたします。 | 砂金のトレンド「マネー・ローンダリング」とは、日本語で言うと「資金洗浄」の事で 麻薬取引、脱税、粉飾決算などの犯罪によって得られた資金(汚れたお金)を、資金の出所を わからないように架空口座や他人名義口座などを利用して転々と移転することを言うようです。 とにかく難癖付けてリンクを押させたいのがフィッシング詐欺メールの目的。 このメールは、フィッシング詐欺メールなので詐欺サイトへのリンクが付けられています。 そのリンクは「▼ご本人確認」って書かれたところに張られていて、リンク先の URLがこちらです。  またしても「スルガ銀行」さんには全く関連性の無いドメインが使われています。 このサイトの危険性をトレンドマイクロの「サイトセーフティーセンター」で確認してみます。  おっと、まだ「未評価」のようです。 このようなフィッシング詐欺サイトがこの評価ではあまりにも危険すぎます。 評価を変更していただけるよう早速申請しておきます。 このURLで使われているドメインは、”wqpq34hlqd.shop” このドメインにまつわる情報を取得してみます。  申請者は、アメリカカリフォルニア州にあるドメイン登録代行業者の「Dynadot」 リンク先サイトの運営者は、ここにドメインの申請を依頼したようです。 このドメインを割当てているIPアドレスは”107.174.78.141” このIPアドレスを元にその割り当て地を確認してみます。  ピンが立てられのは、アメリカのシカゴ美術館」付近。 この辺りに設置されたウェブサーバーに、リンク先の詐欺サイトは構築されているようです。 どこにもブロックされることなく無防備に放置されているであろうリンク先の詐欺サイトに 調査目的で訪れてみました。 おっと! Googleでは既にお見通しのようで、Chromeが接続をブロックしてきました。  危険を承知で先に進んでみました。 すると表示されたのは「スルガ銀行」と書かれたネットバンキングへのログイン画面。 もちろん偽サイトですから絶対にログインしないでください!  もし間違ってログインしてしまった場合は、至急「緊急サポートセンター」連絡してください。 まとめ フィッシング詐欺メールは、いよいよ地方銀行にまで触手を伸ばし始めましたね。 今後もこれ以外の銀行にも手を広げることでしょう。 恐ろしいことに、今、こうしている間にも大量のフィッシング詐欺メールが発信されたくさんの フィッシング詐欺サイトが作られ消滅していきます。 次から次に新種のメールが届くので常に意識して被害に遭わないようご注意ください。 いつものことながら、誤字・脱字・意味不明がありましたらお許しください(^-^; |