Amazonからのメールなら宛名はこちらの氏名
「Аmazon お客様」から始まるこのメールは、フィッシング詐欺メールです。
Amazonからのメールなら宛名はこちらの氏名のはずですからね。
では、このメールを解体し詳しく見ていきましょう!
まずはプロパティーから見ていきましょう。
件名は
「[spam] 【重要なお知らせ】支払い方法を更新してください番号:79768170」
ご承知の通り件名欄は、差出人が書き込むものですからいくらでも適当に記入できます。
この件名には”[spam]”とスタンプが付けられているので迷惑メールの類です。
このスタンプはスパムスタンプと呼ばれるサーバーからの注意喚起で、これが付いている
ものは全て迷惑メールと判断されたもの。
うちのサーバーの場合注意喚起だけですが、例えばGoogleのGmailサーバーの場合だと
否応なしに「迷惑メール」フォルダーに勝手に保存されるような仕組みもあります。
差出人は
「"Amazon.co.jp" <member@Amazon.co.jp>」
皆さんはご存じでしょうか?
この差出人欄は完全に自己申告制で、誰でもウソが書けるフィールド。
ですから、ここは信用できない部分です。
上手く化けたつもりしょうか?…
”Amazon.co.jp”は確かに「Amazon」のドメインですが、件名に”[spam]”とあるので
このメールは詐欺メール故に偽装の疑いがあります。
それにドメインに大文字はありませんよ(笑)
その辺りを含め、次の項で見ていくことにしましょう。
差出人の利用ているプロバイダーは「interQ」
では、このメールがフィッシング詐欺メールであることを立証していきましょうか!
まず、このメールのヘッダーソースを確認し調査してみます。
私が愛用のThunderbirdの場合、「表示(V)」⇒「メッセージのソース(O)」と進むと見られますよ。
ソースから抜き出した「フィールド御三家」がこちらです。
Return-Path: 「www@160-251-81-173.localdomain」
”Return-Path”は、このメールが何らかの障害で不達に終わった際に返信される
メールアドレスです。
”.localdomain”なんてドメインはありませんから偽装されていますね。
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Message-ID:「20220824060140.E279B1B5888@160-251-81-173.localdomain」
”Message-ID”は、そのメールに与えられた固有の識別因子。
このIDは世の中に1つしかありません。
”@”以降は、メールアドレスと同じドメインか若しくはデバイス名が入ります。
ここも偽装可能で鵜呑みにはできません。
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Received:「from 160-251-81-173.localdomain (v160-251-81-173.7yz3.static.cnode.io [160.251.81.173])」
”Received”は、このメールが通過してきた各受送信サーバーが自身で刻む
自局のホスト情報です。
ここに掲げた”Received”はこのメールが最初に通過したサーバーのもの。
すなわち、差出人が使った送信サーバーの自局情報。
記載されている末尾の数字は、そのサーバーのIPアドレスになります。
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先に書いた通り”Received”に記載のIPアドレスは差出人が利用したメールサーバーのもの。
このIPアドレスが差出人のメールアドレスのドメインに割当てられているものと一致すれば
メールアドレスの偽装は無かったことが証明されますが、そうでない場合、特定電子メール法
違反となり処罰の対象とされます。
※特定電子メール法違反
・個人の場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金
・法人の場合、行為者を罰する
では、メールアドレスにあったドメイン”Amazon.co.jp”について調べてみます。
当然ちゃんと「Amazon」さんの持ち物です。
そして”52.119.161.5”がこのドメインを割当てているIPアドレス。
本来同じでなけれならない”Received”のIPアドレスが”160.251.81.173”ですから全く異なります。
これでアドレス偽装は確定。
この方にはしっかり罪を償っていただかなければなりませんね!
「フィールド御三家」の中で一番重要なのは”Received”
これを紐解けば差出人の素性が見えてきます。
”Received”のIPアドレス”160.251.81.173”は、差出人が利用しているメールサーバーのもの。
このIPアドレスを元にその割り当て地を確認してみます。
IPアドレスを元にしているので、かなりアバウトな位置であることをご承知いただいた上でご覧ください。
ピンが立てられたのは、東京の「JR神田駅」付近です。
このメールは、この付近に設置されたメールサーバーを介して私に届けられたようです。
左の欄をよく見ると、この差出人の利用ているプロバイダーは「interQ」であることが分かりますね。
タグが露出
では引き続き本文。
Аmazon お客様 [RECEIVER_ADDRESS]
Amazonプライムをご利用頂きありがとうございます。お客様のAmazonプライム会員資格は、
%{CURRENT_DATE}に更新を迎えます.
お客様のアカウントを維持するため Аmazon アカウントの 情報を確認する必要があります。
下からアカウントをログインし、情報を更新してください。
ログイン:https://www.amazon.co.jp
なお、24時間以内にご確認がない場合、誠に申し訳ございません、お客様の安全の為、
アカウントの利用制限をさせていただきますので、予めご了承ください。 |
「Amazon」と書かれた文字の2か所で”A”だけ全角になっています。
これは、フィッシング詐欺メールあるあるで、アルファベットが全角で書かれていることが多いです。
これはメールの本文を単純にコピペしたのですが、「Аmazon お客様」の右側に[RECEIVER_ADDRESS]
なんてタグが隠れていました。
この[RECEIVER_ADDRESS]は、こちらのメールアドレスを表示させるタグのようですが、何らかの
ミスで表示されなかったのでしょうね。
それに「%{CURRENT_DATE}」も同じで、このタグは現在の日付を表示させるものです。
これも何らなのエラーでタグがそのまま表示されてしまったものと思われます。
このメールは、フィッシング詐欺メールなので詐欺サイトへのリンクが付けられています。
そのリンクは「ログイン:https://www.amazon.co.jp」って書かれたところに張られていて、
リンク先のURLがこちらです。
このサイトの危険性をトレンドマイクロの「サイトセーフティーセンター」で確認してみます。
えっ、まさかの安全宣言?
これは見逃すことは到底できません。
このようなフィッシング詐欺サイトがこの評価ではあまりにも危険すぎます。
評価を変更していただけるよう早速申請しておきます。
このURLで使われているドメインは、サブドメインを含め”doctor.millreefcanecorso.com”
このドメインにまつわる情報を取得してみます。
申請者は、アメリカアリゾナ州にある「Domains By Proxy, LLC」と言うドメイン登録代行会社。
このドメインを割当てているIPアドレスは”34.146.206.143”
このIPアドレスを元にその割り当て地を確認してみます。
住所とピンの位置にずれがありますが、ピンが立てられのは「東京都杉並区和泉」付近。
この辺りに設置されたウェブサーバーに、リンク先の詐欺サイトは構築されているようです。
危険と言われると見に行きたくなるのが人情と言うもの。
安全な方法でリンク先の詐欺サイトに調査目的で訪れてみましたが、開いたのはこのページでした。
「localhost」とは、自局の事で簡単に言えば今あなたがこのページを見ているスマホやPCの事。
そんなところにウェブサイトなんてありませんからこんなエラーになるわけです。
詐欺サイトは、捜査の手が及ぶのを恐れ、えてして時々姿をくらまします。
こうすることで少しでも捜査の手から逃れようとしているのです。
先程ご覧いただいた通り、IPアドレスとドメインは紐づけされたままなのでサイトは簡単に
復活することが可能な状態です。
まとめ
恐ろしいことに、今、こうしている間にも大量のフィッシング詐欺メールが発信されたくさんの
フィッシング詐欺サイトが作られ消滅していきます。
次から次に新種のメールが届くので常に意識して被害に遭わないようご注意ください。
いつものことながら、誤字・脱字・意味不明がありましたらお許しください(^-^; |