中国語フォントを利用したメールアメリカンエキスプレスらしからぬフォントが使われたメールが届きました。  余りにも怪しげなフォントなのでWORDに貼り付けてフォントの招待を調べてみると。  このフォントは、「Yahei」(微軟雅黒)と呼ばれる「簡体字中国語フォント」 ということは、差出したのは…(;^_^A 書いてある内容は、フィッシング詐欺メールの常套手段である第三者不正利用を疑うもの。 では、このメールを解体し詳しく見ていきましょう! まずはプロパティーから見ていきましょう。 件名は 「[spam] 【American Express】サービスの緊急連絡、情報を確認してください。」 ご承知の通り件名欄は、差出人が書き込むものですからいくらでも適当に記入できます。 この件名には”[spam]”とスタンプが付けられているので迷惑メールの類です。 このスタンプはスパムスタンプと呼ばれるサーバーからの注意喚起で、これが付いている ものは全て迷惑メールと判断されたもの。 うちのサーバーの場合注意喚起だけですが、例えばGoogleのGmailサーバーの場合だと 否応なしに「迷惑メール」フォルダーに勝手に保存されるような仕組みもあります。 差出人は 「”American Express” <gdviq@service.uosu61.cn>」 皆さんはご存じでしょうか? この差出人欄は完全に自己申告制で、誰でもウソが書けるフィールド。 ですから、ここは信用できない部分です。 アメリカンなのに中国ドメイン?(笑) 「アメリカンエキスプレス」さんには、”americanexpress.com”って正規ドメインをお持ちです。 正規ドメインが有るのにそれ以外のこのようなでたらめなドメインを使ったメールアドレスで ユーザーさんにメールを送るなんて信用問題に関わる大きな問題です。
差出人は「WebARENA」ユーザーでは、このメールがフィッシング詐欺メールであることを立証していきましょうか! まず、このメールのヘッダーソースを確認し調査してみます。 私が愛用のThunderbirdの場合、「表示(V)」⇒「メッセージのソース(O)」と進むと見られますよ。 ソースから抜き出した「フィールド御三家」がこちらです。 Return-Path: 「gdviq@service.uosu61.cn」 ”Return-Path”は、このメールが何らかの障害で不達に終わった際に返信される メールアドレスです。 一般的には、差出人と同じメールアドレスが記載されますが、ここは誰でも簡単に 偽装可能なフィールドなのであてにできません。 | Message-ID:「20220810033520351678@service.uosu61.cn」 ”Message-ID”は、そのメールに与えられた固有の識別因子。 このIDは世の中に1つしかありません。 ”@”以降は、メールアドレスと同じドメインか若しくはデバイス名が入ります。 ここも偽装可能で鵜呑みにはできません。 | Received:「from service.uosu61.cn (unknown [140.227.79.105])」 ”Received”は、このメールが通過してきた各受送信サーバーが自身で刻む 自局のホスト情報です。 ここに掲げた”Received”はこのメールが最初に通過したサーバーのもの。 すなわち、差出人が使った送信サーバーの自局情報。 記載されている末尾の数字は、そのサーバーのIPアドレスになります。 |
では、メールアドレスにあったドメイン”service.uosu61.cn”について調べてみます。  ”140.227.79.105”がこのドメインを割当てているIPアドレス。 本来同じでなけれならない”Received”のIPアドレスが”140.227.79.105”ですから全く異なります。 これでアドレス偽装は確定。 「フィールド御三家」の中で一番重要なのは”Received” これを紐解けば差出人の素性が見えてきます。 ”Received”のIPアドレス”140.227.79.105”は、差出人が利用しているメールサーバーのもの。 このIPアドレスを元に情報収集してみます。  このIPアドレスには”arena.ne.jp”ってドメインが割当てられていますね。 このドメインは「NTT PC コミュニケーションズ」が運営するホスティング「WebARENA」のもの。 ということは、この差出人はここのサーバーを利用したことになります。 そして、このIPアドレスの位置情報がこちら。  IPアドレスを元にしているので、かなりアバウトな位置であることをご承知いただいた上でご覧ください。 ピンが立てられたのは、東京の「JR神田駅」付近です。 このメールは、この付近に設置されたメールサーバーを介して私に届けられたようです。
詐欺サイトへは二重トラップが施されていた!では引き続き本文。 American Expressカードをご利用のお客さま 利用いただき、ありがとうございます。 このたび、ご本人様のご利用かどうかを確認させていただきたいお取引がありましたので、 誠に勝手ながら、カードのご利用を一部制限させていただき、ご連絡させていただきました。 つきましては、以下へアクセスの上、カードのご利用確認にご協力をお願い致します。 お客様にはご迷惑、ご心配をお掛けし、誠に申し訳ございません。 何卒ご理解いただきたくお願い申しあげます。 ご回答をいただけない場合、カードのご利用制限が継続されることもございますので、予めご了承下さい |
第三者不正利用を騙ったテンプレートを使ったよく見掛ける本文ですね。 このメールは、フィッシング詐欺メールなので詐欺サイトへのリンクが付けられています。 そのリンクは、本文に直書きされていて、リンク先のURLがこちらです。  って、これ本家サイトのURLじゃん! これは偽装ですね。 クリックして接続される本当のリンク先URLはこちらになっていました。  このサイトの危険性をトレンドマイクロの「サイトセーフティーセンター」で確認してみます。  えっ、いやいや、まさかの安全宣言? それにしても安全とはおかしいですよね。 もしかしてリダイレクト(自動転送)されているかもと思い、リンク先へ訪れてみました。 すると、やはりリダイレクトが仕込まれていて別サイトに飛ばされてしまいました。 そのサイトのURLがこちら。 
このサイトの危険性もトレンドマイクロの「サイトセーフティーセンター」で確認してみます。  今度はしっかりとブラックリストに登録されていましたね。 このサイトのURLで使われているドメインは、サブドメインも含め”ontinue-admin.yourtrap.com” このドメインについての情報も収集してみます。  登録者はアメリカでダイナミックドメインを扱っていることで有名な「ChangeIP」で レジストラは、こちらもアメリカの「PublicDomainRegistry」 このドメインを割当てているIPアドレスは”170.178.190.213” このIPアドレスが利用されている地域を取得してみます。  ピンが立てられのは、フィッシング詐欺サイトのメッカ「ロサンゼルス」付近。 この辺りに設置されたウェブサーバーに、リンク先の詐欺サイトは構築されているようです。 安全な方法でリンク先の詐欺サイトに調査目的で訪れてみました。  残念ながら「404 Not Found」表示されました。 これは、すでに存在しないことを意味しますので、何らかの理由で閉鎖された模様です。 詐欺サイトは、捜査の手が及ぶのを恐れ、えてして時々姿をくらまします。 こうすることで少しでも捜査の手から逃れようとしているのです。 先程ご覧いただいた通り、IPアドレスとドメインは紐づけされたままなのでサイトは簡単に 復活することが可能な状態です。
まとめアメリカンなのにチャイニーズなフィッシング詐欺メールでしたね。 ほんと、これらのメールやサイトには中国の加担が多いようです。 きっと組織的なものがあるのでしょうね。 恐ろしいことに、今、こうしている間にも大量のフィッシング詐欺メールが発信されたくさんの フィッシング詐欺サイトが作られ消滅していきます。 次から次に新種のメールが届くので常に意識して被害に遭わないようご注意ください。 いつものことながら、誤字・脱字・意味不明がありましたらお許しください(^-^; |