最初から疑ってかかりましょう! 久しぶりに楽天市場を名乗るフィッシング詐欺メールのお話。 今朝、メールボックスにこのような楽天市場からのメールが届いておりました。  「支払い方法が確認できず注文を出荷できない」とちょっとぎこちない日本語で届いたこのメール。 25周年のバナーも付けられてて、差出人欄にはちゃんと楽天のドメインが使われていますが、 このメールは本物なのでしょうか? では、このメールもプロパティーから見ていきましょう。 件名は 「[spam] 【楽天市場】アカウントの支払い方法を確認できず、注文を出荷できません. 」 ご承知の通り件名欄は、差出人が書き込むものですからいくらでも適当に記入できます。 この件名には”[spam]”とスタンプが付けられているので迷惑メールの類です。 このスタンプはスパムスタンプと呼ばれるサーバーからの注意喚起で、これが付いている ものは全て迷惑メールと判断されたもの。 うちのサーバーの場合注意喚起だけですが、例えばGoogleのGmailサーバーの場合だと 否応なしに「迷惑メール」フォルダーに勝手に保存されるような仕組みもあります。 差出人は 「”楽天市場” <order-card@rakuten.co.jp>」 皆さんはご存じでしょうか? この差出人欄は完全に自己申告制で、誰でもウソが書けるフィールド。 ですから、ここは信用できない部分です。 上手く化けているつもりでしょうけど… ”rakuten.co.jp”は確かに「楽天グループ」さんのドメインですが、件名に”[spam]”とあるので このメールは詐欺メール故に偽装の疑いがあります。 その辺りを含め、次の項で見ていくことにしましょう。 偽装をしっかり見分ける では、このメールがフィッシング詐欺メールであることを立証していきましょうか! まず、このメールのヘッダーソースを確認し調査してみます。 私が愛用のThunderbirdの場合、「表示(V)」⇒「メッセージのソース(O)」と進むと見られますよ。 ソースから抜き出した「フィールド御三家」がこちらです。 Return-Path: 「vu@rakuten.co.jp」 ”Return-Path”は、このメールが何らかの障害で不達に終わった際に返信される メールアドレスです。 一般的には、差出人と同じメールアドレスが記載されますが、ここは誰でも簡単に 偽装可能なフィールドなのであてにできません。 | Message-ID:「202206070607404858416@rakuten.co.jp」 ”Message-ID”は、そのメールに与えられた固有の識別因子。 このIDは世の中に1つしかありません。 ”@”以降は、メールアドレスと同じドメインか若しくはデバイス名が入ります。 ここも偽装可能で鵜呑みにはできません。 | Received:「from rakuten.co.jp (unknown [113.229.62.106])」 ”Received”は、このメールが通過してきた各受送信サーバーが自身で刻む 自局のホスト情報です。 ここに掲げた”Received”はこのメールが最初に通過したサーバーのもの。 すなわち、差出人が使った送信サーバーの自局情報。 記載されている末尾の数字は、そのサーバーのIPアドレスになります。 | あくまでとことん”rakuten.co.jp”だと言い張るようですね。 ならばまずは、”rakuten.co.jp”について情報を取得してみます。 このドメインを割当てているIPアドレスが”Received”に記載されているものと同じなら 差出人のメールアドレスだと認めますが、そうでない場合、特定電子メール法違反となり 処罰の対象とされます。 ※特定電子メール法違反 ・個人の場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金 ・法人の場合、行為者を罰するほか、法人に対して3000万円以下の罰金 さて、どう出るのでしょうか?  当然ちゃんと「楽天グループ」さんの持ち物ですね。 そして”133.237.16.234”がこのドメインを割当てているIPアドレス。 本来同じでなけれならない”Received”のIPアドレスが”113.229.62.106”ですから全く異なります。 これでアドレス偽装は確定。 この方にはしっかり罪を償っていただかなければなりませんね! この中で一番重要なのは”Received” これを紐解けば差出人の素性が見えてきます。 ”Received”のIPアドレス”113.229.62.106”は、差出人が利用しているメールサーバーのもの。 このIPアドレスを元にその割り当て地を確認してみます。  IPアドレスを元にしているので、かなりアバウトな位置であることをご承知いただいた上でご覧ください。 ピンが立てられたのは、中国遼寧省本渓付近です。 このメールは、この付近に設置されたメールサーバーを介して私に届けられたようです。 ところで”vu@rakuten.co.jp”ってのはどなた? では引き続き本文。 vu@rakuten.co.jp客様 楽天市場 に登録いただいたお客様に、楽天市場 アカウントの情報更新をお届けします。 残念ながら、楽天市場 のアカウントを更新できませんでした。 今回は、カードが期限切れになってるか、請求先住所が変更されたなど、さまざまな理由で カードの情報を更新できませんでした。 アカウント情報の一部が誤っている故に、お客様のアカウントを維持するため 楽天市場 アカウントの 情報を確認する必要があります。 下からアカウントをログインし、情報を更新してください。 楽天ログイン なお、24時間以内にご確認がない場合、誠に申し訳ございません、お客様の安全の為、 アカウントの利用制限をさせていただきますので、予めご了承ください。 アカウントに登録のEメールアドレスにアクセスできない場合 お問い合わせ: 楽天市場カスタマーサービス。 | 「vu@rakuten.co.jp客様」から始まるこの本文。 ところで”vu@rakuten.co.jp”ってのはどなたのメールアドレスなのでしょうか? もしかして”vu@rakuten.co.jp”のお客様宛と言うことなのでしょうか?…(汗) このメールは、フィッシング詐欺メールなので詐欺サイトへのリンクが付けられています。 そのリンクは「楽天ログイン」って書かれたところに張られていて、リンク先の URLがこちらです。  なんと”https”ではなくて”http”から始まるので、暗号化されていない危険なサイト。 それにIPアドレスむき出しです。 詐欺師なら少しは金掛けてドメインぐらい取れよって感じです。 このサイトの危険性をトレンドマイクロの「サイトセーフティーセンター」で確認してみます。  このように既に危険サイトと認識されており、ブラックリストに登録済み。 そのカテゴリは「フィッシング」と書かれています。 このむき出しになっているIPアドレスは、”35.77.218.174” このIPアドレスにまつわる情報を取得してみます。  これによると、このサイトはAmazonのウェブサービス内で稼働しているようです。 ということは、このサイトの運営者はここのユーザーってことになります。 危険と言われると見に行きたくなるのが人情と言うもの。 安全な方法でリンク先の詐欺サイトに調査目的で訪れてみました。 「詐欺サイトとして報告されています!」と書かれているのは、楽天eーNAVIのログイン画面。 もちろん警告されている通り偽サイトですから絶対にログインしてはいけません。  ユーザーIDの所にカーソルを持っていくとこのように警告されましたので相当危険なサイトのようです。  おまけコーナー このメール、HTML表示からTEXT表示に切換えてみました。 すると、あぶり出したように見えなかった文字が露出してきました。  ヘッダー部分には、「Amazon.co.jp にご登録のアカウント(名前、パスワード、その他個人情報)の確認..」 と、別の詐欺メールで使われていたであろうAmazonを騙る件名が。 そして、HTMLでは見えなかった受信者側のメールアドレスも見えてきました。 そして極めつけはフッター部分。 意味の分からないアルファベットや数字が並んでいますよね? これきっと「ワードサラダ」 意味の分からない文字や記号を並べて、サーバーにある迷惑メールを仕分けするスパムフィルターを 混乱させてそのフィルターを通過させようとする手段です。 Demo、件名にしっかり”[spam]”と付けられているようにうちのサーバーは通過できなかったようです。 まとめ 楽天を騙り、支払いが滞り品物が出荷できないというメールはかなり古くからあり 結構な頻度で送られてきます。 随分以前にご紹介した内容なのですっとスルーしていましたが、当然初めて受け取られるという 方もいらっしゃると思い今回改めてご紹介させていただきました。 恐ろしいことに、今、こうしている間にも大量のフィッシング詐欺メールが発信されたくさんの フィッシング詐欺サイトが作られ消滅していきます。 次から次に新種のメールが届くので常に意識して被害に遭わないようご注意ください。 いつものことながら、誤字・脱字・意味不明がありましたらお許しください(^-^; |