飽きもせず第三者不正利用の疑い
Amazonからありがちな件名のフィッシング詐欺メールが届きました。
前のエントリーからAmazonが続きますがご容赦ください…m(_ _"m)
そのメールがこちらです。
書かれているのは「第三者不正利用」の疑いです。
このメールは、ご丁寧にログインデバイスのIPアドレスまで書かれていますね。
実はこのメール、同じ件名で同じ内容のものが7分間隔で立て続けに届いています。
違ったのは差出人のメールアドレスだけですが、そんなのいくらでも偽装できるので
きっと同じ差出人なのでしょうね。
では、このメールもプロパティーから見ていきましょう。
件名は
「[spam] 【重要】お支払い方法の情報を更新してください。」
ご承知の通り件名欄は、差出人が書き込むものですからいくらでも適当に記入できます。
この件名には”[spam]”とスタンプが付けられているので迷惑メールの類です。
このスタンプはスパムスタンプと呼ばれるサーバーからの注意喚起で、これが付いている
ものは全て迷惑メールと判断されたもの。
うちのサーバーの場合注意喚起だけですが、例えばGoogleのGmailサーバーの場合だと
否応なしに「迷惑メール」フォルダーに勝手に保存されるような仕組みもあります。
差出人は
「"Amazon.co.jp" <kk@ukmkt.org>」
皆さんはご存じでしょうか?
この差出人欄は完全に自己申告制で、誰でもウソが書けるフィールド。
ですから、ここは信用できない部分です。
「Amazon」さんには、”amazon.co.jp”って正規ドメインをお持ちです。
正規ドメインが有るのにそれ以外のこのようなでたらめなドメインを使ったメールアドレスで
ユーザーさんにメールを送るなんて信用問題に関わる大きな問題です。
それに、このメールアドレスだって眉唾かもしれませんよ!
その辺りを含め、次の項で見ていくことにしましょう。
偽装以前に使えないドメインで発信?!
では、このメールがフィッシング詐欺メールであることを立証していきましょうか!
まず、このメールのヘッダーソースを確認し調査してみます。
私が愛用のThunderbirdの場合、「表示(V)」⇒「メッセージのソース(O)」と進むと見られますよ。
ソースから抜き出した「フィールド御三家」がこちらです。
Return-Path: 「kk@ukmkt.org」
”Return-Path”は、このメールが何らかの障害で不達に終わった際に返信される
メールアドレスです。
一般的には、差出人と同じメールアドレスが記載されますが、ここは誰でも簡単に
偽装可能なフィールドなのであてにできません。
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Message-ID:「20220606074014755533@ukmkt.org」
”Message-ID”は、そのメールに与えられた固有の識別因子。
このIDは世の中に1つしかありません。
”@”以降は、メールアドレスと同じドメインか若しくはデバイス名が入ります。
ここも偽装可能で鵜呑みにはできません。
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Received:「from ukmkt.org (unknown [123.188.33.241])」
”Received”は、このメールが通過してきた各受送信サーバーが自身で刻む
自局のホスト情報です。
ここに掲げた”Received”はこのメールが最初に通過したサーバーのもの。
すなわち、差出人が使った送信サーバーの自局情報。
記載されている末尾の数字は、そのサーバーのIPアドレスになります。
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まずは、”ukmkt.org”について情報を取得してみます。
このドメインを割当てているIPアドレスが”Received”に記載されているものと同じなら
差出人のメールアドレスだと認めますが、そうでない場合、特定電子メール法違反となり
処罰の対象とされます。
※特定電子メール法違反
・個人の場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金
・法人の場合、行為者を罰するほか、法人に対して3000万円以下の罰金
さて、どう出るのでしょうか?
おやおや?
IPアドレスの欄に「対応するIPアドレスがありません」と書かれていて
下の説明欄には「Domain not found.」って…もしかして?
と思い、「お名前ドットコム」さんに力を借りてこのドメインの空き情報を取得してみました。
ほら、やっぱり!
この差出人は、実際には稼働していない空きのドメインを使ったメールアドレスを使ったようです。
空きドメインでは当然メール受送信はできないので明らかな偽装工作です。
この方にはしっかり罪を償っていただかなければなりませんね!
この中で一番重要なのは”Received”
これを紐解けば差出人の素性が見えてきます。
”Received”のIPアドレス”123.188.33.241”は、差出人が利用しているメールサーバーのもの。
このIPアドレスを元にその割り当て地を確認してみます。
IPアドレスを元にしているので、かなりアバウトな位置であることをご承知いただいた上でご覧ください。
ピンが立てられたのは、中国遼寧省瀋陽市付近です。
このメールは、この付近に設置されたメールサーバーを介して私に届けられたようです。
久々の「永久ロック」
では引き続き本文。
誰かがあなたのAmazonアカウントで他のデバイスから購入しようとしました
Amazonの保護におけるセキュリティと整合性の問題により、セキュリティ上の理由から
アカウントがロックされます。
アカウントを>引き続き使用するには、24時間前に情報を更新することをお勧めします。
それ以外の場合、あなたのアカウントは永久ロック。
異常なログインIP:49.98.135.184
設備:Windows
位置:東京都
>>更新設定<< |
「永久ロック」久々に見ましたね。(笑)
「アカウントを>引き続き」の”>”に何の意味があるのかは私には分かりません(笑)
「異常なログインIP:49.98.135.184」で「位置:東京都」とありますが、本当に東京に
このIPアドレスはあるのでしょうか?
例によって割り当て地を確認してみますと。。。
これによるとこのIPアドレスの割り当て地は、東京都は遠く離れた静岡県袋井市。
確かにIPアドレスから導き出す割り当て地はアバウトですが、これほど掛け離れることはありません。
このメールは、フィッシング詐欺メールなので詐欺サイトへのリンクが付けられています。
そのリンクは「>>更新設定<<」って書かれたところに張られていて、リンク先の
URLがこちらです。
このサイトの危険性をトレンドマイクロの「サイトセーフティーセンター」で確認してみます。
このように既に危険サイトと認識されており、ブラックリストに登録済み。
そのカテゴリは「フィッシング」と書かれています。
このURLで使われているドメインは、サブドメインを含め”www.golfscorecardsne.com”
このドメインにまつわる情報を取得してみます。
申請は、シンガポールからですが、それ以外の情報はプライバシー保護でマスクされています。
このドメインの管理はドイツの「Key-Systems GmbH」と言うレジストラが行っています。
このドメインを割当てているIPアドレスは”149.57.218.16”
このIPアドレスを元にその割り当て地を確認してみます。
ピンが立てられのは、アメリカニュージャージー州シコーカス付近。
この辺りに設置されたウェブサーバーに、リンク先の詐欺サイトは構築されているようです。
危険と言われると見に行きたくなるのが人情と言うもの。
ま、どんなページが開くのかは当然承知してはいますが、安全な方法でリンク先の詐欺サイトに
調査目的で訪れてみました。
案の定ですわ…
もちろん偽サイトですから絶対にログインしないでください。
まとめ
このブログエントリーしている最中も同じ件名で同じ内容のメールが1通届きました。
どうやら、大量発生しているようなので十分ご注意を!
恐ろしいことに、今、こうしている間にも大量のフィッシング詐欺メールが発信されたくさんの
フィッシング詐欺サイトが作られ消滅していきます。
次から次に新種のメールが届くので常に意識して被害に遭わないようご注意ください。
いつものことながら、誤字・脱字・意味不明がありましたらお許しください(^-^; |