「!」の付いた件名のメールは、るくなもんじゃない
5月も中盤に差し掛かり梅雨も近いのか折角の週末も雨でスタート。
どんよりとした朝を迎えております。
どんより、と言えば私のメールボックスもどんよりとしいて、Amazonをはじめたくさんの
フィッシング詐欺メールが届いております。
そんな中から今回は、こちらのめーるをご紹介しつつ詳しく解説していこうと思います。
「Amazonお客様」からは自前うこのメールもプロパティーから見ていきましょう。
件名は
「[spam] すみません!Amazonアカウントが異常です」
なんですか、この件名の冒頭から誤ってるメールは…(;^_^A
この件名には”[spam]”とスタンプが付けられているので迷惑メールの類です。
このスタンプはスパムスタンプと呼ばれるサーバーからの注意喚起で、これが付いている
ものは全て迷惑メールと判断されたもの。
うちのサーバーの場合注意喚起だけですが、例えばGoogleのGmailサーバーの場合だと
否応なしに「迷惑メール」フォルダーに勝手に保存されるような仕組みもあります。
差出人は
「"Amazon.co.jp" <amazonc-acccount-updater@gwybook.com.cn>」
いくら「Amazon.co.jp」と主張されてもアドレスのてドメインが”gwybook.com.cn”なんて
中国のトップレベルドメインを使ったメールアドレスじゃね。
ちゃんと見ている人なら誰一人信じませんよ!
使えないドメインのメールアドレスからメールが来る?!
では、このメールのヘッダーソースを確認し調査してみます。
ソースから抜き出した「フィールド御三家」がこちらです。
Return-Path: 「amazonc-acccount-updater@gwybook.com.cn」
”Return-Path”は、このメールが何らかの障害で不達に終わった際に返信される
メールアドレスです。
一般的には、差出人と同じメールアドレスが記載されますが、ここは誰でも簡単に
偽装可能なフィールドなのであてにできません。
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Message-ID:「5A44C9229F2E2DB7F768BE76EE83758C@cceyzofq」
”Message-ID”は、そのメールに与えられた固有の識別因子。
このIDは世の中に1つしかありません。
”@”以降は、メールアドレスと同じドメインか若しくはデバイス名が入ります。
ここも偽装可能で鵜呑みにはできません。
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Received:「from cceyzofq (unknown [121.33.128.135])」
”Received”は、このメールが通過してきた各受送信サーバーが自身で刻む
自局のホスト情報です。
ここに掲げた”Received”はこのメールが最初に通過したサーバーのもの。
すなわち、差出人が使った送信サーバーの自局情報。
記載されている末尾の数字は、そのサーバーのIPアドレスになります。
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まずは、”gwybook.com.cn”について情報を取得してみます。
このドメインを割当てているIPアドレスが”Received”に記載されているものと同じなら
差出人のメールアドレスだと認めますが、そうでない場合、特定電子メール法違反となり
処罰の対象とされます。
※特定電子メール法違反
・個人の場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金
・法人の場合、行為者を罰するほか、法人に対して3000万円以下の罰金
さて、どう出るのでしょうか?
それ以前にこのドメインは、IPアドレスに割当てられていません。
ということは、現在使えないドメインなので当然メールの受送信なんてできません。
故にアドレス偽装です。
しっかり罪を償っていただきましょう!
”Received”のIPアドレス”121.33.128.135”は、差出人が利用しているメールサーバーのもの。
このIPアドレスを元にその割り当て地を確認してみます。
ピンが立てられたのは、香港から北へ約80kmにある「広州市」付近です。
このメールは、この付近に設置されたメールサーバーを介して私に届けられたようです。
証明期限は7日以内なの?それとも24時間以内なの?
では引き続き本文。
Amazon お客様
残念ながら Amazonチームはあなたのアカウントが異常状態にあることを発見しました。
これは、最近の請求先住所が住所と一致していなかったり、特定の情報が正しく入力されて
いなかったりするためです。
リアルタイム サポートをご利用ください
お客様のAmazonアカウントは24時間365日サポートの対象となっており、私たちはあなたに
サービスを提供しています
お客様の Amazon アカウントkandakyoko
口座の所有権を証明したい場合、Amazon 管理コンソールにログインし、所定の手順に従って
情報の信頼性を証明する。
アカウント所有権の証明についてのヘルプセンター記事も併せてご参照ください。
状態:
異常は更新待ちです
所有権の証明
7日以内にアカウントの所有権を証明しない場合、あなたのamazonアカウントは自動的に
削除されますのでご注意ください。
• パスワードを公開しないでください
• ユーザーのパスワードは独立性を保ってください。
• 24時間以内に情報検証を完了してください。
ご愉快なご生活を。
Amazon チーム |
おかしな日本語でしょ?
「請求先住所が住所と一致していなかったり」って何の住所と一致していないのでしょうか?
それに突如出てくる「kandakyoko(カンダキョウコ)」(笑)…だれなの?
そして、所有権を証明するのかそれとも信頼性を証明をするのかどっち?
でもって、その証明期限は7日以内なの?それとも24時間以内なの?どっち??
で、最後の締めの挨拶「ご愉快なご生活を」って丁寧にも程があります…(笑)
もう絶対、絶対、差出したのは日本の方じゃないですよね?(;^_^A
このメールは、フィッシング詐欺メールなので詐欺サイトへのリンクが付けられています。
そのリンクは「所有権の証明」って書かれた黄色いボタンに張られていて、リンク先の
URLがこちらです。
危険を承知で安全な方法で接続してみます。
このパターンですか。
「localhostで接続が拒否されました。」と書かれていますよね。
「localhost」とは自局の事で、簡単に言えばこのサイトを開いたデバイス。
もっと簡単に言えば、あなたが今このサイトを見ているデバイスです。
そんなところにウエブサーバーなんて無いしウエブサイトだってあるはずがありません。
だから何も開くわけがありませんよ!
このURLで使われているドメインは”qihcasoih192.vip”
“.vip“なんてとても怪しいドメインです。
このドメインにまつわる情報を取得してみます。
殆どの情報がプライバシー保護されていますが、持ち主は、中国湖南省の方。
このドメインはシンガポールのレジストラ「GNAME.COM PTE. LTD」で取得されています。
このドメインを割当てているIPアドレスは”23.234.252.229”
このIPアドレスを元にその割り当て地を確認してみます。
ピンが立てられのは、ロサンゼルス近郊の「サンタクラリタ」付近。
この辺りに設置されたウェブサーバーに、リンク先の詐欺サイトは構築されているようです。
まとめ
詐欺サイトは、「localhost」に接続されるようになっていましたが、詐欺師は捜査の手が及ぶのを恐れ
えてして時々姿をくらまします。
こうすることで少しでも捜査の手から逃れようとしているのです。
先程ご覧いただいた通り、IPアドレスとドメインは紐づけされたままなのでサイトは簡単に
復活することが可能な状態です。
ですから、つながらないからと安心するのは禁物です。
いつも緊張感をもってメールチェックをいたしましょう!
いつものことながら、誤字・脱字・意味不明がありましたらお許しください(^-^; |