【実録】Kagoya Webmail「制限解除の時期と重要な注意事項」は詐欺メール!容量警告を装いベラルーシ発で届く巧妙ななりすまし手口を解析

いつも「Heartland-Lab」をご覧いただきありがとうございます。梅雨も明けて本格的な夏になり、メールの受信量が増える時期でもありますが、そんな折に「メールボックスの容量」を口実にした詐欺メールが届きましたので、詳しく解析していきます。
🕵️ Heartland-Lab 詐欺メール調査レポート
| 判定 | Kagoya Webmailを装ったフィッシング詐欺メール |
| 危険度 | ★★★☆☆(3/5) |
| 件名 | 制限解除の時期と重要な注意事項 |
| 表示上の送信者 | “メールボックスの容量に関する警告” <help@mail.kagoya.net> |
| 送信元IP(実測) | 86.57.192.10(ベラルーシ・ミンスク) |
| SPF判定 | Softfail(認証失敗に近い状態) |
| 誘導先 | 正規メール配信サービスを悪用したリダイレクトリンク(調査時点でリンク先は無効化済み) |
1. 実際に届いた「Kagoya Webmail容量警告」メールの全貌
まずは実際に届いたメールの画面を確認しましょう。件名は「制限解除の時期と重要な注意事項」、表示名は「メールボックスの容量に関する警告」となっており、いかにも緊急対応が必要そうな見た目に仕上げられています。
※実際に届いた「制限解除の時期と重要な注意事項」のメール画面です。
以下は、今回確認された詐欺メールの本文テキストを正確に再現したものです。
Kagoya Webmail メールサービス|容量警告通知 ○○○○.jp様 Kagoya Webメールサービスをご利用いただき、誠にありがとうございます。 弊社のシステムによる定期的な監視の結果、お客様のメールボックスの容量が 上限に近づいていることが確認されました。 ■現在のご利用状況 使用量:4,910 MB / 上限:5,000 MB このまま容量超過となった場合、以下の影響が発生する可能性があります。 ・新規メールの受信失敗 ・送信エラーの発生 ・一部サービス機能の制限 安定したメール利用を継続するため、至急ご対応ください。 [メールボックスを管理する] *当社がメールでパスワードやログイン情報を尋ねることは一切ありません。 不審なメールを受信した場合は、直ちにサポートにご連絡ください Kagoya Webmail メールサービス管理事務局 *このメールはシステムにより自動送信されています。 (架空の運営会社名・住所が記載) *このメールに直接返信しないでください。 上記に記載の公式サイトより、必要な手続きを行ってください。
※メール本文の末尾には、実在する日本企業の社名・住所がそのまま無断使用されていました。当該企業とは一切関係がなく、単に「実在の企業情報を貼り付けて本物らしさを演出する」ための悪用のため、当サイトでは実名を伏せます。
2. 送信元IPアドレス(86.57.192.10)の調査結果
メールヘッダーのうち、送信元を特定するもっとも信頼できる情報である「Received-SPF: client-ip=」を確認したところ、実際の送信元は 86.57.192.10 でした。
※送信元IP(86.57.192.10)のip-sc.netによるロケーション分析画面です。
| 調査項目 | 結果 |
|---|---|
| IPアドレス | 86.57.192.10 |
| ホスト名(逆引き) | mm-10-192-57-86.static.mgts.by |
| プロバイダー | Republican Unitary Telecommunication Enterprise Beltelecom(ベラルーシ国営通信) |
| AS番号/AS名 | AS6697 / BELPAK-AS |
| 所在地 | ベラルーシ共和国 ミンスク市 |
| 利用形態 | corporate(法人向け回線) |
| 脅威レベル判定 | 低 |
送信元はベラルーシ・ミンスクの法人向け回線であり、いわゆる「Kagoya Webメール」を提供する日本国内のサーバーとは無関係です。SPFレコードの判定も「Softfail(認証失敗に近い、不審な送信)」となっており、正規のKagoya側インフラを経由したものではないことが裏付けられます。
💡ここで!「SPF」と「ASN」って何?
SPF(Sender Policy Framework)とは、「このドメインからのメールは、このサーバーから送っていいですよ」とあらかじめ登録しておく仕組みです。「Softfail」は、登録されたサーバー以外から送られてきたことを示す、いわば黄色信号の判定です。
ASN(AS番号)は、インターネット上の通信網を運営する組織ごとに割り振られる識別番号のようなものです。今回の「AS6697」はベラルーシの通信会社が運営する回線網であることを示しています。
3. 誘導先リンクの調査——正規サービスを踏み台にした巧妙な隠蔽
メール本文中の「メールボックスを管理する」ボタンのリンク先を確認したところ、アメリカの大手メール配信サービスが提供するリダイレクト用ドメインが使われていました。攻撃者が正規のメールマーケティングサービスのアカウントを悪用し、そのリダイレクト機能を経由させることで、最終的な詐欺サイトのドメインを直接メール本文に書かず、フィルターや分析による検知を避けようとした形跡があります。
実際にこのリンク先へアクセスしたところ、調査時点では以下のように「Not Found(見つかりません)」という表示のみが返ってきました。
※誘導先リンクへアクセスした際の画面です。調査時点では無効化されていました。
| 調査対象項目 | 結果 |
|---|---|
| リダイレクト経由サービス | 正規のメール配信プラットフォーム(Cloudflareの配下で運用) |
| ホスティング組織 | Cloudflare, Inc.(CDN・プロキシサービス) |
| 実際のサーバー位置 | CDN経由のため特定不可(不明) |
| 調査時点の状態 | Not Found(既に無効化・停止済みの可能性) |
世界最大手のCDNサービスである「Cloudflare」の裏側にサーバーの実体を隠していることに加え、正規のメール配信サービスまで踏み台にしている点は、非常に手が込んだ隠蔽工作だと言えます。残念ながら、リンクが今アクセスできないからといって安全というわけではありません。攻撃者が誘導先を変更し、別の詐欺サイトへ差し替える可能性は十分にあります。
なお、今回の解析にあたり受信サーバーの特定や詳細なルーティングも調査いたしましたが、読者の皆様と関係者のプライバシーを守るため、生ログの掲載は控えさせていただきます。
※メールヘッダー詳細は個人情報保護のため非掲載
4. こうしたメールが届いたときの対処法
- 「容量警告」「制限解除」といった件名のメールは、まずリンクを開かずメール自体を削除する
- メールボックスの利用状況を確認したい場合は、普段使っているコントロールパネルへ、ブックマークや公式アプリから直接アクセスする
- 送信元アドレスの表示名だけでなく、実際のドメインが本当に契約中のサービスのものか確認する
- 万が一IDやパスワードを入力してしまった場合は、公式サイトから直ちにパスワードを変更する
- 二要素認証(ワンタイムパスワード)を設定しておくと、パスワード漏えい時の被害を最小限に抑えられます
「容量がいっぱいです」という警告は、多くの人が思わず反応してしまう定番の心理的トリックです。焦って対応する前に、一度深呼吸をして、本当に公式サービスからの通知かどうかを確認する習慣をつけましょう。
今回の記事が役に立ったら、家族や職場の仲間にもぜひ共有してください。同じメールが届いている方がいるかもしれません。
Data Provided by Heartland-Lab Security Research Unit
※本記事に記載のIPアドレス・ロケーション情報は調査時点(2026年7月)のものであり、日々変化する可能性があります。
根拠データ参照元:ip-sc.net
使用配色テーマ:Charcoal(PRIMARY #2b2b2b / ACCENT #cc0000)














