「Spotify プレミアム 無料トライアル終了のお知らせ」は偽メール!「リンクを開くな」と書きつつ「解約する」ボタン、行き着く先はYouTube

秋の夜長、音楽や動画のサブスクリプションを「無料お試し」で始めて、そのまま忘れている……という方は少なくないと思います。そこを狙った「無料トライアル終了のお知らせ」が届きましたので、調べてみました。
HEARTLAND-LAB 調査レポート
調査レポート:概要
| 件名 | 【重要】Spotify プレミアム 無料トライアル終了のお知らせ |
| なりすまし先 | Spotify プレミアム(Appleの定期購入の案内を装う) |
| 受信日時 | 2026年10月7日(水)11:47頃 |
| 送信元(回線) | 20.244.118.52(インド・プネーのMicrosoftクラウド) |
| SPF / DKIM | SPF:pass/DKIM:署名あり(いずれも送信元ドメイン自身のもので、SpotifyやAppleのものではありません) |
| リンク先 | 「解約する」ボタンの先は、YouTubeへリダイレクト |
| 危険度 | ★★★☆☆(今回の遷移先で実害は確認できず) |
| ※メールヘッダー | ※メールヘッダー詳細は個人情報保護のため非掲載 |
⚠ これは偽物です。SpotifyやAppleからのメールではありません。
「解約する」ボタンは押さず、そのまま削除してください。契約の確認は、メールのリンクではなく、ご自身の端末の設定や公式アプリから行えます。
届いたメールの内容
件名:【重要】Spotify プレミアム 無料トライアル終了のお知らせ 差出人:「Spotify プレミアム」<jpwux@jpwux[.]fixittoolshop[.]com> AppleSpotify プレミアム App Store Spotify プレミアム 自動継続のお知らせ いつも Apple サービスをご利用いただき、誠にありがとうございます。 Spotify プレミアム の無料トライアル期間が、まもなく終了となります。 トライアル終了後は、月額プラン へ自動的に継続されます。 ■ 無料トライアル・自動継続情報 無料トライアル終了日 2026年10月07日 自動継続後の月額料金(税込) ¥980 / 月 解約期限 2026年10月07日 ■ 自動継続について ・トライアル終了後、月額プランへ自動的に継続されます ・継続料金は Apple ID にご登録の支払い方法より決済されます ・自動継続をご希望されない場合は、解約手続きが必要です ・解約後も無料トライアル期間中はプレミアム機能を引き続きご利用いただけます ※ 自動継続をご希望されない場合は、2026年10月07日までに設定アプリより解約手続きをお願いいたします。 Apple サポート / Spotify カスタマーサービス ご不明な点がございましたら、Apple サポートまたは Spotify カスタマーサービスまでお問い合わせください。 Apple Inc. ※ このサブスクリプションは App Store を通じて A pple が管理しています。 [ 解約する ] ※ 解約後も、無料トライアル期間中はプレミアム機能を引き続きご利用いただけます。 ※ このメールは、Apple ID に登録されているメールアドレス宛に送信されています。 ※ このメールに心当たりがない場合、またはリンクのクリックを求められた場合は、リンクを開かずに直接「設定」App よりご確認ください。 ※ Apple が個人情報をメールでお尋ねすることはございません。 Apple Inc. Spotify プレミアム 自動継続に関するお知らせ メール配信停止 | 個人情報の取り扱いについて

▲ 実際に届いたメールの画面(宛先は非掲載)
狙いは、「今日までに解約しないと、月額¥980が自動で引き落とされる」と慌てさせ、「解約する」ボタンを押させることです。本物の解約手続きに見せかけて、別の場所へ誘導します。
見破りポイント:偽メール自身が「リンクを開くな」と言っている
このメールの下のほうに、こんな注意書きがあります。
「このメールに心当たりがない場合、またはリンクのクリックを求められた場合は、リンクを開かずに直接『設定』Appよりご確認ください。」
ところが、そのすぐ上には「解約する」というリンクのボタンが置かれています。リンクのクリックを求めながら「リンクを開くな」と書く。偽メールが、自分で自分を偽物だと白状してしまったような作りです。この注意書きに従えば、被害は防げます。
解約期限は「今日」、そしてちぐはぐな箇所
- 「無料トライアル終了日」も「解約期限」も、どちらも今日(2026年10月7日)です。「今日中に」と急がせる作りです。
- 見出しが「AppleSpotify プレミアム」と、AppleとSpotifyがくっついています。
- 本文に「A pple」(途中に空白)という誤字があります。
- メール最下部の「メール配信停止」「個人情報の取り扱いについて」は、どこにもつながらない飾りのリンク(
#)でした。 - 「Apple ID に登録されているメールアドレス宛」と書かれていますが、実際には別のアドレス宛に届いています。
Spotifyの契約をAppleの案内で知らせてくる、という設定そのものも、少し無理があります。もちろん、実際に契約している方が見ると「本当かも」と思ってしまうのが、この手口の怖いところです。
送信ルートと偽装の見破り方
| 差出人のアドレス | jpwux@jpwux[.]fixittoolshop[.]com(表示名だけ「Spotify プレミアム」) |
| 実際の送信元IP | 20.244.118.52 |
| 場所・回線の性格 | インド・マハーラーシュトラ州プネー。Microsoftのクラウド(用途:ホスティング)。誰でも借りられるサーバーの所在地で、攻撃者本人の居場所ではありません |
| SPF | pass(送信元ドメインfixittoolshop[.]comの側で許可された回線) |
| DKIM | 署名あり(送信元ドメイン自身の署名) |
| ドメインの登録 | 2025年10月28日(約11か月前)。登録業者は West263 International、ネームサーバーは Cloudflare。所有者の情報は伏せられています |
| ※メールヘッダー | ※メールヘッダー詳細は個人情報保護のため非掲載 |
💡ここで!「SPF pass」なのに偽物? Microsoftのクラウドって?
SPFは「このドメインのメールは、この回線から送ってよい」という届け出との照合です。今回の「pass」は、攻撃者が用意した自分のドメインの届け出と合っていた、という意味にすぎません。SpotifyやAppleのメールだという証明にはなりません。
送信元がMicrosoftのクラウド(サーバーを時間貸しするサービス)だからといって、Microsoftが送ったメールではありません。契約すれば、誰でも借りられる場所です。
リンクの先で起きたこと(調査結果)
「解約する」ボタンのリンク先は、次のアドレスでした(悪用防止のため、クリックできない形で表記しています)。
hxxps://www[.]fixittoolshop[.]com//u_8FxASPk5/verify?ticket=eLcYRZZ4
アドレスの末尾にticket=という文字列が付いています。受信者ごとの目印かもしれません(筆者の推測です)。このリンクを開くと、YouTubeへリダイレクト(自動で転送)されました。
なぜYouTubeなのか、狙いは確認できていません。考えられるのは、次のようなものです(いずれも筆者の推測です)。
- 調べる側(自動のセキュリティ検査など)に、無害なサイトを見せてやり過ごす。
- 一定の条件に合う人にだけ、別の画面を見せる。
- あとから危険な画面に差し替えられるよう、準備だけしてある。
いまのところ、情報を盗む画面は確認できていません。ただし、パソコンとスマートフォンで表示が変わるかは今回比べておらず、不明です。今日の遷移先が安全だったからといって、明日も安全とは限りません。なお、リンクの先が最後に本物のサイトへ飛ぶ仕掛けは、10月5日の記事でも見つかっています。
リンク先のドメインとサーバー
- ドメイン
fixittoolshop[.]comは、Whoisの上では「ウェブサイトなし」の状態でした。Whoisには登録者の所在として中国の地名が書かれていましたが、偽の情報も書けるため、真偽は不明です。 - サーバーのIPは
104.21.25.156で、Cloudflare(世界中に拠点を持つ中継サービス)の共用のIPです。同じIPに約1,400のサイトが同居しており、実際のサーバーの場所は分かりません。
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1月にも、Appleを名乗ってSpotifyプレミアムの更新を知らせる偽メールがありました。今回は「更新通知」ではなく「無料トライアル終了」と、筋書きを変えています。Appleの名前を借りた定期購入の偽メールは、形を変えながら繰り返し届いています。
注意点と対処法
- メールの「解約する」ボタンは押さず、削除してください。契約の確認や解約をしたいときは、メールのリンクではなく、ご自身のiPhoneやMacの設定、またはSpotifyの公式アプリから行えます。
- 「期限は今日」と書かれていても、あわてる必要はありません。本物の自動継続なら、メールを見落としても、設定からいつでも確認できます。
- そもそもSpotifyを契約していない方は、この通知自体が見当違いです。契約している方も、メールではなく設定の画面で確かめれば安全です。
- 「Spotify プレミアム」と表示されていても、アドレスの@以降が公式のものか確認する習慣をつけましょう。ただし、表示名は簡単に偽装できます。
- もしリンク先でApple IDのパスワードやカード情報を入力してしまった場合は、すぐにAppleの公式サイトからパスワードを変更し、カード会社へ連絡してください。入力してしまったことを責める必要はありません。
- フィッシングメールの見分け方は、Appleサポートコミュニティの「フィッシング詐欺メールの見分け方」も参考になります。
- フィッシングメールを見つけたら、フィッシング対策協議会の「フィッシングの報告」から情報提供もできます。
まとめ
「Spotify プレミアム 無料トライアル終了のお知らせ」は偽メールです。解約期限を今日と急がせながら、本文では「リンクを開かず設定Appから確認を」と書き、すぐ上に「解約する」ボタンを置く矛盾だらけの作りでした。リンクの先は、今回はYouTubeへ転送されましたが、狙いは分かっていません。
メールの「解約する」は押さず、設定の画面から確認する。これだけで、この手口は防げます。ご家族やお友達にも、ぜひ教えてあげてください。
Data Provided by Heartland-Lab Security Research Unit
IPアドレス情報の参照:ip-sc.net
使用配色テーマ:Teal(PRIMARY #134e4a / ACCENT #e65c00)














