「【ご確認】ご登録情報のご確認とお手続き方法」の正体はSAISON騙りなのに中身は謎の「JALAN」!https://抜けの実装ミスでリンクが自社サーバーに誤爆する不具合を解析

詐欺メールの解析をしていると、たまに「これは一体何がしたいんだろう?」と首をかしげたくなる一通に出会います。今回のものはまさにそれでした。送信者名は聞き覚えのあるカード会社なのに、本文を開くと全く聞いたことのないブランド名が大々的に表示されていたのです。
ご覧の通り、このメールはSAISONともJALANとも無関係の真っ赤な偽物です。被害を未然に防ぐため、この解析結果を家族やご友人のLINEグループで共有してください。
■ メールヘッダー解析(送信者情報)
件名:【ご確認】ご登録情報のご確認とお手続き方法
送信者表示:“SAISONカード国際株式会社 カスタマーサポート”
送信元アドレス:hozxhbfu@g9g4i5kj.xsmofen.com(SAISONとは無関係の使い捨てランダムサブドメイン)
送信元IP(Received-SPF解析):20.100.198.97(Microsoft Azure/ノルウェー・オスロ)
SPF認証:Pass(※詐称ドメイン自身への認証にすぎず、SAISONとの関連を示すものではありません)
※メールヘッダー詳細(宛先・Message-ID等)は個人情報保護のため非掲載
※以下の内容は届いた詐欺メールを技術検証のために忠実に再現したものです。
JALAN (受信者名) 様 平素よりJALANをご利用いただき、誠にありがとうございます。 お客さまのご登録情報の一部にご確認いただけない項目がございました。お手数ではございますが、下記の期限までにご確認とご更新をお願いいたします。 お手続き期限 07 2026年09月 本メール送信日から7日以内にお手続きをお願いいたします 今回のご案内内容 1. ご登録情報のご確認をお願いいたします 2. お手続き期限は本メール送信日から7日以内です 3. 期限を過ぎますと、ログインを制限させていただく場合がございます お手続き方法 1. 下のボタンから確認ページを開きます 2. 不足している項目をご入力ください 3. 更新完了のお知らせメールを受け取ります 受付番号:JLN-20260907-1ATR5V [お手続きを開始する] JALANサポートデスク (C) JALAN. All rights reserved.

▲ 実際に届いたメールの表示。送信者名はSAISON、本文は「JALAN」という、統一感のなさが逆に目を引く。
■ 用語解説:「相対URL」とは
Webのリンクには、「https://」から始まる完全な住所(絶対URL)と、今見ているページを基準にした「あと少しの道順」だけを示す簡易な書き方(相対URL)があります。今回のメールのリンクは「jinbaogu.com?uid=…」のように「https://」が付いておらず、本来の意味とは違い「今見ているページを基準にした相対的な行き先」として扱われてしまう不完全な書き方になっていました。
■ リンクの技術的な仕掛けと実装ミス
メール本文のリンクは、実際のHTMLソース上では次のように書かれていました。
<a href="jinbaogu[.]com?uid=(受付番号)">お手続きを開始する</a>
※本来つけるべき「https://」が抜けているため、これは単独では機能しない不完全なリンクです。
Heartが今回、ブラウザ上で動作するKAGOYAのWebメールサービス「Active!mail」でこのメールを開いたところ、ブラウザはこのリンクを「今表示しているActive!mailのページを基準にした相対パス」として解釈し、詐欺サイト「jinbaogu.com」ではなく、KAGOYA自身の正規サーバー上に存在しないパスへアクセスする結果となりました。その結果表示されたのが、ご提供いただいた「セッションの有効期限が切れています」という無関係なエラーダイアログです。
言い換えれば、少なくともブラウザ版のWebメールで開いた場合、このメールの詐欺サイトへの誘導は自爆して失敗していた可能性が高いということです。(詐欺師にとっては踏んだり蹴ったりですが、こちらにとっては笑い話で済んで何よりです。)ただし、別のメールソフトやスマートフォンのメールアプリで開いた場合は挙動が異なり、正しく`jinbaogu.com`へ到達してしまう可能性も残るため、油断はできません。

▲ リンクをクリックした結果、実際には詐欺サイトではなくKAGOYA自身のWebメールサーバー上のエラー画面が表示された。相対URLの実装ミスによる”誤爆”の証拠。
■ 追記:「JALAN」の正体と、その後のサイトの挙動について
本記事の公開後、読者の方より貴重な追加情報をお寄せいただきました。誘導先ドメイン「jinbaogu[.]com」に実際にアクセスして確認したところ、1回目のアクセス時にはページタイトルが「じゃらん」と表示されていたとのことです。
※本文の「JALAN」というブランド名は、単なる無関係なテンプレートの名残ではなく、実在の旅行予約サイト「じゃらん」との混同を狙った、意図的な偽装だった可能性が高いことが分かりました。当初の記事で「謎の無関係ブランド」としていた解釈を、この場でお詫びして訂正いたします。
さらに、同じ読者の方が数時間後に改めてアクセスしたところ、今度はページタイトルが「Google」に変わっており、正規のGoogleのページへ転送(リダイレクト)される状態になっていたとのことです。詐欺サイトが自らの意思で表示内容や転送先を切り替えられるよう作られていることがうかがえる、興味深い挙動です。
この切り替わりのタイミングが、当ブログでの記事公開時期の前後と重なっていたという指摘もいただいております。関連性を断定できる段階ではありませんが、詐欺サイトの管理者が外部からの観測状況に応じて表示を調整している可能性を示す事例として、参考記録として書き添えておきます。貴重な情報をお寄せくださった読者の方に、この場を借りて御礼申し上げます。
■ 注意点と対処法
- 送信者名と本文の整合性を見る:送信者名と本文のブランドが食い違っている時点で、詐欺メールと判断してよい強いサインです。
- URLをクリックしない:リンクの実装が不完全でも、詐欺目的であることに変わりはありません。
- 公式サイトを確認:心当たりのある会社からの連絡かどうかは、必ず公式アプリまたはブックマークから確認してください。
- 入力してしまった場合:心当たりのあるサービスのパスワードを直ちに変更し、不審な動きがないか確認してください。
■ 関連記事(詐欺師の実装ミス・粗さが露呈した過去の手口)
本レポートの結論
送信者名は「じゃらん」を思わせるブランドを騙りながら、リンクの実装自体には不備があるという、狡猾さと粗さが同居する一件でした。誘導先サイトの表示が後から切り替わっていたことも分かっており、詐欺師側が状況に応じて手口を調整している様子がうかがえます。身近な人が騙されてからでは手遅れです。この記事のURLをコピーして、家族のLINEグループで「これ気をつけて!」と共有してあげてください。
Data Provided by Heartland-Lab Security Research Unit
根拠データ参照元:ip-sc.net
使用配色テーマ:Charcoal














